この記事を要約すると・・・・

  • 資本金の額によって税額は変わるのか?
  • 税金や社会保険料を延滞したときの罰則は大きいか?
  • 売掛金と買掛金の相殺時の印紙の関係

こんにちは、介護・整骨院を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「資本金の額によって税額がどのように変わるのかを知りたい」「税金や社会保険料を滞納してしまったときのデメリットを知りたい」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば資本金の額を決める際の参考になりますし、税金や社会保険料納付の優先順位の判断になります。

資本金額を調整すれば節税できますか?

質問日:2009/07/29
資本金4,000万円の石油・石炭関連の会社です。先日、あるところから資本金を
減らす(減資)したらどうか?と言われました。節税効果はあるのでしょうか?

資本金の額によって払う税額が大きく異なります!

回答日:2009/08/13


★資本金1,000万円の境界線

資本金1,000万円を境に影響することは以下の二つですね。  ①新設法人の消費税が2事業年度免税になる!   新規法人設立時、資本金1,000万円未満にすると、   設立以後の2事業年度分は消費税が免税になります。   この効果はかなり大きいものです。     ②法人住民税の均等割額が大きく変わる!   1,000万円を超えると法人住民税の均等割が高くなります。   自治体により額は異なりますが、1,000万円を境に10万円~20万円   程の違いが出るようです。   

★資本金3,000万円の境界線

資本金3.000万円以下の法人は「特定中小企業者等」に該当します。 つまり、特定中小企業者等にだけ認められる特例が受けられる境界線 になってくるのです。  ●主な特例:「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別控除」   中小企業者等が機械等を取得した場合に、   取得価額の7%(法人税額の20%まで)を法人税額から直接控除できる特例です。   資本金が3,000万円を超えると、購入した機械についてこの特例はナシ!      詳細は国税庁のホームページで確認下さい。   

★資本金1億円の境界線

この境界線が最も強烈です。 資本金1億円以下の法人は「中小企業者」として扱われます。 ●資本金が1億円に満たないとこれだけお得!(主なもの)  ①法人税の計算上、軽減税率の適用がある。    ②600万円以下の交際費のうち90%を損金算入できる。    ③30万円未満の少額減価償却資産が全額損金算入できる。   (年間300万円まで)     ④特定同族会社の留保金課税の適用除外!    ⑤各種特別償却や特別控除を受けられる!    ⑥法人事業税の外形標準課税の対象外!  ⑦国税局管轄から外れる!(原則)

税金・社会保険料を延滞したら罰則は大きい?

質問日:2009/07/29
インスタントラーメンを製造する小さいメーカーです。処理を誤り源泉所得税と社会保険料の
支払いが遅れました。罰則はかなり大きいのでしょうか?

種類によりますが延滞はしないに越したことはありません

回答日:2009/08/21

★各種税金と社会保険料を延滞すると・・・

●源泉所得税の延滞  源泉所得税の延滞のペナルティはかなり厳しいです。  原則は、たった1日の延滞でも納付額の10%、(自主納付は5%)の不納付加算税が課され、  更に、年14.6%(最初の2ヶ月は4.5%)の延滞税が課されます。 ●住民税の延滞  住民税には不納付加算金はありません。  しかし、延滞金は年14.6%(最初の1ヶ月は4.5%)です。   ●労働保険、社会保険料の延滞  労災保険・雇用保険の労働保険料、厚生年金保険料、健康保険料の納付は、  延滞があればそのまま自動的にペナルティになるわけではありません。  滞納の督促をした場合に限り、保険料額×年14.6%の延滞金が徴収されます。  (納期限の翌日~完納又は財産差押えの日の前日までの日数分) ●労災保険について!  事業主が労災保険の加入手続を怠っていた期間中に労災事故が発生した場合  ①未納部分の保険料を遡って(2年分+10%追徴金)支払う  ②「保険から労働者等が給付を受けた金額」の100%又は40%を事業者が負担  の二つを行わなければなりません。

★これらの延滞と法人税の損金算入の関係

●損金不算入  税法で限定列挙している延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、  重加算税、過怠税、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、  延滞金(社会保険料を除く)、罰金、科料、過料、課徴金のみです。   ●上記には労働保険、社会保険の保険料に係る延滞金、追徴金等は含まれていません。  つまり、損金算入できるんですね!

売掛金と買掛金の相殺!領収書に印紙必要?

質問日:2009/07/29
蚊取り線香の原材料を作っている中小メーカーです。取引先との関係で一社につき売掛も
買掛も発生する場合がほとんどです。この場合相殺したら印紙はどうなるのでしょうか?

基本的には不要ですが差額が出たら必要です!

回答日:2009/08/25


★売掛金と買掛金の相殺

取引先に対して売掛金も買掛金も発生する場合って意外に多いですね。 お金をもらって、お金を払ってという作業はお互い手間なので相殺処理が有効 になりますが、この際の証憑としてよく「相殺領収書」の発行を求め られたりします。 領収書の発行となれば、収入印紙貼付の有無が問題になってきます。 我々税理士事務所には尼崎エリアのクライアントが多いのですが、 なぜか尼崎エリアでは領収書発行の商慣習が抜けないようです。

★相殺処理だけならば印紙は不要です!

領収書としての表示はありますが、現実には金銭又は有価証券の受領事実はありません。 印紙税法上の受取書には該当しません。  <注意!>  金銭又は有価証券の受取書とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者が、  受領事実を証明するために作成して交付する証拠証書。

★しかし債権債務が同額でなければお金のやりとりは発生しますよね・・・

実務上多いのが、一部は相殺で残りは金銭等の受領による文書(一部相殺の領収証)。 差額が発生するのはよくあるケースですが、その差額を現金や小切手等で受け取る場合 受取差額分の収入印紙を貼る必要はあります。