この記事を要約すると・・・・

  • 代表取締役と法人契約の生命保険
  • 輸出輸入取引の方法
  • 貿易条件の概要

こんにちは、SE・システムエンジニア・インターネット関連・IT企業向けの税理士の佐藤です。
今回は「会社契約の生命保険の営業が来たけどどうすればいいか」「輸出入取引を始めようと思うがどこから勉強すればいいか」「貿易条件を聞かれたけどどう対応すればいいか」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、法人契約の生命保険を活用した節税対策も可能ですし、輸出入を含めた貿易を行うことで事業のグローバル化に繋がります。

社長の生命保険金額はいくらが適正?

  • 香港・海南島で金融関連の商売をしている日本の会社です。社長の生命保険の加入金額があまりにも大きいのですが大丈夫か心配になってきました。判断基準などはあるのでしょうか?

役員退職金との兼ね合いを考えましょう!

    

★法人契約の生命保険は注意が必要です!!

●最近でも多く見られます。節税対策としての生命保険加入。  法人契約で加入しているので損金計上できる場合もありますが  逆に保険金を受け取るときには益金計上の可能性も加味すべき  と思われます。  ↓  しかし、最近コレが会社の悩みの種になっていることが  よく聞かれます。  ↓  生命保険の契約者(社長や役員)が加齢も重なって、死亡する  ような場合の受取金の益金が過大になってしまって、多額の  法人税を納付しなければならないといったケースです。  (保険積立金があれば保険金から積立金を控除した額が益金)  ↓  そうなんです。  生命保険金額と役員退職金の比較を常に行っていないとダメ  なんです!この二つが比較的近い金額であれば大きな問題  には発展しないと思われます。  ただ、生命保険金が大きい場合は、見直しが必要ですね。    

★役員退職金の金額はかなり厳格にすべきです!

●社長が死んで生命保険金がはいったら、同額を役員退職金で  損金処理すればいいじゃんと考える方もいらっしゃいます。  ↓  しかし、役員退職金の適正額があるのです。  「役員報酬の最終月額×在任年数×功績倍率」が安全です。  (功績倍率は社長のケースは2や3が多いですね)   ↓  そうなんです、生命保険金と役員退職金は計算プロセスが全く  異なるので、同額にするためには相当意識しないとダメなんです。  ↓  特に、赤字の会社は役員報酬を下げてることが多く、  このタイミングで社長死亡となると、思っている以上に退職金額  が小さくなる可能性があります。  ↓  最近の事例としては、  弊税理士事務所のSE・システムエンジニア・インターネット関連・IT企業のクライアントが退職金非課税枠を大きく活用できず残念な結果になりました。

輸出取引の概要がわかりません・・・

  • ブルーベリージュースの国内販売メーカーです。来年以降に輸出取引を考えています。輸出取引って全然全体像がわかりません。教えてもらっていいでしょうか?

経営者として知っておくべき知識ですね!

    

★輸出取引の流れ

①輸出規制の有無の確認  輸出は原則自由なのですが、物によっては  外国為替及び外国貿易法(外為法)等で禁止されているケースがあります。  まずは、法律確認をしましょう。 ②輸入者と契約締結  輸出代金、遅延損害金、貨物保険の保険者や保険条件、決済方法、金利  保証期間、保証費用の負担の有無、知的所有権が輸出者にある旨の確認等 ③輸送手段の選択と予約  輸送手段を決めて、事前に予約しておきます。 ④貨物海上保険の申込  輸出者が付保します。 ⑤輸出通関の手続  物を保税地域に搬入し、税関で輸出申告を行います。 ⑥輸出許可後の積込  税関で輸出許可が得られたら、積込を行います。  積込完了後に、輸入者に対して、便名、積込日付、商品、数量、金額等を  通知します。 ⑦輸出代金の回収  契約書の決済方法に基づいて、代金を回収します。  このときに、銀行や輸入者に対して船積書類を渡します。

輸入取引の全体の流れってどんなの?

  • ピーナッツ・粉乳の輸入を検討している小さな商社です。輸入取引って全体の流れがわからないのですがややこしいのでしょうか?

大事なテーマだと思います

    

★輸入取引の流れ

①輸入規制等がないかの確認  外国為替及び外国貿易法(外為法)、関税法等の法律を確認する  必要があります。 ②輸出者と契約書締結  □いわゆる取引条件を決定する作業です。  □輸入代金はいくらか、  □遅延損害金の受取ができるかどうか、  □貨物海上保険の保険者、保険条件はどうなるか  □代金決済方法はどうするか  □輸送方法はどうするか  □製品保証はどこまで見てくれるか  →あたりを決めていきます。 ③貨物海上保険の申込  輸入者が付保する場合も多いです。 ④銀行や輸出者からの書類を入手する。  銀行や輸出者等から船積書類を入手します。  これは、決済や荷物引取の際に必要です。    ■船積書類とは以下の総称です。  【1】船荷証券(いわゆるB/Lで、貨物受取の根拠になるものです)     別名:貨物引換証(陸運)、航空運送状(空運)、貨物代表証券    【2】インボイス(商品送り状)    【3】パッキングリスト(梱包明細書)   ⑤輸入通関手続  輸入車は貨物を船会社や航空会社から受け取った後、  輸入通関手続を行います。 ⑥輸入許可後の貨物引取  輸入通関後、貨物を引き取ります。   ⑦代金支払い  支払条件に基づいて、決済を行います。

貿易条件という言葉を知っていますか?

  • 黄砂の研究商社です。材料や部品を輸入する予定なのですが貿易条件という言葉を初めて聞きました。これはどういった意味なのでしょうか?

グローバル化には欠かせない言葉!?

    

★貿易条件という言葉をご存知ですか??

●貿易条件とは・・・  貿易当事者間の費用負担範囲と危険負担移転時期を決めたもの。  国際商業会議所(ICC)が統一的規則を定めています。  ↓  危険負担とは、災害等の当事者責任外の原因で貨物が滅失した場合に  輸出者と輸入者のどちらが費用負担を行うかという問題です。

★主な貿易条件

●FOB:本船渡条件(実務では多い)  輸出者が指定した船積港で、輸入者が指定した船舶上で貨物を引き渡す  条件をいいます。  貨物が上記船舶の手すりを通過した時点で、費用負担及び危険負担が  輸出者から輸入者に移転します。  ↓  FOBではは手すりを通過したかどうかで判別しますが、飛行機やトラックや  鉄道ではその時期の確定が難しいですね。そこでFCA(運送人渡条件)と  呼ばれるFOBをより多様化した条件もあります。 ●CIF:運賃・保険料込条件  輸出者が仕向港(輸入者側の港)までの運賃&保険料を負担します。  但し、危険負担は、仕出港で船舶の手すりを通過した時点で移転します。  ↓  これを柔軟に対応させたのがCIPです。   ●CFR:運賃込条件  CIFに似ていますが、CIFは保険料負担が輸出者であるのに対して、  CFRは輸入者が保険料を負担します。