この記事を要約すると・・・・

  • 相続税の概要の説明
  • 相続時精算課税制度
  • エコカー減税

こんにちは、薬局向け税理士の佐藤です。
今回は「相続税について概略を知りたい」「相続時精算課税とな何だろう」「エコカー減税を考えて車両を購入したい」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、相続の全体像を掴めますし、社用車購入の指針にもなるはずです。

土地や建物を親から相続。大体相続税はいくらなの?

質問日:2009/04/25
この度、父親が死亡し土地や建物を相続することになりました。土地と建物が
あって相続する形になるんですが、相続税の計算のイメージすらありません。

相続税計算のざっくりしたイメージは相続人は持っておくべき!

回答日:2009/05/10


★相続税。まず基本は基礎控除です!

相続税の計算をするにはまず遺産総額を確定します。その総額から無条件に マイナスされるものが基礎控除です。  ●5000万円は無条件で引かれます。   これに加えて法定相続人1人当たり1000万円引かれます。 つまり、5000万円以下の相続財産しかなければ、そもそも相続税はゼロなんですね。 たいていの人は相続税がかからない理由はココにあります。 <注意> 親の土地・建物にローンが付いていれば、その分は減額になります。

★土地。どうやって金額評価するのか。

土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」という二つの方法があります。  ◆路線価方式とは、毎年更新される路線価に土地の面積を掛けて計算する方法です。   土地が面している道路などの条件によって補正を加えて評価額を計算します。    ◆路線価が設定されていない土地は、倍率方式で評価します。   倍率方式では、固定資産税評価額に、国税庁が決めた評価倍率を掛けて   相続税の評価額を計算します。 路線価や評価倍率は 国税庁のウェブサイトで閲覧可能です。

★建物。どうやって金額評価するのか。

建物の評価方法は固定資産税評価額で決まります。 固定資産税評価額が1,000万円ならば、相続税評価額もそのまま1,000万円となります。

★土地と建物については特例があります!

特定事業用宅地等である小規模宅地等、特定居住用宅地等である小規模宅地等 に該当すればかなりの控除を望めます。(相続人が個人の場合だけです) 面積制限や親と同居している場合等の要件はありますが、 評価額の80%が控除されます(つまり20%のみの負担です!) 同居じゃないような場合でも「小規模宅地」に該当すれば50%が控除されます!   ●この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に、    この特例を受けようとする旨など所定の事項を記載するとともに、    計算明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります これらについては国税庁ホームページに詳細解説があります。

親から借金してマンション購入。これだけで税務署は来る?

質問日:2009/04/25
以前両親から借金して私たち夫婦のマンションを購入しました。突然税務署が来て
調査を受けたのですが、こんなことってよくあるのでしょうか?

親からお金を借りて住宅取得した時に税務署はよく来ます!

回答日:2009/05/11


★税務署対策は以下の通りです

親から資金援助を受けマンション等の住宅を購入していた場合、税務署から 「お尋ね」が来る場合があります。  このときの対策は以下です。    ●書面で金銭消費貸借契約書を作成しておく  ●契約内容は一般的に使用される形式や利率を使用する  ●入出金に関しては銀行口座を通す  ●返済金額をまた受け取るような行為は行わない(循環取引はダメ!)

★相続時精算課税制度をご存知ですか?

借りたお金を返さない場合は、当然ですが贈与の話が出てきます。 そこで知っておくべきなのは「相続時精算課税制度」です。    ◆相続時精算課税制度とは・・・・   従来の贈与税の課税の仕組み(暦年課税)との選択制で、   新たに相続税と贈与税の一体化措置が導入されました。   これを「相続時精算課税制度」といいます。   つまりは、親から子への贈与について、贈与時に軽減された贈与税を納付し、   相続時に相続税で精算する制度のことです。      この制度を選択すると、特別控除額枠内の贈与については贈与税を課税せず、   贈与者(親)が死亡した時に、   (相続財産の価額+この制度の適用を受けた贈与財産の価額)を   相続財産の価額として、相続税を課税する制度です。      *特別控除額枠   特別控除額枠は2,500万円で、贈与財産価額累計額が特別控除額枠   を超えた場合、超過額に20%の贈与税が課せられます。   そして、その贈与税額は相続時に相続税額から控除できます。 分かりにくいですね。具体的な数字で説明しましょう。   <前提>  親から3000万円の生前贈与を受けたとします。 相続時に加えて2000万円の相続を受けた場合。 ◆贈与時 3000万円―2500万円=500万円に20%の贈与税がかかります。 つまり、100万円を納付するわけです。 ◆相続時 贈与額と相続額を合算で相続税を計算します。 つまり5000万円の相続があったものとして(相続税の控除額をマイナスして)、 相続税率をかけて相続税を求めます。 で、求められた相続税から100万円を引いて額を納めるのです。 マイナスになれば還付ということです!

★相続時精算課税制度の適用条件

【A】贈与税の暦年課税と【B】相続時精算課税制度は条件に違いがあります。 ◆贈与者:【A】は誰でもOK。        【B】は65歳以上の親から20歳以上の子への贈与のみ。       (但し、住宅取得資金の場合の特例:親の年齢要件はナシ!) ◆選択:【A】は不要。      【B】は必要。【B】は一度選択すれば、暦年課税に戻れません! ◆控除額:【A】は毎年110万円。        【B】は2,500万円特別控除(限度額まで複数年使用可能)。        (但し、住宅取得資金の場合の特例として平成21年12月までは         3,500万円まで控除可能です!) ◆税率:【A】は10%~50%。      【B】は一律20%。      

★相続時精算課税制度の注意点をまとめます!

●相続時精算課税制度の選択をするには 選択した親から最初に贈与を受けた年 の翌年の2月15日から3月15日までの間に贈与税の申告書と共に 「相続税時精算課税制度を選択する旨」の届出書を税務署に提出する必要があります。 ●父・母毎に選択できます 父からの贈与についてこの制度を選択し、母からの贈与についてこの制度を選択しない ことも可能です!加えて、兄弟間(推定相続人毎)で選択が違っても問題ありません。 ●適用対象財産 贈与財産は何でもOKです。また贈与の回数にも金額にも制限はありません。 ●贈与税の申告 この制度を選択した親からの贈与は贈与税が課税されなくても贈与税の申告が必要! ●親からの贈与財産の価額の累計額が2,500万円に達するまで贈与税は課税されません。 特別控除額枠を超えた時点で、贈与については一律20%の贈与税が課税されます。 通常の贈与税の年110万円の基礎控除はないので要注意です! ●不動産の贈与となれば、別途、不動産の登記費用や不動産取得税がかかります。 ●住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例(平成21年12月まで)が時限的に 存在します。取得住宅にも各種の制限があるので要注意ですが、これをクリア できれば、控除枠が3,500万円にアップするのでかなりお得になりますね。 財務省のホームページにも詳細があります。

テレビでよく見る「エコカー減税」。でも内容がよく分からない・・

質問日:2009/04/25
最近、テレビや新聞でよく「エコカー減税」って言葉を見るのですが、
ハイブリッド車を買うと安くなるイメージしかありません。どれぐらいお得なの?

エコカー減税を知って賢い車選びをしましょう!

回答日:2009/05/02


★エコカー減税。まずは基本を抑えましょう!

「エコカー減税」。よく聞きますね。順を追って見ていきましょう! ●対象となる主な税金は「自動車重量税」と「自動車取得税」の二つです。 ●対象となる車は  ①電気自動車  ②天然ガス自動車  ③プラグインハイブリッド  ④クリーンディーゼル自動車  ⑤ハイブリッド  ⑥低燃費かつ低排出ガス認定自動車  (それぞれ、細かい規定はありますので国土交通省のホームページで確認してくださいね) ●中古車も対象ですが、初度登録が平成15年度10月以降の車に限られます。

★自動車重量税からみていきましょう

●自動車重量税とは車両重量に応じて課税される国税です。 ●減税の適用期間は2009年4月1日から2012年4月30日まで。  <新車の場合>   ①~⑤の対象車は、最初の車検の自動車重量税がなんと免税=タダになります。   例えばアルファードハイブリッドの新車なら約10万円、中古車なら約6万円がタダです!   プリウスでも新車なら約6万円、中古車なら約4万円がタダになっちゃうんですね。   ⑥は細かい規定があり、75%OFF、50%OFFの2種。(燃費基準等によって異なります)  <中古車の場合>   最初の車検時に減税が行われます(車検が切れている場合は、購入時減税)。   減税割合は新車と変わりありません。

★次に自動車取得税を見ていきましょう!

●自動車取得税とは、車の取得に対して課せられる都道府県税です。 ●自動車取得税の計算方法は、車両本体+オプション装備総額の90%を「取得価格」とし、 この「取得価格」に対し5%をかけたものが、自動車取得税です。(新車の場合) ●減税の摘要期間  新車の場合は2012年3月31日までの3年間。  中古車の場合、④⑤⑥は2010年3月31日まで。①②③は20012年3月31日までの3年間。  <新車の場合>   ①~⑤の対象車は免税になります。   ⑥は細かい規定があり、75%OFF、50%OFFの2つ。(燃費基準等によって異なります)   今人気爆発のホンダのインサイトの新車なら約6万円がタダになります(全額免税)。  <中古車の場合>  中古車の場合は、新車購入価格に減価償却を考慮して、取得価格が決まります。  中古車に対する自動車取得税の減税は、この「取得価格」にかけられる5%という  数字が減らされるというものです。2~4%程度となりますね。  しかし⑥だけはちょっと特殊です。  減価償却考慮後の取得価格から30万円を控除して(+25%以上の場合)してから  5%を乗じて計算します。  (つまり⑥の場合は、5%が減るわけではないんです) ●そもそも自動車取得税は、取得価格が50万円以下となる場合は免税となります。  新しくて価格の高い車ほど、今回の減税効果は大きいと言えるでしょう。  最近、弊税理士事務所に薬局のクライアントから車の購入の相談がありました。この場合もエコカー減税を考量した購入をお勧めしました。