この記事を要約すると・・・・
- 妻の税理士事務所に旦那の弁護士事務所の顧問料を払うことはできるのか?
- 会社の顧問に報酬を払う場合に源泉所得税を控除する必要はあるのか?
- 毎月の給与計算から控除される源泉所得税の金額妥当性はどうチェックできるか?
こんにちは、神戸の税理士の佐藤です。
今回は「家族がみんな個人事業主の場合に報酬を払い合いできるのか?」「源泉所得税を控除しなければならない人が誰か分からない」「毎月の給与計算が間違っているか不安」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、家族内の個人事業主間での支払方法が理解できますし、源泉徴収対象者も分かりますし、源泉徴収税額表の存在も知ることができます。
妻の税理士事務所の弁護を夫の弁護士事務所に頼めるか?
質問日:2009/04/21
私は弁護士事務所を経営しています。妻は税理士事務所を営んでいます。 妻の税理士事務所の弁護を私が引き受けることはできますか?
できますが、経費計上及び売上計上はできません!
回答日:2009/04/27
★身内間取引には注意が必要!-所得税法56条-
弁護士である夫が税理士である妻から法律顧問料をもらう場合は、 妻の事業所得の計算上必要経費として認められません! (逆に夫の事業所得にも含まれません!) これは、まさに所得税法56条の取扱い通りです。 所得税法56条はもともと「租税回避行為防止」のための制度です。 例えば、親の土地に店舗を構えて商売をしている子がいるとしましょう。 儲かれば儲かるほど支払う家賃を高く設定できるとしたら、租税回避が可能になります。 こういう事例を防止するために、生計一親族間では経費処理を認めない! これが所得税法56条です。 所得税法57条の「親族に対する青色専従者給与の必要経費算入」は例外規定なんですね。 給与ではOKで報酬ではダメ!!としたのと同旨の判断と考えてよいのではないでしょうか。★専従者給与の必要経費算入-所得税法57条-
●居住者と生計を一にする親族が事業に従事した場合、 給料として必要経費になるのは以下の金額です。 ◆白色申告の場合 ①配偶者である事業専従者:86万円 ②配偶者以外の事業専従者:50万円 ◆青色申告の場合 相当と認められれば(世間相場並み)であれば全額経費に算入されます。
会社の顧問に源泉引いてから報酬払ってくれと言われたけど・・
質問日:2009/04/21
公務員OBに会社の顧問になってもらってます。毎月報酬を払っているのですが、ある日 「源泉所得税を差し引いて報酬を払ってほしい」と言われました。これは義務でしょうか?
義務ではありません。義務のある対象は決まってます
回答日:2009/04/30
★源泉徴収の対象となる例をみていきましょう!
①原稿料や講演料 ②弁護士、公認会計士等の特定の資格を持つ人に支払う報酬 ③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 ④プロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬・契約金 ⑤芸能人に支払う報酬・料金 ⑥ホステス・コンパニオン等に支払う報酬★源泉徴収っていくらぐらい払うの??
払うケースにもよりますが、公認会計士等への報酬や原稿料は以下の式で計算されます。 ●100万円以下の場合:10% ●100万円超 の場合:100万円を超えた部分×20%+10万円★源泉所得税を利用した節税方法とは?
所得税法では、支払金額が100万円を超えるか否かは「1回の支払額」で判断します。 つまり、例えば150万円の報酬を1回で払うか半分ずつを2回で払うか、で所得税額 が変わってくるんですね。 ◆150万円を1回で払うと、50万円×20%+10万円=20万円 ◆150万円を2回で払うと、(75万円×10%)×2回=15万円 分割して払うことで、所得税が安くなる、これは頭に入れておいて損はありません!
毎月の給料から所得税ひかれてるけど、金額合ってる?
質問日:2009/04/29
毎月給料から引かれる所得税。これって誰がどうやって計算するの? 本当に合ってるの??
通常は会社の総務担当者が計算します。
回答日:2009/05/04
★源泉所得の税額計算ってどうするの?
源泉徴収する税額は「給与所得の源泉徴収税額表」を見ながら計算します。 通常は会社の総務担当者や顧問税理士が計算する場合が多いですが、 間違っている可能性もゼロではありません。 サラリーマンの方は、たまには自分で計算してチェックすることをお勧めします。 ●給与を支払う際の源泉徴収税額は、 給与の総額から、 個人負担の社会保険料(健康保険料、厚生年金、介護保険、雇用保険料等)を 差し引いた金額を、 「給与所得の源泉徴収税額表」にあてはめて算出します。★「給与所得の源泉徴収税額表」はいくつかの区分に分かれてます!
「給与所得の源泉徴収税額表」を見たことをがあるでしょうか? 「源泉徴収税額表」には、「給与の支払区分」(月額表・日額表) 及び「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無により、 甲欄、乙欄、丙欄の3つに分かれます。 月額表と日額表は給与の支払形態によって使い分けます。 月払い、半月払い、10日払いの場合には月額表を使用し、 週払い、日払いの場合(日雇い賃金を除く)には日額表を使用します。 月額表を使用するか日額表を使用するかが決まったら、 次は甲欄、乙欄、丙欄の分類です。 「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がある人は甲欄、 「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がない人は乙欄、 日雇い労働者は丙欄を使用します。 【月額表・日額表】、【甲欄・乙欄・丙欄】を組み合わせて、 該当欄を探し出すんですね!★給与所得者の扶養控除等申告書の内訳
「給与所得者の扶養控除等申告書」は、 その年の最初の給与の支払をする前日までに 提出してもらうものです。 一般的には年末調整の際に、提出しているイメージがありますね。 私たちは神戸で活動している税理士事務所ですが、 弊社のクライアントはみんなそうです。 ということは、この「給与所得者の扶養控除等申告書」は翌年分ってことですね。 だから、中途入社の場合には、その年の「給与所得者の扶養控除等申告書」を まず提出させて年末調整の際に来年分を提出してもらうことになるわけです。