この記事を要約すると・・・・
- 我が社は今いくらぐらいまで借入が出来るのか?
- つなぎ融資って何でしょうか?
- 3年前の未払残業代はいつの年度の所得になるのだろうか?
こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「自分の会社だといくらぐらいまでお金を借りることができるか知りたい!」「つなぎ融資はどうですか?と言われたけれど意味が分からない」「3年前の未払残業代を払わなければならなくなったが3年前の年末調整をやり直しするしかないの?」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば自分の会社の借入限度額という指針を掴むことができますし、つなぎ融資の検討も可能ですし、未払残業代への造詣も深めることができます。
うちの会社が今ならいくら借入できるかすぐ分かります?
- 焼肉店をフランチャイズ経営しています。新規店舗開店にあたり銀行からの融資を考えていますが、どれぐらいの額まで借りることができるのでしょうか?
ざっくりと計算する方法はあります!大事なことです!
★債務償還年数を知っていますか?
●債務償還年数とは・・・ 銀行が融資のときに用いる指標の一つ つまり、借入金を何年で返済できるかという指標。 ●債務償還年数の計算方法 借入金(短期+長期)/年間キャッシュフロー(営業利益+減価償却費) ●一般的な債務償還年数 一般的には5年~10年が多いです。 逆に10年を超える場合、銀行側から見ると「貸し倒れリスク」を検討します。 つまり、借入れしにくくなるということですね。★会社が借入れできる限度額が簡単に分かる!?
●この償還年数を逆手にとるのです・・・・ つまり5年以内に払い終えることができる金額の中に収まれば、 銀行からの融資は受けやすくなりますし、うまく付き合える一手にもなります。 そうなんです、だから、逆算するんですね。 自社の営業利益と減価償却費から考えて、5年で償還できる借入金額。 これこそが実質的な「借入限度額」と考えてよいでしょう。 ●銀行に新規借入を申し出るときにはこの限度額を知っていることを アピールする会社も多いです。 現実的な「知」は銀行へのアピールにもなるのです。
つなぎ融資ってよく聞くけどどういう意味?
- リュックサック製造の会社経営者です。よくつなぎ融資という言葉を聞くんですがどういう意味なのでしょうか?
簡単にいうと売上仕入のタイムラグによる営業用資金!
★つなぎ融資とは
●つなぎ融資 企業は商品を仕入れたり製造したりして販売しますが、通常は 仕入や原材料の支払いが先で、売上の入金は後になりますね。 その間の資金需要に対して短期的に融資されるのが 「つなぎ融資」と呼ばれる融資手法です。 簡単にいうと、通常の運転資金への融資ですね。★つなぎ融資の実態①
●銀行が融資を拒否するケースがある! 普通に考えると、つなぎ融資は営業資金の期間ズレだけの問題 なので、リスクは小さいように想われます。売掛金さえ回収 できれば返済できると考えられますから。 しかし、そう簡単ではありません。 ●資金使途は本当に「つなぎ」かどうかが大事! つなぎ融資という名目であっても、その資金が赤字の穴埋めになって しまっていたり、現在の借入返済の元手になってしまうようならば 全くもって話が変わります。 リスクが格段に大きくなるからです。銀行が「実質的なつなぎ」かどうか を判断する理由はココにあります。★つなぎ融資の実態②
●つなぎ融資の支払原資 「売掛金・受取手形・在庫」-「支払手形・買掛金」。 つまり、将来入ってくるであろう営業上のキャッシュ額から 将来出て行くであろう営業上のキャッシュ額を控除して 求められるはずです。 銀行も同様の計算式で査定を行っているものと思われます。 ●赤字決算の場合は単純ではない! 赤字の場合は、これに加えて借入金勘定、繰越損失勘定を 加える必要があります。 (減価償却費を加算すると黒字になる場合は赤字と考える必要なし!) つまり、この場合は、上記の算出式で計算した返済原資がそのまま 銀行への返済に充てられるとは限らないって事ですね。 赤字の穴埋めに回ったり、借入金の返済に回ったりするわけですから。 ●全ての赤字決算の会社がダメってわけではありません。 例えば、赤字が一時的で将来の黒字が見込める場合や、現在の借入金 負担が小さいような場合には、上記の算出資金の一部が新規借入の 返済に回せる可能性もあります。★結論:銀行対策!
●赤字の場合 将来の利益と減価償却費との合計額が、既存借入金返済額を上回れば、 銀行は「つなぎ融資」を行う可能性が高くなります。 ●黒字の場合 「売掛金・受取手形・在庫」-「支払手形・買掛金」の金額を調べます。 これが融資額の基準になります!
未払残業代を払わなければ!いつの所得になる?
- スカーフ製造の中小企業です。従業員の訴えにより過去3年分の残業代の追加支給をしなければならなくなりました。いつの所得になりますか?
本来の支給日の属する年度の所得になります
★未払残業代はどうやって払うか
●結論 未払残業代は本来の支給日の属する年度分の所得として扱います。 (給与規定で支給日が定められているはずなのでその支給日を基準にします) (支給日が定められていない場合には改定が必要になりますね) 弊税理士事務所の訪問介護や居宅介護支援事業所やデイサービスのクライアントさんでも多い事例です。 ●例えば平成17年度に15万円、平成18年度に20万円、平成19年度に30万円の残業代の 未払があれば、各々の年度で所得調整が必要になります。 つまり、給与を貰っている従業員にとっては3年分の年末調整が必要になります。 (確定申告をしていたら修正申告が必要ですね) ●しかし、賞与として扱うと処理は変わります。 過去の残業代を賞与として支給した場合、全額を賞与支払年度の所得として処理します。 ●この手の問題は税務上の問題以上に労務問題(労使間の)に発展するケースが多々あります。 現代法律は労働者保護が徹底されていますので、経営者としては労務問題にも慎重に気を 使いながらの処理を求められるものと思われます。