この記事を要約すると・・・・

  • 外注費と給与の区別と違い
  • 中国出張時の飲食代は経費になるか
  • 住民税が払えない場合の方法

こんにちは、薬局向けの税理士の佐藤です。
今回は「従業員を外注にしたいけど可能かどうか」「中国出張時の経費は全部損金で落とせるのかどうか」「住民税が払えない!」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、税務調査では外注費を徹底調査されること、中国出張時の経費の説明がしっかりできること、住民税が払えなくても放置しないことが分かります。

税金の観点から見ると給料と外注費って全く違うの?

質問日:2009/03/23
建設業者です。従業員として給料を払う場合と外注費で払う場合では
税金の扱いがかなり違うと聞きました。どこが違うのでしょうか?

外注費と給料では、びっくりするぐらい扱いが違います!

回答日:2009/03/26


建設業者の方々を中心によく聞く話ですね。
「外注費」と「給料」。

外注扱いにする業者さんが多いのは、なぜなのでしょうか・・・・


★まず、基本概念からいきましょう。

給料は「雇用契約」です。外注は「請負契約」です。
これが全ての基本ラインです。

 ◆では、外注費にする会社が多い理由とは・・・??

 ①仕事がないときは支出はゼロ(にしなければならない)!
 ②社会保険料の負担がなくなる!
 ③従業員のような教育の手間がなくなる(はず)!
 ④外注費は消費税の計算上課税対象になります!(これがデカイ)
 
 
 ◆しかし、これを相手先に置き換えると・・・・
 ①相手先が法人の場合は売上計上すべき。個人なら確定申告必要!
 ②相手先は自ら保険加入しなければならない(個人なら国民健康保険)!
 ③出来高に応じた請求書を定期的に発行しなければならない!
 

★会社から見ると、外注費はかなりのメリットになりますが、実態が「外注」で
なければいけません。税務調査の際には間違いなく見られます。「給与」だと
認識されると、源泉税の追加徴収や消費税の再計算など、コストはかなり膨らみ
ますので、要注意です!



 ◆外注と給料の違いの目安
 
 ①労働対価:給料なら日当・月給等。外注なら出来高払い。
 ②賞与:外注ならありえません!
 ③指揮命令:外注先が指揮命令を行わなければなりません!
         もし、会社が行うと偽装請負=給与認定です!
 ④責任の所在:外注先の業務は全て外注先にあります。
 ⑤車や材料や道具の所有:外注先は会社のモノを自由に無料で使えません!
 ⑥請求書の発行:外注先から請求書の発行が必要です!
 ⑦時間的拘束:外注先を時間的に拘束はできません!

中国出張!飲食代等を経費に落とせる??

質問日:2009/03/25
中国とのビジネスを考えていてよく出張しています。
宿泊代・飛行機代・飲食代等を会社の経費に落とせますか?

事業関連性のあるものであれば経費計上可能です!

回答日:2009/03/28


★どんな書類が必要??

中国出張の際の各種経費を計上する場合でも、日本の法人税・所得税の範疇内での 計上となるのですから、基本的には処理や必要書類は同じだと考えられます。 但し、海外での取引となるので消費税は非課税になる点に注意が必要です。

★中国の特異性には注意が必要です!

普段は、領収書や請求書を揃えて、経費計上しておられると思います。 発想は同じなのですが、中国では「領収書」の意義が日本と全く違います。 この点に注意が必要です。

★中国の税務制度の裏側

まずは、日本と中国の領収書の違いに重きを置いて、中国税務の一部を見ていきましょう。 中国の税務上の処理は「発票(領収書)」を全ての基準としています。 つまり、支払い時に「発票」を取得していない場合には費用として処理できないのです。  ①日本では領収書は自由に作成でき、様式も規定はなありません。   しかし、中国の「発票」は税務局が印刷から購入、作成、保管、返却まで全てを   管理しており、それを使用しないと税務処理ができないのです。    ②中国では通常「請求書」は発行されません、「発票」がそれを代行するためです。    ③この「発票」には通し番号が付けられています。紛失すると再発行されません。 「発票」は、現在以下の3種類が使用されています。  ①増値税専用発票:中央の国家税務局が管理。専用作成機を使用して「増値税」金額   も記入する。基本税率は17%で毎月末に集計して翌月10日に税金を納める。    ②一般消費財発票:地方政府が管理。小売店等で商品を購入したときに受領する。   一般商業発票(税率17%)と小規模商業発票(5%)の2種類がある。    ③サービス業発票:地方政府が管理。固定金額タイプで、   飲食店等のサービス業で発行される。地域によりクジの付いているものがある。

★中国のグレー部分

このため、色んなグレー(ブラック)な取引が横行しています。 「発票」を発行しない売上は無税で通るため、 「発票」が不要な客に対しては販売価格が割引されていることが多いです。 また、偽造の「発票」がブラックマーケット(といってもかなりオープンですが) で流通しており脱税が横行しています。

★日本で費用計上するために・・・

出張で中国に行ったときには、極力「発票」を取得するように心掛けるべきです。 不慣れな日本人の場合は、偽造品を掴まされることも多々ありますが、 普通の日本人なら調査官も含めて それが偽者・脱税だと見抜くのは非常に難しいのが実情だと思います。 「発票」の入手がどうしても難しい場合、「収据」と呼ばれる証憑を入手しましょう。 これは単なる「受取書」です。 政府発行の領収書ではありませんので、中国内での経費計上は難しいですが、 日本の法人税・所得税の範疇内ならば大丈夫なことも多いようです。 実質的な取引があってそれが業務関連性があるものであれば、 その証憑の形式には捉われずに、しっかり入手したいものですね。

去年退職して今無職。住民税が払えない!

質問日:2009/03/25
去年退職して現在就職活動中の身です。今年は住民税の金額が大きいのです。
今の貯金では払えないんですが、どうしたらいいのでしょうか?

住民税の支払いについては色々な方法があります!

回答日:2009/03/28

★住民税の基本を知りましょう!

住民税は前年1月~12月の所得を基礎として課税される仕組みです。 ですので、去年退職した人でも今年になって住民税を納税する義務があります。 とくに去年退職したという人で要注意なのは、年末調整をしているかどうかですね。 もし去年の年末までに会社を退職していて、年末調整をしていないのであれば、 所得控除ができていない場合があります。生命保険料控除等ができていない のであれば、所得税や住民税がもっと下がる可能性があります。 住民税の納税通知書で、確認してみましょう。 昨年は、弊税理士事務所の薬剤師のクライアントで同様のケースがありました。まずは市役所に相談に行きましょう。

★住民税の減免が認められるケースとは

住民税の減免が認められるケースは、各市町村によって異なります。 減免が認められる基本ラインは以下となります。  ★生活保護法による扶助を受けることになった方  ★納税義務者(本来納税の義務を負うべき人)が死亡し、継承者による納税が困難な時  ★災害にあったとき  等です。 とはいえ、上記のケースであれば全てにおいて住民税の減免が認められるとは限りません。 大体の市区役所・町村役場の実務では「上記の事由に該当し必要があると認められるとき」 となっています。(つまり明確な基準はないということですね) 同様に「昨年は働いていたけど、今年は無職だから」という理由だけでは減免の理由には なりにくいのが現状です。 (かといって、100%無理というわけでもありません。市区役所に問い合わせてみましょう)

★住民税の減免がダメでも分割納付という手もあります

減免はできなかったけれど、住民税の納付がどうしても困難だという場合もありますね。 勤めていたときは12回に分割されて給料から天引き差し引かれていた住民税が いきなり4分割になることもその一因といえるでしょう。 このような場合に、「分割納付」という方法もあります。 これは、本来の住民税の納付期限によらずに、市区役所や町村役場の担当者と 分納の相談をすることによって決定されるものです。 これならば1回あたり納税額が少なくなりますので、生活に困窮するようなギリギリの ラインであれば、検討するに値するのではないでしょうか。 ただし、本来の納付期限はルールとして残っていますので、 本来の納付期限後に納付された住民税については延滞金が加算されます。 したがって、延滞金の分だけ、住民税の総額が多くなることになります。

★「ほったらかす」のが一番ヤバイ!

「ほっぽらかし」ておいたら、期日納付に遅れた住民税全額に延滞がかけられたり、 場合によっては財産の一部が差し押さえられるケースもあります。 支払い方法については上述のように色んな手段が可能ですので、とにかく 市区役所や町村役場の窓口で相談してみてください。これが一番です!