この記事を要約すると・・・・

  • 海外旅行で注意すべき医療費の金額
  • 生命保険金と相続税と贈与税と所得税の関係
  • 戸籍と住民票の関係

こんにちは、薬局向けの税理士の佐藤です。
今回は「海外旅行で大きな病気をした場合の医療費に保険適用できるのか」「生命保険金が入金されたがこれは贈与税なのか所得税なのか?」「戸籍や住民票に除票とか除籍とかってあるけどこれは何だろう」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、海外での医療費対策ができますし、生命保険金の確定申告方法が分かります。

海外旅行で盲腸に・・・病院代金が200万円を超えました。

質問日:2009/04/15
昨年アメリカに個人旅行に行きました。たまたま盲腸になって病院に入ったら200万円を
請求されました。こういう場合、対処の方法はないのでしょうか?

海外旅行での病院代はびっくりするほど高いのです

回答日:2009/04/22


★まず、海外旅行の治療代の相場を知っておきましょう

日本損害保険協会が発表している 海外各都市の盲腸手術入院の治療代の相場があります。  これによると、、、、   ●ホノルル:256万円   ●ロサンゼルス:160万円~210万円   ●バンクーバー:110万円~180万円   ●ロンドン:130万円~170万円   ●ウィーン:127万円   ●ローマ:122万円   ●アテネ:114万円   ●マドリード:101万円   ●パース:40万円~100万円   ●パリ:86万円   そうなんです。 海外の病院に行くと、日本人でも簡単に払えないような額の治療費がかかってくるんです。 加えて、支払い能力が確認できないと治療自体が受けられない場合もあります。 まずは、これを知っておきましょう。 だからこそ、日本の損害保険会社は口すっぱく「海外旅行保険」を訴求するんですね。 分からなくもないです。。。。

★海外旅行保険に入ってなければお手上げ?

これからゴールデンウィークもあります。多くの海外旅行者が出てきそうですが、 海外旅行保険に入ってなくて、病気になっちゃった場合、どうしようもないのでしょうか? そこで、注目されるのがクレジットカードです。 クレジットカードには、海外旅行傷害保険が自動付帯されている場合が多いのです。 (海外旅行に行く人でクレジットカードを持っていなければ致命傷になります) 例えば、三井住友カードの場合はオフィシャルホームページをご確認下さい。かなり詳しく掲載されています。  ただクレジットカードの自動付帯の場合、注意点があります。    ①保険が無条件で適用されるか否かです。   ゴールドカードは無条件で適用となる場合が多いですが、一般カードの場合は   旅行代金等を決済した場合に限定されたり、補償額が低く設定されたりします。  ②適用期間と補償範囲が限定的な場合が多いようです。   自動付帯の旅行保険の適用期間の多くは出国後3ヶ月以内となっています。    ③病気死亡や携行品等が対象外となっているクレジットカードもあります。  ④治療費は現地で旅行者が立て替える必要があります。   帰国後にクレジットカード会社に請求するので、現地では多額の現金が必要ですね。   (でも通常の旅行なら、現金持ち出しは100万円以内のルールがあるのですが・・)    ⑤クレジットカードに自動付帯している保険では、支払い能力の証明にはならない   場合もあります。    これらを総合的に勘案すると、 やはり通常の「海外旅行保険」への加入が最も安全策なんでしょうね。 弊税理士事務所に薬局経営の薬剤師さんから連絡がありました。イタリア旅行で大けがをしたけどクレジットカードの保険でほとんどカバーできたとのこと。万が一のときには本当に役立ちます。

生命保険の保険金は相続税?所得税?贈与税?

質問日:2009/04/15
私には妻が受取人の生命保険があります。私が死亡した場合には妻に保険金が
入りますが、これにも税金がかかるのでしょうか?

生命保険の保険金にも原則として税金はかかります

回答日:2009/04/26


★生命保険の保険金を受け取ったとき

保険金を受け取る場合、その保険金の支払原因(死亡・満期等)は何か、 保険料の負担者はだれなのか等によって課税関係が異なります。 <事例> ①夫:被保検者、保険料負担者、受取人   妻:なし  ⇒満期保険金:夫の所得税の対象になります。 ②夫:被保検者、保険料負担者   妻:受取人  ⇒満期保険金:妻に贈与税がかかります。  ⇒死亡保険金(夫の死):妻に相続税がかかります。   ③夫:保険料負担者   妻:被保険者、受取人  ⇒死亡保険金(夫の死):妻に相続税がかかります。   ④夫:保険料負担者、受取人   妻:被保険者  ⇒満期保険金:夫の所得税の対象になります。  ⇒死亡保険金(妻の死):夫の所得税の対象になります。

★相続税

500万円×法定相続人数が非課税となります。 「相続放棄をした人がいても放棄はなかったものとした場合の相続人数で計算」等の 細かい規定があります。 非課税規定は法定相続人以外が受取った死亡保険金には適用はありません!

★所得税

所得税が課税されるのは、上を見ると分かるように 保険料負担者と満期保険金の受取人が同一の場合です。 この場合の満期保険金は、受取の方法により、一時所得又は雑所得として課税されます。  ●一時金で受領した場合:一時所得になります。   一時所得の金額は、保険金以外に一時所得がないとすれば、   受取保険金総額から既払込保険料を差し引き、更に一時所得の特別控除50万円を   差し引いた金額です。   課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。  ●保険金を年金で受領した場合:公的年金以外の雑所得になります。  雑所得の金額は、受取年金額に対応する払込保険料の額を差し引いた金額です。  受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。

★贈与税

生命保険金が、贈与税の対象となるのは次の場合です。 保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、 生命保険金を受け取った場合です。 しかし、けがや病気などによるものは除かれます。 受取死亡保険金のうち、保険料負担者と被保険者が同じ場合、 贈与税ではなく相続税の対象となります。 贈与税の基礎控除額は110万円なので、そこまでは非課税ですね。

★損害保険の場合・・・・

損害保険金の場合も保険料の負担者や支払原因によって課税関係が異なりますが、 建物焼失や身体障害・疾病を原因として受取る保険金には、原則として課税されません。 しかし、事業者の店舗や商品が火災で焼失した場合、 焼失した商品の損害保険金は事業収入になります。

戸籍?除籍?住民票?除票?なんじゃそれ?

質問日:2009/04/15
先日夫が亡くなりました。相続手続のために銀行に行ったら除籍簿を出してくれと言われ、
市役所に行くと「除籍簿はない」とのこと。どういうこと?

戸籍や住民票の基本的なこと。日本人として知りましょう!

回答日:2009/05/01


★そもそも戸籍とは・・・・

戸籍とは、個人の出生から死亡まで、その親子関係・婚姻・出生等の身分関係を 証明する文書のことですです。 市町村の区域内に本籍を定める夫婦及びこれと氏を同じくする子(婚姻前の子供) 毎に編成されます。 一般には、婚姻に際し、氏を称する方(夫の氏の方が多いですね)を筆頭者として、 新しい戸籍が作られます。

★では、除籍簿とは・・・・

この戸籍は筆頭者が亡くなっても、その戸籍に記載されている人が一人でも残っていれば、 戸籍として存在します。 戸籍に記載された人「全て」が、婚姻や離婚・死亡等によりその戸籍から除かれて初めて、 その戸籍は「除籍簿」と呼ばれるようになるんです。 つまり、筆頭者である夫が亡くなったとしてても、妻がその戸籍に残っている場合は、 除籍簿はまだ登場せず、まだ戸籍として存在しているのです。

★住民票の場合はどうなるのでしょう?

住民票は、氏名・生年月日・住所等の情報が記載され、個人を単位として、その世帯毎 に編成されています。 住民票は個人を単位としています。 だから、亡くなった人がいれば、その人の住民票は「除票」となるわけです。 世帯主が亡くなれば、世帯主の住民票は「除票」となり、 新たに世帯主を決めることになります。