社会保険とか労働保険はいつ損金になるの?

  • 成都と青海からの輸入貿易を専門にする会社です。労働保険料は毎年いろんなタイミングで支払うのですが、これはいつ会社の損金にすればいいのでしょうか?

各々でちゃんと定められています!

    


★社会保険料は法定福利費勘定で処理します

●社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険)、  労働保険(労災保険・雇用保険)の会社負担分を指しますね。  ↓  社会保険料(会社負担分+従業員負担分)は、当月分を翌月末まで支払。  会社負担分については、当月末において当月分を未払計上するのが一般的。  ↓  <例>  □11月末日に11月分の会社負担分社会保険料を未払計上。  法定福利費●●円 / 未払費用(会社負担分のみ)●●円    □12月10日に従業員へ11月分の給与支払。  給与手当●●円 / 現金預金●●円           預り金(源泉所得税)●●円           法定福利費(従業員負担分社会保険料)●●円    □12月末日に社会保険料の支払。  法定福利費(従業員負担分)●●円 / 現金預金●●円  未払費用(会社負担分)●●円   ●労働保険料  4/1から翌3/31までの1年分を概算保険料として支払。翌年、確定保険料と精算。  ↓  <例>  □概算保険料支払時。  法定福利費(本人負担分)●●円 / 現金預金●●円  法定福利費(会社負担分)●●円    □従業員に今月分の給与を支払った。  給与手当●●円 / 現金預金●●円           預り金(源泉所得税)●●円           法定福利費(従業員負担分労働保険料)●●円    □確定保険料の不足額を6月に精算・支払。  法定福利費(会社負担分)●●円 / 現金預金●●円      

★法定福利費と法人税の扱い方

●法定福利費(会社負担分)は損金算入OKです。 ●法人税の損金算入時期   □社会保険料   保険料等計算の対象となった月の末日。    □労働保険料   ①概算保険料:概算保険料の申告日or納付日      ②確定保険料    ◇納付の場合:確定保険料の申告日or納付日。    (確定保険料申告前に決算が来る場合は未払金計上し損金算入してもOK)        ◇還付の場合:確定保険料の申告日に益金算入    (普通は次年度の概算保険料から控除する) ●法定福利費と消費税  消費税の課税対象外取引なので仕入税額控除の対象にはなりません!  

★その他の社会保険料の論点!

●国民健康保険料を会社負担にできるか?  ↓  会社が社会保険に加入していない場合、従業員は国民健康保険に加入し、  自ら保険料を支払うしかないですが、法定福利費処理はできません。  払ってあげた場合には給与扱いになるので注意が必要です。     ●遡って社会保険料を徴収された場合どうなる?  ↓  調査が入った場合、過去2年間遡って社会保険料を納付しなければならない  場合があります。損金算入時期が少し問題になります。  ↓  原則論である「保険料計算の対象月の末日の属する事業年度の損金算入」ですが、  こうなると過年度分は更正の請求が必要になっちゃいますね。  でも実際に債務が確定した日は調査が入って額が確定したときです。  ↓  過去2年間に遡って徴収された社会保険料は、過去の各年度の損金ではなく、  社会保険料の額が確定した日の年度に全額損金算入OKです。  ↓  ちなみに、社会保険料にかかる延滞金は損金算入OKです。  (法人税や地方税の場合はダメです!)   ●役員賞与と社会保険料の関係  ↓  役員賞与は原則として損金算入できませんが、  役員賞与に見合う社会保険料は法定福利費として損金算入可能です。

残業代を払わないと会社が潰れる???

  • モスクワ・シベリアにある石油関連の会社と貿易をしています。従業員への残業代を払ってない人が一部いることが判明しました。調査で指摘されたのですがすごい額になりどうしたらいいのでしょうか?

そんな中小企業もいっぱいあります!

    


★残業代●●円の固定月給はOKかどうか?

●例えば、残業代込みで月給30万円の会社があります。  ↓  労働基準監督署の調査では認められません。  後で従業員から「残業代を下さい」と言われると払わなくてはなりません。  ↓  過去2年分を遡られると、悲惨な目に遭うことになります。  要注意ですね。  ↓  しかもです、残業代の基本になるのはこの場合ですと、  月給30万円を基礎にして残業代を計算するので金額は高額に  なりがちです。      

★残業代●●円の固定月給はOKかどうか?

●管理職は残業代がないと思っていませんか?  ↓  社内の管理職と労働基準法の管理職は全く違う場合が多いんです。  労働基準法でいう管理監督者(つまり残業代を払わなくてもいい人)とは、  監督若しくは管理の地位にある者です。  ↓  ①経営者と一体的立場にある  ②地位に見合った報酬を得ている  ③勤務時間に自由裁量がある  あたりを総合的に考慮して判断するのです。  ↓  マクドナルド等でもよく問題になっていましたが、飲食店の店長は  なかなか厳しいですね。  正社員の採用や部下の人事権を有している場合には経営者と一体だと  認められる可能性はありますが、パートやアルバイトへの権限だけでは  管理者とは認められにくいです。  

★残業代を固定給として支払う戦法

●残業代の未払問題への対策として、残業代固定給制があります。  ↓  「時間外手当」等の名前で、毎月固定給として残業代を支払うわけです。  もちろん、就業規則や賃金規定等でこれが残業代であることを明記!  もちろん、ここで規定した残業代以上の残業行為を行えばその分は  支払う必要があります!