預金利息の源泉所得

預金利息については、下記の所得税(国税)・住民税が受取時に既に控除されて、預金者等に支払われます。

 利息金額の20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)

復興特別所得税
・平成49年までの間、利息金額に対しては復興特別所得税が課税されます。
・この税額は、「所得税金額(15%)×2.1%」で計算されます。

所得税
・本税部分:利息金額の15%
・復興税部分:利息金額×15%×2.1%=利息金額×0.315%
・合計:利息金額×(15%+0.315%)

 

収益(受取利息)金額と収入金額

上記の収益がある場合には、上記に記載した「所得税(国税)・住民税が控除された金額」が、金融機関から入金されます。

このため、会社の会計帳簿に「収益(受取利息)」として計上しなければならない金額は、単に金融機関から「入金があった金額(収入金額)」だけではなく、「入金金額+控除された所得税・住民税」の金額を計上する必要があります。

【計算例】

金融機関から797円の利息に係る入金があった場合

①受取利息(収益)の金額
797円÷(1-0.20315)=1,000円

②所得税(本税+復興特別所得税)の金額※1
1,000円×15.315%=153円

③復興特別所得税の金額※2
153×0.021/1.021=3円

⑤所得税(本税部分)の金額※2
150円-3円=150円

⑥住民税の金額
1,000円×5%=50円

※1:一旦「本税(15%)と復興特別法人税」の合計額を計算します。
※2:※1で計算された合計金額を国税(15%)部分と復興特別法人税の部分に分割します。
⇒この分割計算は、「法人税申告書 別表6(1)」において、国税部分と復興特別法人税の部分とを分割して記載する必要があるためです。

【利息の受取時の会計処理】

 (借方)  (貸方)
 現金  797円  受取利息  1,000円
 法人税等 ※
’ (所得税・本税)
 150円
 法人税等 ※
’(所得税・復興)
 3円
 法人税等 ※
’(住民税)
 50円

※「源泉徴収された所得税額」は、「法人税の前払い」ですので
「租税公課」勘定を使用せず、損益計算書の「法人税、住民税、事業税」勘定で処理することをお勧めします。

 

課税所得額計算、法人税額計算における取り扱い

課税所得計算における受取利息の取り扱い

・法人の利益計算において、通常、損益計算書上で、受取利息金額は収益として計上されます。

・このため、課税所得計算上においても、税引前当期純利益に受取利息が含まれることにより、受取利息金額は、益金として算入されています。

法人税額計算における「受取利息に係る源泉所得税・住民税」の取り扱い

・利息については、その支払先が法人か個人かを区別せず、利息が支払われる際に「国税及び住民税」が徴収されます。(利息に係る所得税の源泉徴収)

・他方、法人については、上記の法人税計算の前提となる課税所得計算について、受取利息が益金算入されているために、「受取利息に係る益金」に対する法人税も徴収されることになります。

・このため、受取利息に対して、「所得税等」と「法人税」が2重に課税されることになってしまいます。

・この2重徴収を防止するために、受取利息に対しては、「計算された法人税額」から「すでに源泉徴収されている所得税額の金額」を控除することが認められています。
(税額控除といいます。)

 

別表記載(魔方陣入力)の前提

 金融機関から797円の利息に係る入金があった場合

①受取利息(収益)の金額
1,000円
②所得税(本税部分)の金額
150円
③復興特別所得税の金額
3円
④住民税の金額
50円

預金利息797円の入金があった場合の各所得税金額は上記のように計算されます。

 

利息の受取時の会計処理(会計帳簿への記帳)

 (借方)  (貸方)
 現金  797円  受取利息  1,000円
 法人税等
’ (所得税・本税)
 150円
 法人税等
’(所得税・復興)
 3円
 法人税等
’(住民税)
 50円

 

別表への入力順序

別表6(1)への記入
’      ⇂
地方税 「9号の2様式」、「9号の3様式」への記入
’      ⇂
別表5(2)への記入
’      ⇂
別表4への自動転記の確認
’      ⇂
別表1への自動転記の確認

 

Ⅰ、別表6(1)への記入

1、記入内容

1、別表6(1)「所得税額の控除」
①「受取利息の金額」1,000円を「収入金額」欄に記入します。
②「国税本税の金額」150円を「①の所得税額」欄に記入します。

利子源泉税額(1)

2、別表6(1)「復興特別所得税額の控除」
①「復興特別所得税額」3円を「①の復興特別所得税額」欄に記入します。

利子源泉税額(2)

2、この入力による転記

①別表5(2)
⇒「源泉所得税等」の欄が作成されます。

利子源泉税額(3)

②別表4
⇒「法人税額から控除の所得税額」に「国税本税部分+復興特別法人税」153円の金額が転記されます。(この時点では、課税所得が153円加算されています。)

源泉所得(11)

③別表1「普通法人の申告書」
⇒控除税額の「所得税の額」に「所得税の本税金額」150円が転記されます。
(法人税額が150円減少します。)

源泉所得税額(4)

④別表1「復興特別法人税」
⇒「控除税額の計算」の「復興特別所得税の額」に「復興特別所得税額」3円が転記されます。
(法人税額が3円減少します。)

源泉所得税額(5)

⑤地方税 9号の2様式 「利子割額の控除等明細」
⇒「収入金額」に「受取利息の金額」1,000円が転記されます。

源泉所得(6)

 

Ⅱ、「地方税 9号の2様式」、「9号の3様式」への記入

1、記入内容

1、地方税 9号の2様式 「利子割額の控除等明細」
 ①「①について課された利子割額」に「住民税金額」50円を記載します。

源泉所得(7)

2、地方税 9号の3様式 「利子割額の控除等明細」
①「該当する都道府県」に「○」を記入します。
②「利子割額」に「住民税金額」50円を記載します。(事例では、東京都を選択しています。)

源泉所得(9)

2、この入力による転記

①別表5(2)
⇒都道府県民税の当期発生額の「利子割」及び「確定額」に「住民税所得割金額」50円が記入されます。

源泉所得(10)

 ②別表5(1)
⇒「未納の都道府県民税」として「住民税所得割金額」50円が増加します。
源泉所得(12)

③地方税 6号様式
⇒「利子割額」として「住民税所得割金額」50円が転記されます。
源泉所得(13)

Ⅲ、別表5(2)への記入

1、これまでの入力により転記された結果

①国税本税部分及び復興特別法人税部分
⇒「源泉所得税等」の欄が空欄で作成されています。
利子源泉税額(3)

②都道府県民税部分
⇒都道府県民税の当期発生額の「利子割」及び「確定額」に「住民税所得割金額」50円が記入されます。
源泉所得(10)