この記事を要約すると・・・・

  • 計画と目標の重要性
  • 患者とスタッフのためにチャレンジ!
  • 患者と先生の待ち時間を減らす方法
  • 成長している歯科医院の特徴
  • 歯科医院の現金管理の方法

こんにちは、歯科医院と介護事業を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「もっともっと医院の経営環境をよくしたいのにどうしたらいいのかな」「スタッフ満足度をアップさせたいな」「患者満足度をアップさせたいな」という歯科医院の先生向けに書いてみました。しっかり読めば歯科医院が20年後にも生存してますよ。

計画と目標は医院経営にとって重要です

<計画と目標は医院経営にとって重要です>


どんなに競合先ができてきても成長を続けている歯科医院の特徴の一つとして
「目標」「理念」「計画」が存在し、それをスタッフ全員で共有できている点が挙げられます。



<目標・理念>

先生は歯科医師であると同時に経営者でもあります。
世の中の多くの経営者が自社の経営理念を定めるように歯科医院としての理念の共有は必要になります。
先生の個人的な思いを体現する言葉であれば何でも構いません。


「患者様に喜びと安らぎを与えられる医院になる」
「常に口コミで新患を獲得できる医院になる」
「このエリアでナンバーワンの医院になる」
「痛い治療を行わない医院になる」
「スタッフ全員が常に笑顔でいる」
「人間としての魅力を持ち続ける」

医院によって本当に様々ですが、大事なことは、この理念をスタッフ全員が理解し共有していることです。
「共有している」とは、スタッフの日常の業務においても患者様との接し方においても、
理念を念頭において行動した結果になっていることです。

人間とは不思議なもので目標や理念があれば、方向性を誤らないので、仕事の充実度も上がります。
医院だけでなくスタッフの人間性向上にも繋がる場合も少なくありません。

先生がこの医院をどういう医院にしていきたいか、これを理念とするのがベストです。

ちなみに、スタッフの方の給与をアップさせたり潤滑な人間関係が存在していたとしても
それが直接従業員満足には繋がりません。
「ハーズバーグの衛生動機づけ理論」でも実証されていますが、やはり目標達成や責任拡大等を
従業員に施すことがなければ仕事に対する満足度という点では不十分なのです。
外部研修会で学んだことをミーティングで発表し合ったり、先生がスタッフに「日々の業務で気づいた点」
を聞くことで、たとえアルバイトの方であっても自然に責任感が生まれます。





<事業計画>

経営者としての視点で考えると、目標は数値化する必要があります。
これが我々もお手伝いをしている事業計画や経営計画と呼ばれるものです。
前年実績を踏まえて、今年はどこに目標を置くか、今月は目標に対して今月はどういう結果になっているか。


公共性の高い医院であればあるほど、継続性も求められます。
継続するには人件費や家賃や光熱費等の経費を賄うだけの経営努力は必要になります。

数字を追うことは経営者としては当然のことですから。




事業計画達成度合いに応じて年1回の慰安旅行の場所を変えている
歯科医院様がありますが、ここは不思議とスタッフの定着率が高いです。

例えば、
事業計画が達成できれば2泊3日のディズニーランド、
保険点数が○○点を超えれば、3泊4日の香港旅行等。。
スタッフの方がみんなで協力しながら目標達成を目指すようになれば院内の雰囲気は良くなりますし、
旅行に行けばより関係を深められるという相乗効果もあります。
旅行代を勿体無いと思う先生は考え方を変えてもいいのかもしれません。

患者様のため、スタッフのための試み

<患者様のため、スタッフのための試み>


<スタッフ全員が名札を着用>
特に歯科医院では治療等との関係で顔が見えにくいケースが多いです。
そういうときでも名札をしていると患者様からは親近感が出ます。
またスタッフの心構えもぐっと引き締まりますので相乗効果が見込めます。




<スタッフ全員が名刺を持つ>
先生が名刺を持っている医院様は多いのですが、各スタッフが持っているケース
は意外に少ないかもしれません。
名刺を与えられたスタッフはちょっぴりモチベーションが上がったりしますし、
自分の名刺を渡した以上は、自覚も芽生え、退職率の低下に繋がった医院様もあるほど。
受け取った患者様は「なんて親切なんだ」と思うでしょう。

弊社は今まで日本全国数千社の名刺デザインを手がけてきていますので
この分野は得意でもあります。

日本では名刺交換はビジネスチックで改まった感がありますが、中国を含めて世界を
見渡せばもっとフランクです。気軽に「はいっ」と渡すぐらいの気持ちでも十分だと思います。




<スタッフの死角に意見箱を置く>
患者様からの意見を聞くための意見箱を設置している医院もあるのですが、スタッフから丸見えの
場所にあれば、日本人はなかなか投書しにくいです。
名刺の裏面にでも「ご意見は意見箱に入れてくださいね」と一言書いておきましょう。




<洗面所に使い捨ての歯ブラシと歯磨き粉と紙コップを用意する>
先生の口の中を見られる患者様には少なからずの抵抗感があります。
それを直前の歯磨きで取り除いてもらうためです。

衛生面のイメージを考えると、洗面所とトイレを分けておくほうがベターです。

治療前に歯磨きができる環境が整っているという印象を患者様に与えられるだけでも
配慮や気遣いの面でプラスに働くでしょう。

患者様の待ち時間と先生の手待ち時間を減少させる方法

<患者様の待ち時間と先生の手待ち時間を減少させる方法>


患者様の待ち時間も先生も手待ち時間も勿体無いですね。
要因は色々ありますが、予約時間を患者さんが守らない場合や急患が入った場合、診療時間の延長、
予約キャンセル等が典型例ではないでしょうか。


この無駄を減少させる試みをしている医院が増えてきています。
「次患者の状況を今の患者様にわからないように知らせる」ことです。

●ある医院では、スタッフが先生の耳元で知らせています。

●また、別の医院では、先生だけが見える位置にランプを置いて、
 青色なら次患者なし、赤色なら次患者1名、ピンクなら次患者2名のようなサインしています。

●他にも先生だけに見えるようにメモ書きを見せたりするケースもあります。




先生からすれば、次の患者が待っているかどうか、
待っているならば何名か、何分待っているかを知ることができます。





これは非常に有効です。





たとえば、次の患者がまだ来ていなくてゆっくり治療できるような場合は、
説明時間を増やしたり、ちょっとした世間話を混ぜてみたり、次回診療の話をしたりして
患者満足度を時間をかけて高めることができます。

逆に、次以降の患者がいるような場合であれば、
テキパキと診療をこなして、患者満足部分の一部をスタッフに譲るような工夫も可能です。




診療のスピード調整が容易にできるんですね。
もちろん今治療している患者様には分かりませんが・・・・

お互いにとってメリットにはなります。




ちなみに
予約時間を医院側が厳守する姿勢を示すのは患者様にも伝わるものです。
逆に予約してるのに待たされると「なぜ?」という不信感が募る場合もあります。

予約という行為は「大事な約束」です。
この時間の厳守の姿勢を医院側が示すと患者様のキャンセルや遅刻の減少につながります。
不思議なものです。

成長している歯科医院の工夫

<成長している歯科医院の工夫>


<完全予約制>
 お互いの時間の無駄を省くには最も効率的です。
 飛び込みの患者や急患はどうしても存在しますが、急ぎの治療が必要な場合を除いて予約し直して
 もらうぐらい徹底します。これは、新患よりも再診患者を優先にする発想でもあります。


<スタッフの年齢層は幅広い方がよい>
 若いスタッフばかりでは尻込みする患者様も多いようです。
 最近はキッズルームを設置している医院様が増えてきていますが、そこで子供の世話をするスタッフ
 は概して子育て経験世代であることが若い親の安心感を生みます。


<一緒にがんばるという姿勢が患者に見える>
 言葉で「一緒に頑張りましょう」とは言わなくても、患者様がそう感じてくれる工夫が必要です。


<定期健診を勧める>
 「定期健診を行って下さいね」では具体性に欠けますし、患者様は忘れてしまうものです。
 たとえば、「毎年誕生日の日には検診に来てくださいね。約束ですよ。」というように
 具体性あるトークをしましょう。


<待合室に無料の飲み物がある>
 待合室で治療を待つ患者様は不安でいっぱいです。先生が思っているより数倍不安だと思います。
 そういうときにちょっとした飲み物を口に入れるのは効果があります。


<歯科医院独特の匂いを極力消し去る>
 空気清浄機や換気扇をフル装備して歯科医院の薬や機材の匂いを薄める努力をされています。
 患者様から見ると匂いに不安を抱いてしまうケースもよくあります。コーヒーの匂い等がすれば
 もっと落ち着くのかもしれません。


<入り口に使い捨てウェットティッシュが置いてある>
 家に帰ってきたのと同じ気持ちでリラックスしてもらうという観点からの発想です。
 手等をしっかり拭いてもらって気分をリフレッシュしてもらう点から評価が高いです。


<一人の患者内で時間調整を行う>
 治療が長引いたり、急患が来たりすることで予定時間をズレ込むことは珍しくありません。
 しかし、その後の何人もの患者様の時間がズレることは望ましくありません。
 できれば当該患者もしくはその直後の患者の診療時間の調整によってズレは早めに戻します。


<治療の最後に患者の意見を聞く>
 治療完了時に必ず患者さんに「何か気になることはないですか?」といったような話をしておきます。


<スタッフは極力立っている>
 レセコン入力の際等は別としても、スタッフが座る椅子を最小限に留め、
 できる限り患者様の見える範囲では立って仕事をしています。
 これにより動作が俊敏になると共に、医院イメージアップにも繋がります。


<清潔感を重視している>
 スリッパやソファ等は定期的に取り替える。


<設備投資にはお金を惜しまない>
 医院の内装は特に患者様にとっては重要です。待ち時間があればあるほど内装は見てしまいます。


<子供の患者さんへの呼びかけ>
 お母さんが呼んでいる呼び方で呼んであげましょう。
 一般的には「○○ちゃん」になると思います。


<キッズタイムを作る>
 母子通院でお母さんが治療を受ける場合には子供さんをスタッフが見る必要性があります。
 しかし忙しい時間帯では難しい場合もあります。
 そこで、比較的暇な時間に「キッズタイム」と称して親子連れお勧め時間を作っておきます。

歯科医院の現金管理方法

<歯科医院の現金管理方法>


<歯科医院の現金の流れのイメージ>
①窓口会計による現金入金
②現金による経費の支払
③院長が現金で立て替えた経費
④窓口現金一定時期にを銀行へ預入れ




<現金管理を楽に行う方法>
現金管理は適切に行わなければ、
①会計帳簿が不適切になり確定申告での誤り、追徴課税のリスクが生じます。
②月次の損益計算も正確にできなくなります。
③不正やつり銭カウントミス等も判明しなくなります。
④院長のプライベート経費の流入にも気づきません。

歯科医院の管理で最も重要な事項が「現金の処理」といっても過言ではありません。
歯科医院の経営をずっと見てきた税理士が言うのですから間違いありません!





<ポイント>診療収入(窓口収入を含む)専用の通帳を作成します。それ以外には使用しません。

②「経費支払い用の小口現金」と「つり銭のための現金(レジの中身)」を区別する。
 →経費支払いのためにレジのお金を出してはダメです!

③経費支払用から支払われた分については領収書と共に管理簿に記載(入力)する。

④レジは毎日チェックする。朝の段階のつり銭を除いた額(つまりその日の窓口収入)を
 封筒に入れて日付を記入。これを毎日繰り返します。
 そして、一定期間が過ぎれば(毎日がいいですが)、銀行に行って一日分ずつ預け入れを
 行います(専用の通帳に入金します)。
 これで日々の窓口収入の金額が通帳に一行ずつ記載されることになります。
 もっというと、通帳に記載されるのは毎日の窓口収入と月に1回の社会保険収入のみと
 なります。これはそのまま会計帳簿として使えます。

⑤小口現金については、少なくなってきたら診療報酬専用口座とは別の口座から引き出します。
 支払いについては現金で行うと手間がかかるので経費支払い専用のクレジットカードを作成
 するのも一手です。
 ただし、このクレジットカードで先生のプライベート経費の支払いも行うと区別するのに
 余計に手間がかかるので要注意です。