この記事を要約すると・・・・
- 固定資産税の計算を市役所がミスすることはあるのか
- 借入限度額の計算方法
- 退職金の積立方法
- 大家さんの法人化についての考察
こんにちは、旅行代理店向け税理士の佐藤です。
今回は「固定資産税の金額がおかしい気がするんだけど・・」「当社の借入金の限度額は幾らぐらいだろう」「社長の退職金を積立てる方法はあるのか」「不動産業の法人化は難しいか」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、固定資産税圧縮に繋がりますし、計画的な借入計画を立てることができますし、老後の退職金の心配も不要になりますし、大家さんの節税対策の見識を深めることができます。
固定資産税って間違ってることある?
- スロベニアやカスピ海周辺で貿易を行っています。日本には自社物件が多いのですが、毎年請求される固定資産税の額が明らかにおかしいように思うのです。こういう場合はどうしたらいいのでしょうか?
はい!あると思います!!
★地価には恣意性が非常に入りやすいです!
●土地の価格(地価)の算定は本当にバラバラです。 ↓ 公示価格、基準地価、路線価はネットで情報を拾えます。 でも固定資産税評価額は各市町村に問い合わせするしかありません。 ↓ ちなみに、 公示価格を100とすると、路線価は80、固定資産税評価額は70と いう目安があるようです。 ●公示価格とは・・・ 全国の都市計画区域に選定した標準地の1月1日時点の価格を 毎年3月下旬に国土交通省が公表。 一般の人の土地取引や資産評価に利用され、最も時価に近い指標。 ●基準地価とは・・・ 不動産鑑定士の評価を参考に7月1日時点の価格を毎年9月に 都道府県が公表。 (基準地価は都市計画区域外の林地も対象!) ●路線価とは・・・ 1月1日時点の市街地の街路の価格を毎年8月に国税庁が公表。 (相続税や贈与税の計算に活用する指標) ●固定資産税評価額 各市町村が1月1日現在の土地、家屋、償却資産の所有者に対し、 固定資産税評価額を基に課税する税金である。 固定資産税評価額は3年毎に見直しされます。★固定資産税額はしっかり確かめるべき!?
●固定資産税は賦課課税です。 ↓ 毎年送られてきた納付書に従ってそのまま納付するだけという パターンがほとんどかと思います。 仮に間違っていたとしてもそのままになってしまう可能性が 極めて高いんですね。 おかしいなと思ったら市役所に指摘しまくりましょう。 ↓ そのときには事前に公示地価、路線価、固定資産税の3つの 情報をゲットしておく必要があります。
銀行からの借入限度額の計算方法は??
- パラグアイとスペインを中心に海外旅行の斡旋業務を行っています。運転資金を銀行から結構借りています。うちの会社にも上限額があると思うのですが、簡単に計算式で算出できるのでしょうか?
数多くの指標があります!
★銀行からの借入限度額の算定方法
●会社の財産を全部売却したら債務返済できるを考えてみる ↓ 現預金はそのまま返済に回せますね。 売掛債権や在庫等も回収できれば原資になります。 逆に買掛金や未払金は原資から消し込む必要が出てきます。 ↓ これらを差し引きするれば、おおよその返済可能額が出てきます。 この額で、現在の借入額を賄えるかどうかですね。 仮に会社が潰れても借金を踏み倒すことなく綺麗に清算できると いうことです。 ●月間売上の3か月分 ↓ これ以上借りると実務面でも借入額が負担に思えてきますし、 銀行側からすると月商3ヶ月分以上の売上に対しての貸付は 非常にリスクを感じるそうです。 会社はいくらを希望しても、ココが金融機関の上限ラインに なる可能性は結構高いと思われます。 ●年間返済額と損益計算書を考えてみる ↓ 当たり前ですが、借入金には返済が必要です。この返済額を しっかり支払うことができるかについて、検討する余地は 十分にあります。 税引後利益+非支出項目費用(減価償却費)の合計額が、 年間借入返済額を下回っている会社は資金繰りに窮する 可能性が非常に高いです。 気をつけないとかなり危ないです! ↓ 資金繰りの危機はある日突然生じます。 これは、それまで資金繰り問題を逃げていたために、資金 ショートのタイミングで初めて明るみに出たからです。 前もって段取りしていれば延命措置もあっただろうにと いうケースが多々あります。 逃げたい問題ですが資金繰りには正面から立ち向かい ましょう。
設立時から退職金のことを考えておくべき?
- キルギスやシチリアを中心に食材を輸入する会社を設立しました。20年先の引退を考えていますが、今この時点から退職金については考慮して動くべきなのでしょうか?
生命保険を利用して退職金原資を作りましょう
★退職金の税金上のメリット①
●法人にとってのメリット ↓ 退職金は一般的に多額になるので法人税を考えると損金計上 メリットがあります。 ↓ 但し、不相当に高額な部分は否認されるリスクがあるので 要注意ですね!★退職金の税金上のメリット②
●受け取る側のメリット ↓ 所得税法上、退職金用の所得控除があります。 分離課税されます。 所得税率も低く設定されています。 ↓ つまり、退職金は受取る側から見るとかなり優遇されてるんです。★退職金の税金上のメリット③
●相続に関するメリット ↓ 死亡退職金は相続税ではみなし相続財産になりますが、非課税枠あり! 500万円×法定相続人数の非課税枠を使えるんですね! ↓ また、退職金支給は一般的に株価をぐっと下げる効果がありますので このタイミングで事業承継を行っていくのも有効です! ↓ 先日、旅行代理店の税理士クライアントの社長から退職金の相談を受けました。 すこしここでまとめてみようと考えました。
サラリーマンが不動産賃貸をする際の節税
- 駿河湾近郊で投資用のマンションを買いました。私は東京でサラリーマンをしています。この場合の節税方法としてよい方法はありませんか??
会社設立は検討すべきです!!
★サラリーマン+不動産賃貸
●サラリーマンとして給与所得を得ながら、マンション等の 不動産を買って第三者に賃貸し不動産所得を得ている人って 実は最近すごく多いですね。 ↓ 個人で不動産賃貸による不動産所得まで確定申告する ケースでは金額にもよりますが、かなりの所得税額に なる場合があります。 (給与所得が大きい場合では特に・・・) ↓ こういったケースでは、新たに法人を設立し、所有不動産を 法人に移行すると節税になる場合が多いです。★不動産賃貸業の法人を設立する場合
●この場合には、個人所有の不動産を法人に移す必要があります。 ↓ 採り得る手段としては □売買 □現物出資 □賃貸 が考えられます。 ●賃貸 ↓ 賃貸の場合は賃貸借と使用貸借が考えられますが、どちらにしても 法人側で減価償却のメリットを享受できません。 簿価がかなり大きい資産なので減価償却メリットは生かすべきでは ないかと思います。 ちなみに賃貸借設定をしてしまうと、不動産所得が発生するので 現状からの変化という意味ではあまり効果はありませんね。 ●現物出資 不動産を現物出資して会社設立という手法ですが、現物出資は売買 と同じ扱いになり、時価売買されたとみなされ、譲渡所得の対象に なります。取得価格と時価について、最近の日本の不動産状況では 乖離することはあまりないので譲渡所得に対する税金はそれほど 大きくならないとは思いますが・・・・ ↓ 問題は資本金額が膨らむ可能性がある点です。住民税等の算定基準 が高くなり、支出が大きくなるリスクがあります。 ●売買 これが一番無難です。 とはいえ、会社にキャッシュはないので、個人→会社に資金を貸付け たことにして、その資金を基に不動産を購入したとします。 ↓ 会社は個人からの借入金を返していけば済みます。