「介護業界でベースアップが行われているらしいけど、具体的にいくらベースが上がったんだろう。」

「どんな算定式で給与を計算しているのだろうか。」

「介護職員等ベースアップ等支援加算という制度があるらしいけど、どういう制度なの?」

円安や原材料費の高騰の煽りを受けて、物価上昇をし続ける2023年現在。物価上昇を受けて、経団連からも賃金アップをするように各社に問いかけるようになっています。こうした経済情勢の中から介護業界でもベースアップを実施する取組が始まっており、介護業界の賃金体系にも変化が起こっています。

介護職員等ベースアップ等支援加算と呼ばれる制度が介護業界で取り入れられ、介護業界に従事する労働者の賃金が上がってきている動きが出ています。しかし、実際にどんな制度であり、具体的に労働者にとってどの程度恩恵を受けられるのか未だにわかりにくいところもあるのは事実です。

そこで、今回の記事では介護職員等ベースアップ等支援加算について解説をしていきます。この記事を書いている私は、これまでに介護業界に関わる出来事について、インタビューを行い、記事を数多く執筆していきました。私のこれまでの調査をもとに、本記事を書いていきます。

この記事を読むことで、介護職員等ベースアップ等支援加算について理解が深まり、ご自身の給料もベースアップの対象になるのかがわかります。ご自身の勤め先で正しく支払われているかを知ることで、今後のキャリア選択をする時の一つの考え

となることは間違い無いでしょう。

ぜひ、最後まで記事を読んでいただき、介護職員等ベースアップ等支援加算について理解を深めてください。

介護職員等ベースアップ等支援加算とは

介護職員等ベースアップ等支援加算は、介護職員の処遇改善を目的とし、一人あたりの収入を3%程度(月額平均で9,000円程度)程度引き上げるために設けられた制度です。介護職員等ベースアップ等支援加算は令和4年2月に新設された「処遇改善支援補助金」の考え方をベースにしています。

介護職員等ベースアップ等支援加算は「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づいています。この中に、看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入引き上げに関することの記載があります。

保育士・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が期待される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を行なっています。具体的な賃上げの金額はご自身が勤めている事業所に確認して見ましょう。

介護職員等ベースアップ等支援加算の特徴

介護職員等ベースアップ等支援加算は、介護職員以外(リハビリ職、看護師、事務職など)にも配分できます。この点では、2019年に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」に比較的近い制度です。

介護職員等ベースアップ等支援加算は「月次の処遇改善」に対するメッセージが強く、「加算総額の3分の2以上は、基本給または毎月決まって支払われる手当」で賃金改善を行います。

従来の処遇改善加算、特定処遇改善加算は全額賞与、全額一時金という賃金改善が可能です。しかし、一方では介護職員等ベースアップ等支援加算はあくまでも月次給与への還元が重視されています。

介護職員等ベースアップ等支援加算の目的

介護職員等ベースアップ等支援加算を行う目的は、国が掲げる「新しい資本主義」に基づいた分配戦略として活用することです。看護や介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入を引き上げます。

新型コロナウィルス感染症対策と少子高齢化への対応が重なる厳しい環境の下で、最前線で働く方々の収入引き上げを含めて、公的価格の在り方を抜本的に見直しました。

看護や介護、保育、幼児教育以外にも、その周辺職種でもベースアップの対象となります。そのほかの職種については事業所によって異なりますので、ぜひご自身の勤め先に確認しましょう。

介護職員等ベースアップ等支援加算はいつから算定できるの?

介護職員等ベースアップ等支援加算は令和4年10月から算定できます。令和4年10月から算定するためには令和4年8月31日までに計画書の提出が必要になります。

提出する先の都道府県や市区町村によって詳細が異なりますので、詳しくはご自身の提出先までお問い合わせください。また、地域密着型サービスや介護予防・日常生活支援総合事業なども算定を希望する場合、別に提出する必要がある場合や、提出先もサービスによって異なる場合があります。

また、届出が遅れると加算算定の開始月が遅れるため、すぐにでも算定したい場合は早めに届出をすると良いでしょう。

介護職員等ベースアップ等支援加算の手続きとは?

介護職員等ベースアップ等支援加算の手続きを進めるには、処遇改善計画書と実施報告書が必要です。これら資料が受理されるまで時間がかかる場合もあるので、提出する時は十分に時間に余裕を見た方が良いでしょう。

令和4年10月のペースアップ等支援加算を算定するには、令和4年8月31日までに計画書の提出が必要になってきます。算定を受けようとする月の前々月の末日までに書類を提出する必要があります。

また、質問などの問い合わせについては、県のホームページ上にある良くある質問と回答を参照して見ましょう。もし、良くある質問と回答に該当するものがなければメールか電話で管轄の役所まで問い合わせましょう。

介護職員等ベースアップ等支援加算の対象者は?

介護職員等ベースアップ等支援加算は基本的に介護職全般が対象となっています。介護施設や介護事業所がキャリアパス要件や職場環境要件を満たすことで、それに応じた加算が介護報酬に上乗せされる仕組みになっています。

また、介護職員以外でも各事業所の判断によって柔軟な運用が認められています。そのため、事業所によってはリハビリ職や事務職もベースアップ加算の対象になる場合があります。

介護職員等ベースアップ等支援加算は介護職員をターゲットに賃金アップを図る施策ではありますが、そのほかの職員でも賃金アップできる可能性があります。ぜひ、介護職員以外の方も賃金アップできないか確認してみると良いでしょう。

まとめ

今回の記事では介護職員等ベースアップ等支援加算について解説してきました。今回の記事のポイントは以下の通りです。

・介護職員等ベースアップ等支援加算は、介護職員の処遇改善を目的とし、一人あたりの収入を3%程度(月額平均で9,000円程度)を引き上げるために設けられた制度。

・介護職員等ベースアップ等支援加算は、介護職員以外(リハビリ職、看護師、事務職など)にも配分できる。

・介護職員等ベースアップ等支援加算を令和4年10月から算定するためには、令和4年8月31日までに計画書の提出が必要。

インフレによる物価上昇が目まぐるしい昨今。物価上昇に伴い、各業界でも賃上げを要求する声が日々強くなっています。介護業界でも日々の過酷な労働による人材確保が難しくなっている背景からも、こうした賃上げを促進できるような取組が制度として設けられています。

介護業界に関わる労働環境は目まぐるしく変化しています。介護業界の人材の定着率の向上や離職率低下を防ぐ必要もあり、介護業界にとって賃上げは避けられない課題です。

介護職員等ベースアップ等支援加算など最新の制度を知ることで、ご自身が損をしていないかを知れます。今回の記事を読んで、少しでも介護職員等ベースアップ等支援加算について理解を深めていただけたら嬉しいです。