保有株の株価が激減!損を出して節税できるのでは?
質問日:2009/06/01
2代目社長です。会社名義で多くの株を持っているのですが、この不景気で株価は激減しました。これで損を計上したら節税になるのではないでしょうか???
税務調査で認められる有価証券評価損は簡単ではない!
回答日:2009/06/04
★上場有価証券の評価損の計上!?
2009年4月、国税庁から”上場有価証券の評価損に関するQ&A”が公表され、税務上の取扱いが明確化されました。 ●税務上、株の評価損の損金計上が認められるための要件 ①株価が帳簿価額の50%相当額を下回っていること ②1に併せ株価の回復可能性がないこと ③損金経理すること ということは、30%~50%未満で下落した場合の損失は税務上原則として否認! 50%相当以上下落した場合は、「回復可能性がないことが合理的に認められる場合」以外については税務上否認されますね。★曲者は「回復可能性がないことが合理的に認められる場合」!
会社として、過去の市場価格の推移や市場動向等から合理的な判断基準を示している場合税務上はその判断基準が尊重されるのだそうです。 もしくは、会社独自の判断が困難な場合においては証券アナリストによる情報などを用いて判断することもOKのようです。 とはいえ、現実に会社側で回復可能性を判断することは難しいため、証券アナリスト等の第三者の客観的な意見などを用いてることになるでしょう。 でも、この要件だと従来と変わらず「損金算入は難しい」のではないかと思いますね。 監査法人の監査を受ける会社の場合は、税効果会計等の観点からその合理性についてチェックを受けて、これを継続的に使用するのであれば、税務上その基準に基づく 損金算入の判断は合理的なものと認められるということです。つまり、大企業は比較的容易に損金算入ができそうな感じですね。 株式評価損計上は税務上否認されるリスクは、やはり以前と同様大きい気がします。
設立3年目。社長からの借入金が膨らんでいます。ヤバイ?
質問日:2009/06/01
自分で会社を設立して3年たちました。いつのまにか「役員借入金」勘定が膨らんでいます。売上が伸びないときに自分のお金を突っ込んできたせいなのですが、これってこのままほっておいても大丈夫なのでしょうか?対策はあるのでしょうか?
役員借入金も役員貸付金も良いものではないと思って下さい!
回答日:2009/06/05
★役員借入金(社長からの借入金)のマイナス効果は?
●経理処理が適切である限り、会社の税金上で問題となることはまずありません。 ただ、多額の債務超過は銀行与信上などで問題視されるケースは考えられますね。ちなみに、この場合に支払利息の計上は通常なら必要になりますが、役員等の個人からの借入については、営利目的ではない以上、利息計上の必要はありません。税務上モメルこともないです。 ●税務上で問題となるのは、借り入れた役員が死亡したときです。 なぜなら、この借入金は役員から見ると貸付金で、れっきとした相続税上の財産となるからです。 この「役員借入金」は相続税法上、額面評価されるので評価を圧縮できません。会社が債務超過の場合には「自社株」の評価がゼロになるにもかかわらず、です。 現実的に返済不可能な貸付金を相続せざるを得ず、一方でその分だけ相続税が増える。会社から返済を受けることができない場合には相続税の納税資金不足に陥るリスクすらあるんです。 ●所得税におけるマイナス要因も!! 実務でよくある話なんですが、役員報酬として支払った資金を、「役員借入金」により会社に戻すケース。これって、よく考えてください。その分役員報酬が膨らんでいるわけですから、それに見合う源泉所得税や社会保険料も上がります。完全に無駄になります。★役員借入金は早めに減らそう!
●借入金放棄 役員が存命のうちに、貸付債権を放棄をすれば相続財産とされることはありません。また、この放棄により役員側への課税もありません!しかし、会社は債務免除益の計上が必要です。そこで、よくやる手法は繰越欠損金や赤字計上年度に行うんですね。タイミングが大事です!(場合によっては贈与税や留保金課税を受ける可能性があります) ●DES:デット・エクイティ・スワップ 「役員借入金」を「資本金」に振替えることです。 これにより、役員の財産は貸付金から株式に変わるため、相続の際の評価圧縮も可能! 「役員借入金」を現物出資するDESという手法は、資金移動が不要で増資手続も簡略! (DESによる金銭債権の現物出資にあっては、資本金の額はその金銭債権の時価!) (ただし、均等割額の増加や外形標準課税の適用対象になる可能性もあります) ●役員報酬を「役員借入金」返済への組み替える! 役員報酬を減額し、その差額を「役員借入金」の返済原資に充てるのです。 無駄な源泉所得税や社会保険料負担が抑えられるので、役員の実質手取額はそれほど減少しないのが通常です。ただし、役員退職給与規定に手当てがなされていない場合には役員退職金が減少することがありますので注意が必要です。 (ただし、役員借入金の返済は損金ではありませんので、役員報酬減額分だけ損金が減ります=節税逆効果になります)★役員貸付金の場合は・・・
税務上は貸付金に見合う受取利息を計上しなければなりません。また、役員貸付金は銀行がよく嫌がります。当然ですね。融資を実行しても、個人等の貸付が流用されるのではないかと危惧しますから。 一番の対策は、役員報酬の増額です。 で、その増額分を役員貸付金と相殺させていくのです。 他に、「役員への貸付金を精算するタイプの生命保険」を使う手法もあります。
払った税金が戻ってくる方法があると聞いたのですが本当?
質問日:2009/06/01
中小企業の経営者ですが、前年に払った法人税が場合によっては戻ってくる可能性が出てきた、と聞きました。これって本当の話でしょうか?
法人税の欠損金の繰戻還付という制度で税金は戻ります!
回答日:2009/06/06
★そもそも欠損金の繰戻還付とは何でしょう!?
平成21年2月1日以後終了事業年度から、中小法人等について「法人税の欠損金の繰戻還付制度」が全面的に復活しました! ●欠損金の繰戻還付とは・・・ 青色申告書を提出する中小法人資本金1億円以下)等で、前事業年度が「黒字」で法人税を納めた法人が、今事業年度は「赤字」となり欠損金が生じた場合、この欠損金を前期の黒字と相殺し、前期に納付した法人税のうち、納めすぎとなった部分を還付請求できる制度。 ●計算式 繰戻還付金額=前事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額/前事業年度の所得金額 ●適用要件 還付を受けるようとする事業年度から欠損金発生年度まで連続して青色申告書を提出し、欠損事業年度の青色申告書は期限内に提出する必要があります。★欠損金の繰戻還付の注意点!!
●繰戻還付には請求書の提出が必要! 「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を欠損事業年度の確定申告書と同時に所轄税務署長に提出する必要があります。 ●地方税には繰戻還付の制度なし! 地方税には、欠損金の繰戻還付制度はありません。欠損金の繰越控除のみ! (つまり、この制度の適用を受けた場合、翌期以降は法人税が納税になっても、法人住民税の法人税割と法人事業税は納税なしとなる場合があります) ●税務調査が来る? 還付請求書が提出された場合、税務署長は税務調査を実施することとされています。 ●ずっと続く制度!? 今回は期限付きの復活といわれています。平成21年2月1日以後に終了する各事業年度で生じた欠損金額からが対象となります。 今までは例外を除いては認められていなかった制度です。(設立後5年以内の中小企業のみ、といった例外はありましたが・・・) 詳細は国税庁ウェブサイトに掲載があります。