この記事を要約すると・・・・
- 個人事業主が税理士報酬を払う場合は絶対源泉控除があるのか
- 小規模企業共済にデメリットはないのか
- 保険金が入ってきたら医療費控除からマイナスするか
こんにちは、神戸の税理士の佐藤です。
今回は「全ての個人事業主が税理士報酬を払うときに源泉所得税を控除しなければならないの?」「小規模企業共済は絶対加入すべきなの?」「医療費見合いの保険金が入金されたらすべきことは?」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、税理士報酬の源泉所得税の意味が理解できますし、小規模企業共済の加入の判断材料になりますし、保険金と医療費控除の関係性も理解できます。
個人事業主も源泉徴収義務あるの?
- 吹田で美容室をしてる個人事業主です。スタッフはいません。毎月税理士に顧問料を払ってますが、これは源泉徴収の必要があるといわれましたが本当ですか?
一定の個人の場合は源泉徴収義務ないです!
★源泉徴収義務者とは・・・
●会社や個人が 従業員に給与を支払うor税理士に報酬を支払うような場合、 支払の都度、所得税を差し引くことが原則です。 ↓ で、この所得税を給与支払月の翌月10日までに納付するのが原則ですね。 ↓ この源泉徴収義務はどんな会社でも個人でも負うのでしょうか?★源泉徴収義務を負うケース・負わないケース
●会社:どんな場合でも源泉徴収義務から逃れられません。 ●個人:原則は源泉徴収義務がありますが、一部の場合ではありません。 以下のいずれかのケースでは源泉徴収義務はないのです! ↓ ◆2人以下の家事使用人(お手伝いさん)だけに給与や退職金を払っている個人 ◆弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている個人 ●つまり・・・・ 例えばサラリーマンが確定申告のために毎月税理士へ顧問料を払っているような 場合では、他に何の支払いもありませんので、源泉徴収不要です。 ↓ これと同じ発想で、自分ひとりで商売をしている個人事業主の場合は、給与の支払 がありません。神戸の税理士に報酬を払っていたとしても税理士だけに報酬を払っている という形になりますので、源泉徴収義務者にはなりません! ↓ では個人事業主の奥様に専従者給与を払っていたような場合はどうなるでしょうか? お手伝いさん(事業ではなく家事についての)への給与であれば大丈夫ですが、妻への 給与はお手伝いさんの給与とはいえませんね。 こうなってくると、源泉徴収義務は発生してくるでしょう。
小規模企業共済のデメリットはない?
- ヘルパーや介護福祉士を派遣する介護系の会社を経営しています。儲かっているので役員報酬を増やしましたが所得税もかなり膨らみました。こういうときに小規模企業共済がお得と聞いたのですがメリットだけですか?
見方にもよりますがデメリットはあります
★小規模企業共済とは・・・
●小規模企業共済は節税の観点から大きなメリットがあるのは事実です。 ↓ では、デメリットはないかというとそうでもありません。 デメリットもしっかり把握した上で加入の是非を検討しましょう。★小規模企業共済のデメリットについて
●小規模共済加入後1年以内の解約は悲惨です。 掛金がの戻りはゼロです。掛け捨てです。 長期的視点で考えられる必要がありますね。 ↓ これに関連して、「じゃあ1年を超えるとしっかり戻ってくるか」という 命題が登場します。 結論から言うと、20年以上の加入期間がないと、掛金全額が戻ってくる ことはありません。つまり、20年以内に自己都合で解約してしまうと 今までの掛金よりも小さい額しか戻ってこない計算になります。 しかも、この戻ってきた額には一時所得として課税が待っています。 ↓ 掛金は所得控除対象としてメリットがありますが、一時所得の場合の 支出額には当てはまらないのでメリットの時期にズレが生じます。 収入-支出ー特別控除額(最高50万円)が課税対象ですが、 収入=解約返戻金に対して、支出の中に掛金が含まれないということです。 (そのかわり、所得控除対象になってますが) ↓ いかに無理せずに掛金を一定額で払うかがポイントです。 無担保・無保証人の低利融資制度があるので解約するよりは融資を受けて 払い続けるほうが得策です。 ●毎月払う掛金を減額する場合には相当の理由が求められます。 業績悪化や病気等、限定的なんですね。 ↓ 最初から大きい額を掛けるのではなく小さく掛けていくことが肝要です。 ↓ 金額はミニマムであってもより早い段階でスタートさせると20年に早く近づく ので、より早い段階での加入をお勧めします。
入院給付金もらったら医療費控除は不可能?
- 奈良の訪問介護の会社に勤めています。肝臓疾患で入院して10万円かかりましたが保険で15万円もらいました。余った5万円は歯の治療費からも控除しなければならないのでしょうか?
該当する医療費から控除しましょう!
★保険会社から入院給付金をもらった!
●支払った医療費<保険金額の場合 ↓ たまにある話です。 余った保険金部分を他の医療費から差し引く必要はありません。 あくまで個別計算です。 つまり、今回の入院分の医療費はゼロになりますが、余った保険金額 は切捨てということになりますね。★介護保険から高額介護サービス費をもらった!
●高額介護サービス費 ↓ 要介護者等が負担している一定の自己負担額のうち 世帯あたり合計が一定額を超えた場合の超過部分が払い戻される制度 ↓ 医療費の補填となるので医療費控除対象です。★会社から見舞金をもらった!
●原則:医療費から、保険金、損害賠償金等で補填される部分を控除する! ↓ とはいえ、一部例外あり! 今回は下記③に該当するので医療費から控除する必要なし! ↓ ①死亡、重度障害等による保険金、損害賠償金等 ②社会保険等による給付金のうち、 健康保険法の規定により支給を受ける傷病手当金又は出産手当金等 ③使用者や互助会等からの見舞金等