この記事を要約すると・・・・

  • 固定資産を購入したときの固定資産税の按分方法
  • ISO関連費用の会計処理方法
  • 自動車購入時の会計処理方法
  • どうしても利益を出したいときの方法

こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「固定資産(自動車を含む)を購入したときの固定資産税やら法定費用やらの会計処理が分からない!」「ISO関連費用の支出があったけどどうやって処理したらいいか分からない!」という経理担当者向けに書いてみました。しっかり読めば会計処理で迷うことはなくなりますよ。

固定資産売買時の固定資産税はどう処理?

  • ボスニア料理店を経営予定で、会社設立に伴って土地建物を買いました。その際売主に固定資産税の残り期間分を払いましたが、これはどう処理するのですか??

取得価額算入すべきと思われます。

    

★不動産売買時に固定資産税相当額を払うのが一般的。

●不動産売買時、その不動産に係るその年の固定資産総額のうち、  売却後の期間に対応する部分を買主が負担するというのは、  日本の商慣習ではかなり一般的になっています。  ↓  固定資産税はその年の1月1日の所有者に課されるものであって、  年の途中で所有者が変わっても、その新所有者に対して  新たに固定資産税が課せられるものではないことから、合理的な  商慣習として上記が生まれたものと考えられます。      

★固定資産の取得原価に含まれるもの

●固定資産の取得価額=  A:購入代価(運賃・荷役費・保険料・購入手数料・関税等)    (固定資産購入のために要した費用)    B:事業の用に供するために直接要した費用     ●上記の固定資産負担分は、  事業の用に供するために直接要した費用になります。  ↓  固定資産税納税者=1月1日の所有者です。つまり、売主が納税者です。  ですので、固定資産税として租税公課に計上できるのは売主であって  買主は固定資産税はあくまで払っていないので租税公課として処理  することはできないんですね。  確かに事業の用に供するための費用ですが、固定資産税を払ったわけ  ではありません。  税金相当額を売主に払っただけですので租税公課処理はできない  んですね。  ↓  よって取得価額に参入します。  ↓  不動産取得税等の租税公課とは性質が違う点に注意しましょう。

ISOのための費用ってどうやって処理するの??

  • タバコ等の箱を製造するメーカーです。この度、ISO規格の認証取得のために、コンサルタント料や申請料を支出しました。翌期以降も登録維持費が必要だそうです。どうやって会計処理すればいいのでしょうか?

支出日の属する期間の損金と考えられます

    

★ISOとは・・・

●ISOは国際標準化機構の略称です。  ↓  その企画は一つの固定的な方式・基準の採用を目的とするものでなく  例えば、品質管理プロセスや仕組み全体をシステムと捉え、これが  ISO規格に適合する事実を登録するものです。  ↓  個々の商品や製品に与えられる資格ではなく、企業全体に与えられる  資格であり、法律上の権利として保護されるような性質はないです!

★ISOの本質

●ISO規格の認証は法的な権利ではありません。  (つまり、工業所有権や商標権に該当はしません)  ↓  また、超過収益力があるものでもなく、譲渡もできないので  営業権というわけでもありません。  ↓  加えて、広告宣伝効果は期待できますが、効果が1年以上に渡るか  どうかは誰もわかりません。 ●ISO取得後も登録料維持のための費用負担があるので、支出効果  が1年以上に及ぶとは明確にいえませんね。  ↓  そこで、支出する日の属する年度で損金算入してもOKとなります。  (支出後、毎年発生するような審査料等も支出期の損金になります)  ↓  ただし、ISOの審査基準を満たすために機械設備を購入したような場合  機械設備の購入費用は固定資産計上になります。もちろんですが。  登録のための審査費用等は一時の費用として扱うことができると  いうことですね。

自動車取得時の諸々の費用はどう処理する?

  • 新潟と香川でハンマーの卸売を行っています。この度、営業用に車両を購入しました。これに付随して税金や保険料や何やらで出費が膨らみました。これらの会計処理はどうするのですか?

内容によって分かれますね!

    

★自動車取得時の費用:リサイクル料金

●預託金部分  (シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金、情報管理料)   ↓  長期前払費用等の科目で資産計上し、廃車時に支払手数料等の費目に  振り替えられて損金算入されます。 ●費用部分  (資産管理料金)  ↓  資産管理法人(財団法人自動車リサイクル促進センター)ですぐに費消される  ので、支出時に支払手数料等で損金処理します。   

★自動車取得時の費用:その他1

●自動車重量税、自動車税、自賠責保険料  ↓  自動車を所有することにより支出する事後的費用と考えられるので、  全額損金処理でOKです。  

★自動車取得時の費用:その他2

●自動車取得税、検査登録費用、車庫証明費用  ↓  自動車の取得に関連して支出するものですが、一種の事後的費用と  言えなくもない費用です。  これらについては法人判断で取得価額に含めないこともできます。

★自動車取得時の費用:カーエアコン

●カーエアコンは、車両に常時搭載するものであるので、  車両運搬具として自動車の取得価額に算入されます。

どうしても利益を増やしたいときはどうする?

  • シリアと日本での商社を運営している法人です。今期はどうしても黒字にしたいのですが、合法的に利益を増やす方法はありますか???

できなくはないですが・・・・・

    

★利益を増やしたいときに使う戦法

●減価償却費を計上しない。 ●繰延資産の償却をしない。 ●引当金や準備金の繰り入れを行わない。 ●固定資産は10万円以下でも費用とせずに固定資産計上。 →会計処理の基準からは問題あり!  税務上は結果としてはOKです。  (ちなみに固定資産10万円以下計上は会計基準でもOK)  銀行借入等の際に上記処理を行うと銀行側は分かります。  減価償却費を計上せずに利益を計上しているなということ  が分かれば、それを加味した数値を銀行側は計算すると  思われます。私たち税理士事務所は大阪・京都・神戸・奈良・姫路等で会計事務所を経営していますが、この手法はたまに使いますね。

★利益を増やしたいときに使ってはダメな戦法

●棚卸資産を過大計上(仕入を少なくする)。 ●未払金を意図的に計上しない。   ●翌期引渡し予定(つまり翌期売上)を当期に売上計上。 ●前受金計上すべきもの(つまり翌期以降売上)を当期に売上計上。 ●廃棄した資産の処理を行わない。 →上記は会計基準は勿論、税務上も認められません!!  これらは粉飾決算(仮装経理)に当たります。  この処理によって利益が前倒しになります、つまり、欠損金の計上  が遅れます、つまり、欠損金繰越期間が実質延長されることに  つながります。