この記事を要約すると・・・・
- 輸出入取引における通関業務
- 貿易取引の決済方法
- 荷為替手形の重要性
こんにちは、SE・インターネット関連・IT企業向けの税理士の佐藤です。
今回は「通関業務のイメージが全然湧きません」「貿易取引をする場合の決済方法は?」「荷為替手形の意味が分かりません」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、通関業務の理解を通して貿易取引に精通できますし、貿易の最重要ポイントである決済にも強くなりますし、荷為替手形の利用もできるようになるはずです。
輸出通関の流れをご存知でしょうか?
- カザフスタンにツキノワ熊肉を小ロットで輸出する研究用の計画があります。政府許可もとっています。輸出なんてやったことはないのですが全体の流れはどういったものでしょうか?
輸出入は避けて通れない道です。
★輸出通関とは・・
●輸出に際して、税関へ輸出申告を行い、必要な検査を受けて、 輸出許可を受けなければなりません。 もっというと、輸出許可証を受領する必要があるのです。 ↓ 通関のためのスタートは貨物を保税地域に搬入するところから始まります。★輸出申告に必要な書類
●輸出申告書 品名、数量、価格、積込港、仕向港等を記載した書類 ●行政庁発行の許可証 関税法以外の承認等が必要な場合です。 ●インボイス 送り状ですね。 貨物明細書、請求書、納品書等の性格を有し、 関税法で記載項目が規定されています。 ●パッキングリスト 梱包明細書です。インボイスの補足書類としての性格があります。 ●商品仕様書やカタログ等 必要な場合もあります。
輸入通関の全体の流れを教えてください!
よくある問い合わせです!
★輸入通関の全体の流れ
●海外からの輸入貨物が保税地域に搬入される。 ↓ 保税地域を管轄する税関長へ輸入申告を行う。 ↓ 税関検査が必要とされる貨物については、検査を受ける。 ↓ 関税、内国消費税を納付。 ↓ 輸入許可を受ける。★輸入申告に必要な書類
●輸入申告書 輸入品名、数量、価格、輸入者情報、代理人名等を記載する。 ●インボイス 送り状ですね。 輸入者への発送貨物の明細書、請求書、納品書として機能、 ●運賃明細書 関税計算の上で必要な場合に提出する。 ●保険料明細書 関税計算の上で必要な場合に提出する。 ●包装明細書 関税計算の上で必要な場合に提出する。 ●原産地証明書 関税計算の上で必要な場合に提出する。 ●そのほか法令で必要とされる証明書、合格書等 関税計算の上で必要な場合に提出する。★輸入通関における3つの便利な制度
●事前教示制度 輸入申告前に、商品の関税分類や関税率等についての 照会を文書で行い、回答を受ける制度。 ●予備審査制度 貨物到着前or輸入関連手続終了前であっても、 輸入申告書類を税関に提出し、税関審査、検査要否の 事前通知を受けられる制度です。 スピーディに商品を受け取ることができるわけです。 ●特例輸入申告制度 セキュリティ管理とコンプライアンス体制が整備されているとして 税関長の承認を受けている輸入者は、輸入申告と税務申告を分離し 納税申告の前に貨物を引き取れる制度。 スピーディかつ低コストが実現します。
貿易取引の決済方法はいっぱいあるの?
- たんぱく質やペプチド関連の研究開発を行っている会社です。材料や設備の一部を輸入することになりまして、その場合の決済方法にはどういあったものがあるのでしょうか?
いっぱいあります!
★荷為替手形による方法
●貿易取引等に広く利用される方法で、 簡単に言えば、輸出者が銀行を介して輸入者から代金を取り立てる方法。 ↓ ■荷為替手形とは。 輸出者が輸入者宛に振り出す為替手形に、 船荷証券や航空運送状等が添付されたもの。 信用状付荷為替手形と信用状なし荷為替手形に分かれます。 ■為替手形とは。 輸出者(手形発行者)が輸入者(支払人)に、受取人(取引銀行)への支払を 委託するもの。 貿易取引に利用される為替手形を荷為替手形と呼んでいます。★外国送金による方法
●輸入者が輸出者に対して代金を送る方法。 電信送金、普通送金、送金小切手等があります。★その他の方法
●ネッティングによる方法(差額決済) 互いの債権債務を相殺して支払う方法。本支店間取引やグループ間 取引でよく使われています。 ●クレジットカードによる方法 弊税理士事務所のSE・システムエンジニア・インターネット関連・IT企業のクライアントが海外取引を初めて行った場合に、形がないものを販売しているという難しさがありましたが現実の決済によって海外取引を実感したものです。
信用状付荷為替手形とはどういうもの?
- 翻訳業務を主にしていたサービス業の会社でしたが、今後は日本とベトナムの間の貿易取引を検討しています。信用状付荷為替手形っていうものがどういうものか分かりません。教えてください!
一般的な貿易取引です!
★信用状付荷為替手形の概要
●信用状とは・・・・ 輸入者の依頼により、輸入者の取引銀行が 「一定の条件を満たす輸出者振出の荷為替手形」の 支払い、買取り、引受けを約束した保証書。 ↓ 一般的に、外国の買主の支払能力や誠実さ等の信用状態を 把握するのは困難で、荷為替手形といえども支払いが十分に 担保されているとはいえない現状。 ↓ そこで信用状が発達。★信用状付荷為替手形の決済の流れ(日本側からの輸出の場合)
●日本の輸出者と海外の輸入者が契約締結。 ↓ ●輸入者は取引のある為替銀行に信用状の発行(開設)を依頼。 ↓ ●為替銀行は輸入者の信用状を開設し、日本側の銀行に送付。 ↓ ●日本側銀行は、信用状の到着を輸出者に通知。 ↓ ●輸出者は、貨物を船積みし、船会社から船荷証券を受け取る。 ↓ ●輸出者は荷為替手形を振り出し、 信用状・船荷証券・海上保険証券、インボイス等を添付して 取引銀行に荷為替手形の買取を依頼します。 ↓ ●輸出者側の為替銀行は、荷為替手形と添付書類が信用状の条件と 一致していることを確認し、荷為替手形を買取り、代金を輸出者 に払います。 ↓ ●輸出者側の取引銀行は、信用状発行銀行(海外)に代金を請求し、 代金を受け取ります。 ↓ ●信用状発行銀行は輸入者に荷為替手形の支払呈示を行い、 輸入者は代金を支払います。 ↓ ●輸入者は、信用状発行銀行から船荷証券等の書類を受け取り、 船荷証券と引換に貨物を受け取ります。