この記事を要約すると・・・・

  • 帳簿の保存期間は何年間か
  • 支店を開設したら税金がどれぐらいアップするか
  • 保険代理店の収益計上時期の考察
  • 生命保険の満期返戻金の収益計上時期

こんにちは、会社法監査を行う公認会計士の佐藤です。
今回は「帳簿や領収書は何年間会社に保存すべきか」「支店を増やした場合の税金対策を考えたい」「保険金を貰った場合にはどのタイミングで確定申告すべきか」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、領収書を捨てて焦ることはなくなりますし、支店を増やす税金リスクも把握できますし、保険金を貰っても税金を考慮できるようになります。

帳簿関係の書類はいつ廃棄したらいい?

  • 新潟県・山形県で農家支援事業を行う会社です。毎年毎年かなりの書類が溜まっていくのですがコレッていつまで保存しないとダメなのでしょうか?

絶対に勝手に捨てないで下さいね!

    

★一般的に安全と言われる帳簿書類の保存期間

●決算書・申告書→廃棄しない! ●総勘定元帳・仕訳帳等の帳簿関連書類→10年間保存 ●領収書・請求書等の証憑→10年間保存 <注意!> ■帳簿関連書類とは・・・  総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛元帳、買掛元帳、固定資産台帳  売上帳、仕入帳、棚卸帳、B/S、P/L、契約書、領収書、請求書等  ↓  たとえ会計ソフトで作成していても紙で保存しなければなりません。   ■法人税法では7年間で事足りるケースが多いのですが、安全策として  10年間保存を行う会社が増えているので、実務対策という意味で  10年間保存としています。   ■消費税法について  消費税課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるために、  課税仕入の事実を記載した帳簿&請求書等を両方7年間保存する必要があります。  法人税・所得税との関係も考えて、安全策として10年間保存している会社が  多いですね!

★永久保存すべき書類もある!

●法律とは別に会社として永遠に残しておいた方がいい書類もありますね。  ↓  その判断は、会社によってマチマチではありますが、一般的には以下の  書類等を永久に残しているケースが多いですね。  ↓  □定款  □登記関連書類  □許認可関連書類  □不動産関連書類  □毎期の決算書  □税務申告書  □契約書  □各役所への届出書

支店を出したら税金増える??

  • ボスニア・エストニアとの間で日用雑貨を輸出入しています。本店は東京ですが、近々湖西市に支店を開設する計画です。税金の額は変わるのでしょうか?

増えます!色んな税金に影響もあります!

    

★まず、最も大事なのは均等割です

●地方税均等割とは・・・  人的、物的設備があり、事業を行っている何らかの実態があれば、  支店所在地の都道府県及び市役所等に課せられる地方税です。  ↓  本店と支店が同じ都道府県→都道府県の均等割は増えません!  本店と支店が同じ市町村→都道府県も市町村も均等割りは増えません!  ↓  均等割の計算には本店・支店の各々の従業員数が必要です!  

★地方税の所得割や法人事業税はどうなるか・・・

●地方税所得割は全体で増加しませんが分割納付になります。  ↓  黒字会社は地方税の所得割が発生しますね。  支店があれば、所得割額を本店と支店で分割納付しなければなりません。  (分割基準は従業員数or事務所数)  ↓  法人事業税については、製造業とそれ以外で分割基準が異なります。

★償却資産税の扱いも要注意!

●償却資産税  ↓  支店にある償却資産に対する償却資産税は支店所在地の市区町村に納付  しなければなりません!  ↓  もっと言うと、資産管理を本店・支店別に行う必要がありますね!  

★源泉所得税の扱いも要注意!

●給与計算を本店一括で行っている場合(普通の中小企業はコッチ!)  ↓  支店がない場合と同じ処理方法!  つまり本店所在地管轄の税務署に全員分の源泉所得税を払えばOK! ●支店従業員については支店で給与計算を行っている場合  ↓  源泉所得税は給与支払事務を取扱っている事業所所在地管轄の税務署に納付。  ↓  会社全体で見ると納付合計額は同じです。  でも、支店毎に源泉所得税を納付しなければならないんですね!要注意です!

保険代理店の売上計上のタイミングは??

  • 蓮舫さんや猪口邦子さんの熱狂的ファンの保険代理店です。毎年毎年、保険代理店の売上計上時期で悩むのですがどう考えればいいのでしょうか?

保険契約開始時でしょう!

    

★保険代理業の手数料収入の流れ

●保険料→代理店口座→全額を保険会社口座へ→手数料が代理店口座へ。  ↓  一般的には以上のような流れになるケースが非常に多いですね。  ↓  代理店が保険会社に保険料全額を支払う日=保険契約の開始日  と考えられます。  ↓  この論点は、公認会計士として会社法監査を行う場合でも同じです。収益計上時期は根本的ですが大きなテーマです。 ●この流れで考えると。。。。  ↓  売上は発生主義&実現主義を満たすポイントになりますね。  (もちろん、費用収益対応の原則)  ↓  代理業の役務提供完了時=手数料請求権が確定=収益計上時!  ↓  こう考えると、保険契約が成立すれば代理業の役務提供完了といえます。  ↓  保険開始日=保険契約が有効に成立するのですから、この時点を  売上計上時期と考えてよいでしょう。  ↓  もっというと、代理店が預かった保険料全額を保険会社口座に入れ、  保険が開始されたタイミング。  これが売上計上のタイミングです!

生保の満期返戻金はいつ収益計上?

  • 与謝野馨さんの支援を行うスーパーマーケット経営者です。先日先代の保険が満期になり会社に満期返戻金が入ってきました。これはいつ益金にすべきでしょうか?

満期日がいつかが大事です!

    

★よくある保険契約

●役員や使用人を被保険者とし、満期や死亡時の保険金受取人が  法人のケース。  ↓  決算が3月31日だとして、満期保険金が3月31日に支払われる予定。  ↓  この保険、3月31日で満期を迎えるわけですが、実際の満期返戻金の  入金は当然ですが、4月1日以降ですね。  ↓  満期返戻金は収益計上すべきですが、いつ行うべきか??    

★満期返戻金の収益計上時期

●保険金はいつ払うか?  ↓  保険事故が発生した場合です。  ↓  保険期間内の死亡した場合、保険期間満了まで生存した場合ですね。  ↓  保険期間満了時まで生存していたことに対して支払うのが満期返戻金。  ↓  つまり収益計上時期は、支払確定日=満期日の属する年度であるべき。  (入金がいつかは関係なし!)

★死亡保険金の収益計上時期

●保険金を受け取ることが明確になるタイミング  ↓  「保険会社から支払通知を受けた日」に収益計上すべき!  ↓  被保険者死亡時、保険会社への請求時、支払を受けた日等、  色々考えられますが、やはり保険会社からの支払通知を受けた  タイミングがベストです!