「最近カスタマーハラスメントの対策で日本政府が動いているようだけど、どんなことをしているのかな。」
「介護の現場でもカスタマーハラスメントかなって思えることがたくさんあるのだけど、介護でもカスハラ対策はあるのかな。」
近年、ハラスメント対策が強化されている日本において、顧客から会社の従業員に対して行われるカスタマーハラスメントについて本格的に対策に踏み込み始めました。
カスタマーハラスメントによる離職の事例も後を絶たず、少子高齢化がますます深刻化する日本でも本格的に対策に踏み込んできました。
カスタマーハラスメントは介護現場でも同様に発生しています。入居している高齢者や高齢者の親族などからハラスメントを受けているという例も多く、悩みを抱えている人も非常に多いです。
そこで今回の記事では、介護現場におけるカスタマーハラスメントについて解説します。また、カスタマーハラスメントの実態とその対策についても、合わせて解説します。
今回の記事を書いている私は、これまでに介護に関するインタビューを数多くこなし、記事をまとめてきた実績があります。
私のこれまでの介護に関する知見をもとに、記事を作成します。
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
カスタマーハラスメントとは何か?
カスタマーハラスメントとは、顧客からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・対応が社会通念上不相応なものであって、当該手段・対応により、労働者の就業環境が害されるものです。
カスタマーハラスメントの具体例として、怒鳴り声や侮辱的発言をするような暴言、従業員に気概を加えたり、予告して怖がらせる「威嚇・脅迫」、現場にいくたびに待ち伏せさせられたり、同じ内容のクレームを5時間ほど言われたりするなどです。
こうしたことが1ヶ月続くような執拗なクレームなど、直接的なものであれば、威張り、権威を示して要求を通そうとする「権威を用いた言動」、従業員に長時間クレーム対応を強いるもので、業務に支障が出る「長時間拘束」、金品の要求、暴力行為やSNSでの誹謗中傷などもカスタマーハラスメントに含まれます。
カスタマーハラスメントが発生する背景
カスタマーハラスメントが発生する背景には主に次の5つのことが考えられます。
1.顧客至上主義
従業員が消費者に対して過度に責任を大きく感じ、無理をして対応をしようとするあまり、実際の業務に支障をきたす事態が発生してしまいます。本来為すべきサービスレベルまで落とすことにもなりかねないです。
2.サービスの過当競争
商品が均一化したしたことで、サービスの過当競争が生じており、さらに消費者保護の観点から販売責任、製造物責任、説明責任が求められています。そのため、丁寧なサービス提供を受けた客が自分が偉いと思い込むことが発生します。
3.企業における対応の不十分さ
インターネットやSNSの普及に伴い、企業の不祥事が一気に拡散されてしまうケースが増えています。たとえ不当な要求を受けても、企業が自社ブランドを損なわないように過剰な対応をしてしまうケースがあります。
4.社会状況
個人情報の秘匿化、インターネットの普及による匿名性が高まると共に、格差社会への反発心が高まることも原因となります。
5.ストレス発散
ストレス発散のため、顧客として優位な立場を利用して、クレームをつけることがあります。クレームをつけることそのものが目的になっていることが多いです。
カスタマーハラスメントを怠ると発生するリスク
カスタマーハラスメントを怠った場合に発生するリスクは、生産性の低下と人材流出が主に挙げられます。カスタマーハラスメント対策をしていなければ、顧客からさまざまなハラスメントを従業員が受けてしまい、退職に繋がる場合が有ります。
また、こうした従業員のモチベーションが下がり、就業環境がよくないという悪評が生じれば、企業イメージが低下してしまい、新規採用が難しくなり、企業にとって負のスパイラルに陥ります。
さらに、従業員がカスタマーハラスメントの対応でメンタル不調となり、精神疾患を患ってしまう可能性も有ります。この結果、企業として労働契約上の安全配慮義務に違反したものとして、損害賠償責任を問われる可能性があります。
介護現場のカスタマーハラスメント
厚生労働省が公開している「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」によると、近年では介護現場で利用者やその家族などによる介護職員への身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどが少なからず発生していることが明らかになりました。
具体的には、介護施設・事業所に勤務する職員のうち、利用者や家族などから身体的な暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどのハラスメントを受けた経験のある職員は、サービス種別により違いはあるものの、利用者からは4〜7割、家族などからは1〜3割になっています。
こうした結果からもわかる通り、介護現場でも他の産業と同じようにカスタマーハラスメントを受けている事例が多いです。いずれのサービスでも、あらゆる立場の人からカスタマーハラスメントを受けていることがわかります。
介護現場のカスタマーハラスメントの事例
ここでは介護現場で実際にあったカスタマーハラスメントの事例を介護利用者と介護利用者以外のものを紹介します。
1 介護利用者
介護利用者が介護職員に暴言を吐くケースがあります。介護家族が介護施設に対して、サービスが満足いくものではないと感じ、介護職員に対して強くあたってしまうケースがあります。
2 介護利用者以外
介護利用者の家族が介護職員に対して、暴言を吐いたり、無理難題を押し付けるケースがあります。利用者家族の中には、介護利用者を思うあまり、過剰なサービスを介護職員に求めるケースがあります。
介護現場のカスタマーハラスメントの対策
介護現場のカスタマーハラスメント対策として、厚生労働省が、介護職員が安心して働くことができるようにハラスメント対策を含む職場環境、労働環境の改善を図ることが必要であると述べています。
その上で、令和3年度の介護報酬改定において、パワーハラスメント及びセクシャルハラスメントなどのハラスメント対策として、介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策として必要な措置を講ずることを義務づけました。
また、カスタマーハラスメントについては、その防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることを推奨しています。今後もカスタマーハラスメントの対策は強化されてくる可能性もあるので、厚生労働省の動向はチェックしていきたいところです。
まとめ
今回の記事では、介護現場のカスタマーハラスメントについて解説し、事例とその対策についてまとめました。今回の記事のポイントは以下の通りです。
・カスタマーハラスメントとは、顧客からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・対応が社会通念上不相応なものであって、当該手段・対応により、労働者の就業環境が害されるもの
・カスタマーハラスメントが発生する背景には、顧客至上主義・サービスの過当競争・企業における対応の不十分さ・社会状況・ストレス発散の5つが挙げられる。
・カスタマーハラスメントを怠った場合に発生するリスクは、生産性の低下と人材流出が発生する。
カスタマーハラスメントは、様々な産業で、特に一般消費者を相手にするサービスで多く見られます。介護現場も例外ではなく、カスタマーハラスメントが原因で、離職につながるケースが多く見受けられます。
カスタマーハラスメントを理解することで、介護現場で働く人たちの職場での悩みや重要な課題に気づくことができます。今回の記事で紹介した事例をもとに、カスタマーハラスメントについて理解を深めて、介護現場の課題解決につながればうれしいです。