「介護をしなくてはいけなくなったので、休業をしたいな。手続きはどうすれば良いのかな。」

「介護で休業をすると、介護給付金をもらえると聞いたけど、どんな制度なのだろうかな。」

両親の介護が必要になり、仕事を休んで介護に専念しなくてはいけない事態になることは割とよくあります。介護を理由とした休業を取得することは、一般的になり、会社も従業員からの申し出を拒むことは出来ません。

 

徐々に普及してきている介護休業ですが、介護休業を取得する手順や給付金の制度についてはあまり世間では知られていないことがほとんどです。今回の記事では、介護休業の制度から取得方法、そして給付金について解説します。

 

今回の記事を読むことで、介護休業について理解することができ、申請方法から給付金について知識がつくことでしょう。

 

この記事を書いている私は、これまでに数多くの介護に関する取材を行い、記事を作成してきました。今回の記事では、これまでの私の経験をもとに、介護休業について解説します。

 

最後までぜひ読んでいただけますと嬉しいです。

介護休業とは

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業です。家族に要介護状態の方がいる場合、介護に時間と労力を費やす必要があるため、仕事をやめなくてはいけない状況になる場合もあります。介護休業は、介護を理由とした離職を防ぐために、仕事と介護の両立を図るために作られた制度です。

 

介護休業を活用することで、仕事と介護の両立ができる体制を整えることができるので、キャリア維持しながら介護に専念出来ます。実際に介護をすると、ケアマネージャーと打ち合わせをしたり、介護施設の手続きがあり、タスクが増えます。

 

介護休業をうまく活用することで、仕事と介護を両立しやすい環境作りが出来ます。介護休業は、育児・介護休業法で定められた法律上の制度ですので、会社に介護休業の規定がなくても介護休業の取得は可能です。

介護休業を取得する条件

介護休業を取得するためにはいくつか条件があります。介護休業は、要介護と認定された家族を介護する場合に限り、取得が認められています。「要介護状態」とは、怪我や病気、心身の障害により、2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態です。

 

要介護状態は具体的に次のような状態を示します。

・介護保険制度の要介護状態区分で要介護2以上であること

・以下の状態のうち、(2)が2つ以上または(3)が1つ以上該当し、その状態が続くと認められること

 

(1) (2) (3)
座位保持 できる 支えてもらえればできる できない
歩行 つかまらずできる 何かにつかまればできる できない
移乗 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
水分・食事摂取 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
排せつ できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
衣類の着脱 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
意思の伝達 できる ときどきできない できない
外出先からの帰宅 できる ときどきできない ほとんど毎回できない
破壊行為 ない ときどきある ほとんど毎日ある
物忘れ ない ときどきある ほとんど毎回ある
服薬 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
日常の意思決定 できる 本人について、重要な意思決定ができない ほとんどできない

介護休業を取得する手順

介護休業を取得するための公的書類は特別に用意されていません。一般的にはそれぞれの企業で所定の申請書が用意されているので、求められた場合は提出しましょう。また、法律上では、当日に口頭でも申請が可能とされていますが、ご自身の勤務先に確認してみましょう。

 

介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を取得の条件に出来ないともされています。しかし、実際にはこれらの書類の提出を求められるケースもありますので、必要な書類はご自身の勤務先にも確認しましょう。

 

介護休業を取得する時に、職場の仕事の状況を鑑みながら申請をした方が良いです。介護休業の申請自体は簡単に出来ますが、自分の業務を他の人に割り振るので、業務負担が大きくなります。必ず周囲の方への配慮を忘れずに申請しましょう。

介護休業中の賃金

介護休業中の賃金については、法的な定めがないので勤務先の規定によって決まります。ほとんどの場合、介護休業中は無給であることが多いです。介護休業中の給与の補填として扱われるのが、介護休業給付金です。

 

介護休業をすると、ほとんどの場合給与を得られませんが、国が用意している給付金制度があるので、休業に対するリスクは小さいと言えるでしょう。また、介護休業として申請をしないうちは給付金を受給できないので、申請をする必要はあります。

 

勤め先によっては、介護休業とする前に有給休暇を利用することから始める場合もあります。まずはあなたが勤めている勤務先に介護休業をするか、有給休暇にするか相談してみましょう。

介護休業の給付金

介護休業の場合、条件を満たせば雇用保険の「介護休業給付」を利用できます。介護休業給付は賃金の67%相当額の給付金を受け取れる制度です。「介護休業給付」は介護休業の開始日前の2年間で、12ヶ月以上雇用保険に加入している人が受給できる給付金です。

 

「介護休業給付」は最長で93日を限度に、3回(合算で93日)まで支給されます。また、「介護休業給付」にはさまざまな要件があり、入社してまもない状態や、休みが多く、勤務日数が不足している場合には支給されません。

 

また、介護休業給中に月のおよそ半分以上出勤している場合、休業とはみなされず、休業中も休業前と同じくらいの賃金をもらっていた場合、「介護休業給付」は支給されません。介護休業中の賃金はどのように支払われるのか、勤務先に確認しておきましょう。

介護休業を理由に不当な扱いを受けたら

介護休業を申請して、不当な扱いを会社から受けた場合、労働基準監督署または労働組合、弁護士に相談すると良いでしょう。介護休業取得の申出及び介護休業取得を理由とする不利益な取り扱いは、育児・介護休業法により禁止されています。

 

家族の介護によっては、職場との間だけではなく、介護施設でのトラブル、介護事故、保険会社、親族間での介護費用トラブル、亡くなった場合に備えた生前対策でのトラブルが考えられます。

 

介護に関するトラブルは、職場での介護休業に関するもの以外に、多岐にわたってトラブルが発生しやすいです。こうしたトラブルについても、弁護士であれば対応可能なので、まずは弁護士に問い合わせをしてみましょう。

まとめ

今回の記事では、介護休業の制度と給付金制度について解説しました。今回の記事のポイントは以下の通りです。

・介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業

・介護休業を取得するための公的書類は用意されていませんが、一般的にはそれぞれの企業で所定の申請書が用意されているので、求められた場合は提出しましょう。

・介護休業について不当な扱いを受けたら、労働基準監督署または労働組合、弁護士に相談しよう。

 

少子高齢化社会が加速し、ますます介護需要は高まってきています。こうした流れの中で、介護と仕事を両立させていくことの重要性も高まっています。いざ介護をしなくてはいけないとなった時に、介護休業をどうやって取得したら良いのか、また実際に介護休業を取得したらご自身のキャリアや給料はどうなるのか、心配になることでしょう。

 

今回の記事で、介護休業に関する基礎について解説してきましたので、理解が深まったかと思います。ぜひ、介護休業について、少しでも理解していただき、皆様の介護に役立てていただけますと幸いです。