京都で事業を行なっている中小企業の現状は、どのようなものでしょうか?
本当の現状とは、現場の声によってはっきりするものなので、京都の中小企業の現状を探ってみます。
中小企業にはいろいろな分野の企業がありますので、今回は製造業の分野で京都の中小企業を分析します。
金属加工機械製造業の現状とは
金属加工機械製造業の全体の流れは、リーマンショックによる影響を引きずっている状態であり、大きな減少ではないものの事業所の減少が見られます。
事業所の数は緩やかに減少しているものの、金属加工機械製造業を行なう従業員の数は、緩やかに増えている現状があります。
この従業員の増加は、業界における1事業所の生産品の出荷量を押し上げる事につながっています。
金属加工機械製造業の中では、自動車関連分野の売り上げが多く、次に多くなるのは建設機械や一般機械分野であり、この2つで全体の90%のシェアとなっています。
また現場の声から、製品の価格競争によって売り上げを伸ばしているという中小企業は少なく、確かな技術力や製品の特殊性が強みになっている事が理解できます。
京都における金属加工機械製造業は、全国的なデータと比較すると、伸びが少ない数字になってしまうものの健全な状態にあると言えます。
京都のネジ製造業の現状
戦後の日本において、ネジ産業を含む製造業を行う中小企業は経済成長の要となってきました。
京都にも4,500を超える製造業を行う中小企業があり、その中には24のネジ製造企業があります。
京都のネジ製造業は、製造出荷額や従業員数の面で減少傾向はありますが、事業所の数自体は増加傾向にあります。
とは言え、従業員の数が10人に満たない事業所については、現場の声を聴くと経営は非常に難しく廃業に追い込まれているところも増えています。
ネジ製造業の分野で最も多いのは、自動車分野のネジ製造であり、ネジ製造の約半分のシェアとなります。
その他には家電製品のネジ、航空機関係のネジの製造が京都で行われています。
比較的経営が順調なネジ産業事業所は、自動車分野のネジを製造しているようです。
京都にある多くのネジ製造業社の問題は、ネジ製造機械導入から数十年が経過しているものの、新しい機械を導入していないという点です。
今後に大きな投資が必要になる事は必然であり、投資が経営に与える影響が心配されています。
鋳物工業中小企業の現状
鋳物工業業界における京都の中小企業の現状は、鋳物の元になる金属の種類によって異なっています。
特に売り上げが良い鋳物工業分野は、アルミニウム鋳物製造業となります。
理由として自動車の軽量化などが進み、アルミニウムによる鋳物はこの分野で多くの需要があります。
またアルミニウムを使用した鋳物では、利益率が高いという特徴があるため、売り上げを伸ばす後押しとなります。
しかしその他の金属による鋳物製造業は、売り上げが横ばいか下降気味という特徴もあります。
鋳物業界は事業所も従業員の数も、日本全国的に減少傾向があるものの、京都に限っては増加傾向にあります。
鋳物製造業界は、大きく分けると2つの流れがあり、新しい技術を模索する企業と、これまでの伝統を継承する企業です。
比較的好調な京都の鋳物製造中小企業では、そのどちらも存在しています。
めっき加工業界の現状
京都府のめっき加工業界は、全国のめっき加工業者と若干異なっている部分があります。
京都には多くの寺社仏閣があるため、この分野におけるめっきの技術は他の地域のめっき加工業者にはマネできないものです。
そのため京都のめっき加工中小企業は、高い品質と独自の技術を強みにしていると言えます。
こうした分野に加えて、中小企業からの声をまとめると自動車部品や一般機械や建設機械部品のめっき加工も京都の企業では積極的に行っている事が分かります。
事業所や従業員の数は、残念ながら減少の傾向があり、淘汰されている状態と言えるでしょう。
このように京都の製造業の中小企業の現状は、それぞれで異なっているものの、それほど悪くない状態にあります。
とは言え、それぞれの企業が独自の付加価値を生み出したり、品質を確保することが必要になっているようです。
中小企業の中でも、10人に満たない会社にとっては、現状は決して楽な状態ではない事もよく分かります。