このページをまとめると・・・・

  • 税務調査の日に社長のすべき仕事
  • 赤字の会社に税務調査は来ないか?
  • 働いていない人に給与を払っていいのか?

こんにちは、姫路の税理士の佐藤です。
今回は「税務調査の日に社長は会社にいなければならないか?」「赤字続きの会社なので税務調査はないですよね?」「労働実態のない社長の嫁へ給与を払ってもいいのか?」という人向けに書いてみました。しっかり読めば、税務調査の日の税理士と社長のコンビネーションが理解できますし、税務調査対象となる可能性の高い会社も分かりますし、給与として税務上損金算入できる対象も理解できます。

社長は税務調査の日に何をするか?

  • 鑢や鋼の輸入を行っています。先日初めての税務調査を受けました。何をすればいいか全く分からず右往左往でした。何か心得はあるのでしょうか?

特に構える必要はありません!

    

★税務調査の日、社長のスタイル

●税務調査というのは原則的に調査官が資料等を黙々と見るのが基本ラインになります。  ↓  つまり、社長が積極的にやるべきことは一切ないんですね。  調査官が気まぐれのように質問をする場合もありますが、こんなのにずっと付き合っていても何も生みません。  質問があるなら最後にまとめてもらって下さい。  ↓  調査官が来たときに名刺交換してすこし概要を話しておけば後は最後までほったらかしてもらって問題なしです。  (途中段階は税理士や経理担当者に任せてしまいましょう)    

★税務調査の日、社長がやるべきこと

●ただ、税務調査を受けることにより勉強しておくべきこともあります。次回の税務調査用と考えてもらっていいでしょう。 ●税務調査官の行動をメモする。  ①どんな質問をしてきたか?  ②どんな資料を見ていたか?  ③「こうすべき」的な発言があればきっちり残す。  ↓  どういうところを見られるか、聞かれるか、ということが分かるだけでもプラスです。 ●税務書の指摘事項は次回に必ずチェックされます。  税務書は会社毎に調査したときに情報はきっちり持っています。  問題点や指摘事項・修正事項・調査証憑等、かなり細かく記録として残しています。  会社としても必ず記録に残していきましょう!

赤字でも税務調査は来ますか?

  • 南京・蘇州から衣料品を姫路に輸入しています。ここ3年は不況で赤字続きです。こんな状態でも税務調査に来る可能性はあるのでしょうか?

はい!来ます!

    



★赤字会社が増えている現実・・・・

●平成20年度の赤字計上企業は7割を超えています。  戦後最悪の数字です。  ↓  これはつまり法人税収の大幅減を意味します。  以前は赤字だと税務調査に入らないと言われてきました。  赤字会社よりも黒字会社に調査に行く方が追徴をかけやすかったからに他なりません。  しかし、これだけ黒字会社が減ってくると事情が変わります。赤字会社からもとれるものはとろうという発想ですね。  姫路で税理士サービスを提供している我々にも赤字多数の実感が強いです。  

★赤字会社で調査されるポイント

●本来の処理であれば黒字なのに不正経理によって赤字にするケース。これが本当に多いといわれています。  ↓  特に、今まで黒字が続いていた会社が急に赤字になると目につきます。  前期比較はもちろん、同業他社がどんな損益水準かも調べます。  ↓  □棚卸計上額は合理的か?  □交際費の処理は適正か?  □貸倒損失のタイミングは早くないか?  □不動産購入額に変な支出が含まれていないか?  □人件費の中身に問題はないか?   ●赤字だからといって変わらない税金の種類もあります。  ↓  消費税・源泉所得税・印紙税は、企業の赤字・黒字に関係ありません。  法人税のための調査という側面ももちろんありますが、やはり手っ取り早いのは、消費税・源泉所得税・印紙税でしょう。  ↓  赤字会社の調査においては、この3つの税金が間違いなく見られると考えておくべきですね。

働いていない人に給与を払うのはダメ?

  • 大阪府吹田市でウニの養殖をしている会社です。社長の家族や取引先の息子に給与を払っていますが実際は働いていません。これはまずいでしょうか?

税務調査で論点になる可能性大です!

    


★そもそも給与とは・・・・・

●給与とは・・・  使用者と労働者との雇用契約に基づき、労働者が労務の提供をしたことに対する対価として使用者が支払うもの。  ↓  労務の提供がないにもかかわらず支払われる給与は業務上の災害による休業補償等が考えられるものの、これはあくまでも使用者に原因があるものですね。  ↓  労働者側の原因によって、正当な理由なく労務の提供を行わずに支払われるお金は給与といえるのかどうか、これがテーマになりますね。  ↓  しかし、中小企業の実務ではこの現実が意外に多いのです。  全く会社に出ていない社長の家族に給料を払ったり、付き合いのある政治家や主要取引先の家族を形式的に従業員にするケースはかなりあるのではないかと思います。  

★働いていな人に給与を支払って給与処理できるか・・・

●上記のように、断りきれずに(労働者側の都合で)給与だけを支払っているケースは意外に多いのが実態ではないかと思います。  (社会保険料も負担しているケースが実に多いですね)  ↓  これらは給与として会計処理しても問題ないのでしょうか? ●労務の提供がないのに給与として支払う場合は、労働者への贈与になります。  (社会保険料の会社負担分も贈与になるでしょう)  ↓  法人であれば、これは寄付金として処理すべき話です。  ↓  また、相手が取引先の家族等といった場合には寄付金ではなく交際費として処理すべきという意見が出てくる可能性もあります。  社長の家族である場合には、社長の役員報酬(役員賞与)の増額とみなされるケースも出てきますね(毎月同額でなければ損金不算入になるでしょう)  ↓  どちらに転んでも、働いていないのに給与を払っているケースだと諸々の指摘が入る可能性が極めて高いです。注意しましょう!