粉飾による売掛金を貸倒処理できるか?

  • 戦国時代のグッズを販売している会社です。10年前に銀行融資の関係でどうしても黒字にしたくて粉飾決算を行いました。その影響で未だに見合いの売掛金が計上されたままです。どうにかする方法はあるのでしょうか?

かなり困難ですね!!

    

★粉飾の結果として売掛金が残るリスクは大きい!!

●銀行からの融資を引っ張るために、中小企業でも粉飾決算を行う  ことが稀にあります(稀でもないかもしれませんが・・)。  ↓  法人税が膨らむ方向なので、税務調査で問題にならないという  安心感が簡単にそうさせるのかもしれません。  しかし、事はそう単純ではありません。  ↓  粉飾の結果として、必然的に売掛債権が登場します。  粉飾をやってしまった期には気も留めなかったかもしれない  この売掛金を将来のいつかのタイミングで貸倒処理を行うことで  消し込みたいという会社が実は圧倒的に登場してきます。  ↓  この場合、事はそんなに簡単に運びません。  

★粉飾の結果として売掛金を消す方法はあるか?

●そのそも法人が過大申告した場合に過大納付した法人税額は  法定申告期限から1年以内であれば、更正の請求を行えます。  ↓  1年を超えると(5年以内)、税務署長の職権に属する範囲で、  減額更正の嘆願書等を提出する必要があります。  ↓  しかし、粉飾の結果としての嘆願が、そんなに簡単に認められるとは  思えません。  ↓  というより、ダメと思った方がいいでしょう。 ●5年を超えてくるともっと可能性が低くなります。  とりあえず、売掛債権残高を実態ベースで正しく処理し、  前期修正損益項目としておいて、税務上は加算することぐらいしか  方法はないと思われますね。  


海外へのセミナー参加は損金OK?

  • 海南島や香港を中心に不動産関連情報を提供している会社です。この度役員2名が海外セミナー参加としてシドニーに行きます。これらの交通費や日当はすべて旅費交通費として処理して大丈夫でしょうか?

要注意!内容によります!

    

★最近多いです。海外へのセミナー参加。

●海外へのセミナーに役員が参加するケースはかなり多くなってきました。  長いときは1ヶ月といった場合もあるようです。  ↓  このときに損金計上できるかどうかは慎重に見極めましょう。  ↓  会社の事業に直接関連し、セミナー参加にどれほどの効果がある  のかを客観的に明確にしておくべきです。  ↓  もっというと、海外セミナーへの渡航費や日当を支払う場合、  ◆この費用が法人の業務遂行上必要かどうか。  ◆金額が通常必要と認められる金額の範囲内かどうか。  この2点が損金参入の判断の分かれ目になりますね。  ↓  もし旅費交通費として認められないとなると、渡航した  役員や使用人の給与として扱われてしまいます。

★旅費交通費にするにはかなり慎重に!

●例えば1ヶ月間のセミナーだった場合。  このセミナー受講が会社にとって有用であることを証明  しなければなりません。  細かい日程、講義内容を会社が把握し、どこがどういう風に会社の業務  に有用になってくるかを明確化し、第三者の誰もが納得するほどに  客観性を備えておく必要があると思われます。  ↓  仮に、このセミナーの内容が  観光が主目的だったり、セミナーが単なる名目上のものだったり、  訪問者(役員or使用人)の個人的スキルアップが目的だったりする  ような場合には、給与扱いになり源泉所得税の問題が浮上するので  かなり慎重にいきましょう!  ↓  個人の能力アップがいずれは会社の業務遂行と関連してくるという考えも  ありますが、その実効性がはっきり予測できる必要があります。  つまり、会社業務との直接的関連性(もっというと参加理由)を第三者に  対して明らかにするべきですね。


海外の仕事に配偶者は連れて行けるか?

  • 石油関連の仕事をしています。今度、アラブ各国を訪問するのですが、配偶者同伴を求められています。この場合は、配偶者部分の会社の損金にしてもいいのでしょうか?

ケースバイケースです

    

★海外の取引先への表敬訪問

●海外渡航費(旅費や日当)を旅費交通費にできるかどうかの判断。  ↓  ①その渡航が会社業務の遂行上必要かどうか。  ②通常必要と認められる程度の相当な金額かどうか。  この二つの事実認定になります。  ↓  ただし、以下の3つは通常は旅費交通費に当たらないとされます。  ①観光が組み込まれている旅行  ②旅行代理店のパッケージツアー等に応募して行うケース  ③同業者団体等が主催して行う観光目的の組み込まれた団体旅行  ↓  但し、パッケージツアーで申し込んで渡航しても、業務内容から見て  法人業務に直接関連性がある旅行をしている場合には、旅費交通費  計上が認められると思われます。これも事実判定ですね。  

★配偶者同伴のケースも多いですね

●業務上必要な渡航であっても、法人が役員(従業員)の同伴者の費用  を負担した場合は、その同伴者負担分は給与扱いになるのが原則。  ↓  とはいえ、同伴者がいないと、海外渡航の目的を達せられない時も  結構あったりします。こういうときは通常必要と認められる範囲内  の金額であれば旅費交通費処理もOKです。  ↓  例えば、  ①役員(従業員)が身体障害者で補佐が必要なケース  ②国際会議出席等で配偶者同伴を求められるケース  ③通訳機能が必要なケース  こんなケースは同伴者費用も旅費交通費にできます。