「親の介護が必要になってきたな。仕事もやらないといけないし、両立をするのが大変だな。」
「介護と仕事を両立する制度はないかな。」
少子高齢化社会により、両親の介護が必要な世帯が増えてきており、介護と仕事の両立に苦労する場面が増えてきている昨今。介護をしなくてはいけない家庭の中には、仕事との両立に苦労している人が多いことでしょう。
これからさらに少子化の影響により、働き手も少なくなり、個人の負担がどんどん増してくることも考えられます。こうした背景から介護と仕事の両立を支援する制度を日本政府が用意し、介護が必要な世帯に援助をする政策が出来ました。
両立支援の取り組みは、従業員の仕事と家庭との両立を企業が支援し、従業員が働き続けやすい職場環境を整えて、有能な人材が長く活躍できる取り組みです。特に介護が必要な世代は、会社の中でも中核を担う人材である場合が多く、仕事と家庭の両立をいかに保てるかがポイントです。
今回の記事では、仕事と介護の両立支援制度について、徹底的に解説していきます。この記事を読むことで、両立支援制度の基礎と概要について理解が深められ、今後の介護と仕事との両立を考えるきっかけになることでしょう。
この記事を書いている私は、これまでに数多くの介護に関するインタビューをして、介護の記事作成をしてきました。これまでの実績をもとに、仕事と介護の両立支援制度について、解説します。
ぜひ、最後まで読んでもらえると嬉しいです。
介護の両立支援制度とは
介護の両立支援制度とは、従業員の仕事と家庭(育児と介護など)との両立を企業が支援することで、従業員が働き続けやすい職場環境を整えるための取り組みです。共働き世帯が増えている昨今、夫婦共に仕事に従事してしまうことで、家庭での作業がおろそかになってしまいがちです。そこで、日本政府が介護と仕事を両立できる制度として、両立支援制度を用意しました。
両立支援制度を導入することで、親の介護や子育てをしながら仕事を続けるために、休業制度休業制度を使って時間に柔軟性を持たせたり、仕事以外の時間の確保が必要な従業員が働きやすい環境を整備することで、従業員が辞めることなく働き続け、長く活躍してもらうことが出来ます。
両立支援制度は優秀な従業員を確保し、定着させるための企業・従業員双方にとってメリットのある取り組みなのです。
両立支援制度の義務化
令和6年の育児介護休業法改正では、介護離職を防止するために仕事と介護を両立させる仕組みが追加されています。その一つが労働者に対して早期に介護に関する両立支援制度の情報提供を実施する新しい仕組みです。
この改正では、両立支援制度が令和7年4月から施行される予定で、今後企業にとっては重要な法改正です。両立支援制度を導入することで、介護を理由とした場合の働き方に柔軟性を持たせる必要がでてくるでしょう。
具体的には、テレワークの推進や時短勤務の積極的な導入が挙げられます。介護が必要な従業員が、業務と介護を継続しやすい環境を整備することで、介護離職を防ぎ、長期的な人材確保に繋がります。
両立支援制度で提供すべき情報
両立支援制度を導入するにあたり、企業は従業員に両立支援制度の情報提供を行います。対象となるのは、これから介護に直面する前の早い段階の労働者(40歳くらい)です。介護が必要になるタイミングではなく、その前段階で情報提供を求められることがあります。
実施する期間は、労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度または労働者が40歳に達した日の翌日(誕生日)から1年間のいずれかです。情報提供の方法は、面談や書面交付、FAXや電子メールなどのいずれかです。
情報を提供する内容としては、介護に関する制度、介護両立支援制度や介護休業・介護両立支援制度などの申出先、介護休業給付金に関することが該当します。こうした情報提供は企業が従業員へ事前にメールなどで伝達されることがあります。
両立支援制度はどのように活用できるのか
実際に介護が必要になった場合、職場に介護が必要になった旨を職場に伝えましょう。その上で、介護に関する休業制度や在宅勤務など何が必要なのかを把握し、両立支援制度と組み合わせることで、業務と家庭とのバランスがとれやすくなります。
両立支援制度が導入されることで、企業の介護が必要な従業員の雇用環境の整備が推進され、より一層介護休業やテレワークが使いやすい環境になります。また、相談窓口などの体制作りもされ、より一層介護と仕事のバランスが取りやすくなります。
これまで介護が原因で退職せざるを得ない方や、介護が原因で働きにくくなってしまった方もいましたが、今回の両立支援制度の導入で介護が必要な従業員がより一層働きやすい環境を作り出すことができるのです。
企業が介護と仕事の両立支援に取り組む意義
企業が両立支援制度に取り組むのは、少子高齢化で介護が必要になる労働者が増え、介護を理由とした離職を防ぎ、労働力を確保することにあります。少子化の影響で、今後ますます人手不足が進み、介護で現場の中心を担う人材がいなくなる可能性があります。
こうした現場の人手不足をなるべく防ぐために、介護が必要な人材に仕事を継続してもらいやすい環境作りをすることで、現場の人手不足感を緩和することができます。両立支援制度を取り入れることで、従業員の定着を図ることができます。
両立支援制度は日本政府が取り決めたもので、一見すると従業員の休暇や休業が増えるようにも見えますが、中長期的に従業員の雇用を確保する意味では、民間企業の就業機会を柔軟につくれるのです。企業が両立支援制度を取り入れることで、長期的な目線で持続可能な経営環境を創造することができます。
両立支援制度で企業が求められていること
昨今の超高齢化社会が進む現代において、介護は避けては通れない課題となっており、企業は介護と仕事の両立ができる体制を整える必要性が高まってきています。特に企業の中核を担う中堅社員が介護を理由に離職をするケースもあり、企業はこうした人材の定着を狙う必要があります。
企業の人材流出を防ぐという目的もありますが、介護が理由で離職せざるを得ない人たちを守るという要素もあります。こうした介護が必要な従業員が安心して働ける環境を用意することで、選ばれる企業にもなれます。
また、中堅社員が安心して働ける環境を用意することで、若手社員たちの今後のキャリアのイメージがつきやすく、定着率の向上にも繋がります。こうした働きやすい環境を作ることで、優秀な人材の確保ができ、持続的な経営にも繋がります。
まとめ
今回の記事では仕事と介護を両立させる両立支援制度について記事にしました。今回の記事のポイントは以下の通りです。
・介護の両立支援制度とは、従業員の仕事と家庭(育児と介護など)との両立を企業が支援することで、従業員が働き続けやすい職場環境を整えるための取り組み
・両立支援制度の情報提供を行うタイミングは40歳前後
・両立支援制度で人材流出を防ぐことと介護が理由で離職せざるを得ない人たちを守る要素がある
両立支援制度は令和7年から初めてスタートする制度であり、これから企業が導入していき、育児や介護が必要な世帯に使われます。最初はどのような制度なのか不明点も多く、手探り状態になることは間違いないでしょう。
そのような新しい制度であるため、まずはどのような制度なのかを正しく把握し、運用に取り掛かることが大切です。今回の記事で、両立支援制度について解説してきましたので、みなさんの理解に少しでも役立てたら嬉しいです。