このページをまとめると・・・・

  • 制服貸与と給与課税の関係
  • 年度の途中で青色専従者になることは可能か
  • 購入価格不明の株式を売却する場合の簿価

こんにちは、神戸の税理士の佐藤です。
今回は「従業員に制服を無料で貸与して大丈夫?」「年度の途中で青色専従者届出を出した場合の処理方法は?」「株式を譲渡したが購入価格が不明の場合はどうなるか?」という人向けに書いてみました。しっかり読めば、制服と給与課税の関係が分かりますし、途中入社の青色専従者の扱いも理解できますし、取得価格不明の株式の算定方法も分かります。

制服を無償貸与。これって給料??

  • 神戸で訪問介護事業所をしています。スタッフには全員オリジナルの制服を無償配布していますが、これは給与扱いになるのでしょうか?

実態判断です!給与扱いされる可能性あり!

    


★そもそも制服とは・・・・

●制服とは・・・  ある集団に属する人(学生や警察官等)が着るように定められた服装です。  ↓  本来は課税対象です(現物給与して扱われます)  ↓  しかし、  組織上当然に制服の着用を義務づけられている一定の者については  非課税扱いになります。  

★制服の範囲とは・・・

●制服の範囲  専ら勤務場所のみにおいて着用する事務服、作業服等については、  制服に準じて扱っても問題ないと思われます。    銀行のOLさんが着ている制服や建築現場の作業員の作業服、●●便のお兄さんの作業服  等はプライベートで着る人はまずいません。これらは非課税で支給or貸与しても  差し支えないと思われます。     ●スーツはどうなるのか?  一般的にどこでも着ることができるようなスーツは制服にはなりません。  確実に課税対象です。  ↓  たとえば、胸に会社のロゴマークが入っていればどうか。  これは実態判断になるでしょう。例えば、このロゴマークを簡単に隠せる等、  社外でも利用できそうな場合は制服扱いすべきではありません。  税務調査で必ず指摘される箇所ですね。     ●制服の着用は義務にする  制服は業務中には全員が必ず着用すべきものではなくてなダメです。  スタッフの自由にできると、これはもう制服ではありませんね。  確実に課税対象だと思いましょう。  ↓  その原点として、当たり前ですが制服は全員に支給or貸与すべきです。  その上で、全員が着用する義務があることにしなければなりませんね。  

年の途中から青色事業専従者に。給与は?

  • 神戸で整骨院に勤めていましたが今年8月に退職し、直後に両親の個人事業である鍼灸院の青色事業専従者に入りました。給料は経費計上できますか?

経費計上できると思います。

    


★専従者給与と専従者控除っていう制度

●生計を一にしている配偶者その他の親族が  納税者の経営する事業に従事している場合し給与を支払う場合  ↓  原則としてこの給与は経費計上できません。  しかし、家族従業員の給与には例外規定もあります。  (青色事業専従者給与の特例、白色事業専従者控除の特例)

★青色申告者の専従者給与

●青色事業専従者の要件  ①青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族。  ②その年の12月31日時点で15歳以上。  ③その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業従事可能期間の1/2超の期間)   専ら従事していること。 ●その他要件  ①「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の税務署に提出していること。   (給与を支払う年の3月15日までが期限)    ②届出書に記載されている方法、金額の範囲内で支払われていること。  ③給与額が過大とされるないこと。  ④青色事業専従者として給与を受ける人は控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

★白色申告者の事業専従者控除

●以下のいずれか低い金額が控除できます。  ①事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者1人につき50万円。    ②(この控除をする前の事業所得等の金額)/(専従者数+1) ●白色事業専従者の要件  ①白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族。  ②その年の12月31日時点で15歳以上。  ③その年を通じて6月を超える期間、専ら従事していること。 ●その他要件  ①確定申告書に控除を受ける旨やその金額等を記載すること。    ②白色事業専従者として給与を受ける人は控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

★6ヶ月未満の青色事業専従者の給与額は経費?

●6ヶ月以内になってしまった理由が退職や就職であれば経費計上できます。  ↓  相当の理由により事業主と生計を一にする親族が事業に従事することができなかった場合、  従事可能期間の1/2を超える期間、専ら事業に従事していれば足ります。  ↓  「相当の理由」には就職や退職も含むと解されています。  ↓  前の会社を退職して家族の青色事業専従者になったような場合、  退職時~年末を「従事可能期間」として、その1/2を超える間専ら事業に従事している場合、  青色事業専従者給与として必要経費に算入されます。  ↓  勿論、青色事業専従者とした日から2か月以内に届出書を提出する必要があります!    

昔買った株の取得価格が分からない!!

  • 奈良のデイサービスに勤めています。平成10年に株式をいっぱい買ってほったらかしています。このままどうすればいいのでしょうか?

平成22年度中に売るべき!?だと思います

    


★こんな特例が平成22年までならあります!

●平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例  ↓  居住者等が、  平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を  平成15年1月1日~平成22年12月31日に譲渡した場合の取得費は、  その株式の平成13年10月1日の価格の80%に設定できます。  ↓  ◆この特例適用で譲渡損失が生じても、他の株式等の譲渡益と通算できます。  ◆要件を満たせば、上場株式等の譲渡損失の繰越控除の特例も適用できます。   ●対象となる株式は、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等で、  平成13年10月1日において上場株式等に該当していたものです。  ↓  しかし、個人が平成13年10月1日以後に取得した上場株式でも、以下のような場合は  平成13年9月30日以前から引き続き所有していたものとみなされます。    ◆贈与、相続(限定承認はダメ)  ◆株式の分割又は併合  ◆一定の場合の合併・分割・株式交換・株式移転 等  

★この法律は平成22年で終わります!!

●平成13年9月30日以前から株式を持っている人には要注意事項です。  ↓  この特例はいくらで買ったか分からない人にとってはすごく  おいしかった制度です。  (実際の取得価格は関係なく損失計上できてたので)  ↓  これが平成22年度で終わるということ。  つまり、もし「いくらで買ったか分からない株を持っている」人は  平成22年度中に譲渡してしまったほうがいいということになります。  神戸の方なら当税理士事務所までご連絡下さいませ。