海外駐在等から帰った人の手当や旅費は?
- 素麺製造の中小メーカーです。アジア各国への海外駐在員を多く抱えています。帰国の際に旅費や手当等を会社から出していますが税務上はどう扱うのでしょうか?
必要経費かそうでないかで分かれますね
★7/20に帰国した人。帰国後に払う現地の所得税は?
●海外駐在中から従業員の所得税は会社が負担していたとして、7/20に帰国した としましょう。通常、現地の税金の精算はすぐにできないので、帰国後に納税 する必要が出てきます。 ↓ 帰国後の9月に現地での所得税を会社が払ってあげた場合 ↓ 従業員の海外での税金を会社が払うと、払った時点で賞与として扱われます。 ●帰国後に「従業員の海外での所得税」を会社が払って賞与が生じた場合、 従業員は既に「居住者」になっているために全世界所得ベースで源泉徴収を行い 年末調整の対象にもなってきます。つまりこの賞与は、源泉徴収も年末調整にも かかわってくるということですね。★7/20に帰国した人。帰国の費用は会社負担?
●会社が帰国のための引越し費用を負担することはよくあります。 8/1からの転校に合わせて従業員の子供のための手当を出す場合もあります。 ↓ 転任・転居のための旅行(旅費)や関連費用は非課税旅費として扱われますので 引越し費用は非課税旅費として扱ってOKです。 ↓ しかし、その他の帰国手当は通常の旅行に要するものではないですね。 この手当は賞与になります。帰国後に支払っている場合には上記同様 「居住者」になってからの所得になるので源泉徴収も年末調整も関わってきます。★7/20に帰国した人。会社の推薦で買った車を処分した場合
●場所にもよりますが、海外では自動車なしでは生活できない場所が多いですね。 自己負担で自動車を購入し、帰国前に売却して損をした場合、会社が補填 してもいいのでしょうか。 ↓ 税務上は賞与になります。「居住者」への賞与なので上記同様に、 源泉徴収や年末調整にかかってきますので注意が必要です。 ●会社の転勤命令によって自動車を売却したわけですし、 自動車の購入を推薦したのも会社であったような場合 ↓ 自動車売却行為=転勤に伴う費用に該当するような気もします ↓ しかし、自動車は専ら自家用車として利用されているわけです。 つまり、従業員の現地での生活に必要な資産です。 (会社として必要な資産ではありませんね) ↓ ですので、「転勤に伴う転居のための旅行に通常必要な費用」 には当てはまらないと考えられます。
海外出向から帰った人の住宅ローン控除はどうなる?
- わかめの加工業をしているメーカーです。海外出向から帰ってきた従業員に住宅ローンのことを聞かれました。この場合どう処理するのでしょうか?
事前事後の手続が必要ですが控除は受けられます
★7/20に帰国した従業員。住宅ローン控除は?
●海外出向前の何年か前に住宅を取得して、既に 住宅ローン控除(住宅取得等特別控除:住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除) を受けている場合。(海外に数年いたとしましょう) ↓ 海外に行く前に租税特別措置法第41条第12項の届出書を提出していたならば 帰国後に住宅取得等特別控除を受けることはできます。 (ただし、年末調整ではなく確定申告になります)★租税特別措置法第41条第12項
●国税庁ホームページを参照 ↓ 住宅借入金等特別控除の適用を受けていた人が、 勤務先からの転任命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由によって、 控除適用家屋に居住できなくなったことにより控除適用を受けられなくなった後、 再び居住するに至った場合に住宅借入金等特別控除の適用年のうち、 再居住する年以後の各年について、確定申告により再適用を受けられる制度。 ↓ ただし、再び居住する日の属する年に賃貸していた場合には、 その年の翌年以後の各年になるので注意が必要です。 ●再居住により、再適用を受けるには、再適用を受ける最初の年分の確定申告書 に以下の書類を添付します。 ①住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書 →「住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用) ②家屋所在地がその者の住所地として記載されている住民票の写し ③金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
海外から戻った人の住宅ローン控除。事前手続必要?
- あんこうの加工会社です。海外出張の従業員が多いのですが、出向前に住宅ローン控除の手続を何もしてない場合は帰国後に控除の特典は受けられませんか?
条件を満たせば事前手続不要になります!
★7/20に単身の海外出向から帰国。住宅ローン控除は?
●時系列 海外出向の数年前に住宅を購入し、住宅取得等特別控除を受けている。 ↓ その後、数年間海外単身出向へ(家族はずっと持ち家住宅に住み続ける) ↓ 帰国後は持ち家の自宅に家族と再び住み始める。 ↓ こういうケースは結構ありますね。 ↓ <結論> この人は帰国後の年末調整から住宅取得等特別控除を受けることができます!★住宅取得等特別控除(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
●住宅取得等特別控除を受けることができる者 →「居住者」に限定。 →各年の12月31日時点で、引き続きその居住の用に供している場合 ●上記で問題になるのは「引き続き」の定義です。 ↓ Aさんが転勤その他のやむをえない事情により、 配偶者、扶養存続その他その者と生計を一にする親族と 日常の起居を共にしないことになった場合に 家屋をこれらの親族が引き続き居住していて、 やむをえない事情の解消後にAさんも居住することになるならば Aさんが引き続き居住の用に供しているものとします。 ●上記の方法の手続を失念した場合でも今回の手法で条件を満たせば住宅取得等特別控除を受けることができます。
1年の間で住宅購入→海外転勤→帰国が生じた!
- 瓜の製造卸販売を行っています。今年の年末調整にあたり、1年の間で住宅購入、海外転勤、帰国が全て生じた従業員がいましたが、住宅ローン控除は大丈夫でしょうか?
住宅ローン控除はちょっと厳しいですね。
★1年内の住宅取得→海外駐在→帰国がある場合
●時系列で例を追ってみます。 1/15:居住用マンションを購入しすぐに入居。 2/15:3年の予定で家族とともに海外駐在へ。 9/15:会社に都合で急遽帰国し国内赴任へ。 9/16:1/15に購入したマンションに家族とともに再度住み始める。 ●この場合には住宅取得等特別控除の適用は受けられません!★1年内の住宅取得→海外駐在→帰国がある場合
●租税特別措置法第41条第14項(平成21年度新設) ↓ 居住の用に供した日からその年の12月31日までの間に、 転勤命令等に伴う転居によって居住用の用に供しなくなった場合で 居住年の翌年以降に再度居住することになった場合 残存する分の住宅取得特別控除を受けられます! ↓ 再居住の用件は、居住した年の翌年以降となっています。 また、居住日~その年の12月31日の継続した居住も求められています。 ↓ つまりこの場合は、認められないということですね。