この記事を要約すると・・・・
- 収入印紙の金額の調べ方
- 領収書と収入印紙の関係
- 翌年度の住民税に注意が必要
こんにちは、会社法監査専門の公認会計士の佐藤です。
今回は「収入印紙の金額はどうやって調べるのだろうか?」「翌年度の住民税のためにどのぐらいの金額を貯金しておいたほうがいいか」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、領収書発行の際に収入印紙の金額に悩むことはないですし、翌年度の住民税の金額に驚くこともないはずです。
収入印紙ってどんな時にいくら貼るの?
質問日:2009/02/20
税理士さんと業務委託契約書を交わしました。 収入印紙が貼ってありましたが、アレって値段は決まってるの?
収入印紙の金額は細かく決まってます!
回答日:2009/02/25
収入印紙を貼るシーンは細かく規定されています。 今回は、その中でも事例として頻繁に出てくる「請負」について。 ★請負についての契約書は、 印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当します。 ★請負とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、 相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約。 ★請負には建設工事のように有形の契約の他、 警備や士業等のように無形的な契約もあります。 <例:工事請負契約書、物品加工注文請書、広告契約書、税務委託契約書> ★尚、請負に関する契約書に該当しても、 継続する複数の取引の基本的な取引条件を定める場合、 第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」に該当することがあります。 ★税額は、いずれも契約書に記載された契約金額により以下の通りです。 契約額:1万円未満 税額:非課税 契約額:1万円以上100万円以下 税額:200円 契約額:100万円超200万円以下 税額:400円 契約額:200万円超300万円以下 税額:1,000円 契約額:300万円超500万円以下 税額:2,000円 契約額:500万円超1,000万円以下 税額:1万円 契約額:1,000万円超5,000万円以下 税額:2万円 契約額:5,000万円超1億円以下 税額:6万円 契約額:1億円超5億円以下 税額:10万円 契約額:5億円超10億円以下 税額:20万円 契約額:10億円超50億円以下 税額:40万円 契約額:50億円超 税額:60万円 契約金額の記載のない場合 税額:200円
領収書発行の際は例外なく収入印紙を貼る?
質問日:2009/02/23
お客様から入金がある度に領収書を発行しています。 合計すると結構な金額になるのですが、節税方法はないのですか?
収入印紙を貼らなくていいシーンもあります
回答日:2009/03/16
収入印紙って聞くとめんどくさいというよりも、 意外に高額出費になることで、嫌になる方も多いと思います。 何とか収入印紙の支出を抑えたいと思われているはずですが、 そのためには、まず収入印紙が必要な場面を認識する 必要がありますね。 ★単純な売上代金に対する領収書に収入印紙を貼る場合、 3万円以上10万円以下の売上:200円 100万円超200万円以下:400円 →つまり、3万円未満の売上には収入印紙は不要なんですね。 ★預金からの振込やクレジットカードでの入金の場合は、 クレジットカード明細やATM明細がありますね。 これが領収書の機能を担いますので、基本的には領収書の 発行は不要です。 しかし、どうしても領収書の発行を求められる場合、 印紙税を払わなければならない金額であれば、収入印紙を 貼る必要がありますね。 銀行側処理によって印紙税は一度払われている可能性が ありますが、そもそも印紙税は、 一定の文書を発行することに対して課せられるので、 2度払いになっても収入印紙は必要かと思われます。 ★また、消費税を区別して領収書を記載することで、 印紙税が安くなる場合もあります。 消費税額等が区分記載されているときは、 その消費税額等は印紙税の記載金額に含めなくても大丈夫なので、 印紙税が大きく変わるような場合は、税込金額の記載についても 検討してもよいかもしれません。 <注意!> 収入印紙を貼る際には必ず消印を押しましょう(再利用防止のためです)。 会社法監査を手掛ける公認会計士である私たちの契約書もそうしています。 また、複数部の契約書を作成する場合には、その全てに収入印紙 が必要になりますよ。 (契約の場合には、2部発行してお互いに1通ずつ保管する場合が 多いですが、この場合でも収入印紙は二つ必要。但し、印紙税の 負担者は誰でも良いので、実務上はお互いが一つずつ負担している 場合が多いようです) 但し、収入印紙がない契約書であっても、契約の効力には影響しない ので、この点も留意が必要です。
会社辞めた翌年に住民税の請求が家に来た!
質問日:2009/02/23
会社辞めた翌年に住民税の請求が家に来ました。 住民税ってどういう仕組みになってるのでしょうか?
住民税の請求が来たら払わなければなりません!
回答日:2009/03/08
住民税は、道府県民税と市町村民税を合わせていう言葉です。 地方毎に異なる部分もあるために、なかなか整理しにくいのですが、 ポイントをまとめてみました。 ★個人に対する道府県民税と市町村民税は、市町村(または特別区)が 一括して賦課徴収されます。 この場合、その年の1月1日現在で居住している場所(原則:住民票上の住所) で課税されますね。 ★納付税額は、前年の1月から12月までの所得に応じて計算される「所得割」と、 定められた額で一律に課される「均等割」(市町村により異なる)を合計額となります。 ★通常、就職した初年度は前年の所得が少なく、非課税基準に該当するとの理由で 課税されないケースが大半となりますね。 でも、逆に、前年の所得に対して課税されるため、退職した翌年度も課税されます。 ★徴収方法は2通り! ①普通徴収 通常、毎年6月に市町村・特別区から納税義務者に税額通知書(納付書)が送付されます。 この納付書により市区町村役場や金融機関などの窓口で支払います。 納期は(市町村により異なりますが)通常、6月・8月・10月・1月の4回分割です。 ②特別徴収 給与所得者については、給与支払者(事業主)が、 その年の6月から翌年の5月までの12回に分けて給与から天引きし、 事業主が取りまとめて納付する。 ★退職した後の住民税は要注意です! ①普通徴収:退職後に各人宛に届く納付書により自分で納付しなければなりません! ②一括徴収:最終給与or退職金から、翌年5月分までを一括して差し引き事業主が納付! ③特別徴収継続時:再就職先が決まっている場合、その再就職先で給与天引きを継続! (③の場合は、前の勤務先と新しい勤務先との間でやりとりが行われます) (1~5月に退職する場合は、原則として②の一括徴収が義務付けられています) ★住民税には、「均等割」と「所得割」という2つの種類がありますが、 特に気をつける必要があるのは「所得割」です。 ★一般的に住民税の「所得割」分の支払い義務が発生するのは100万円と言われます。 厳密に言うと、98万円まで税金が発生しません。 これは、「給与所得控除65万円」と、「基礎控除33万円」の影響です。 (所得税の基礎控除は38万円です!)