会長死去!社葬の費用は損金?
現社長の父で、創業者の会長が死去しました。社葬を行いたいと思うのですが、これは経費にはならないでしょうか?
常識的な範囲であれば経費計上できます!
★まず最初に。個人がとり行った葬式費用はどうなる?
個人がとり行った葬式費用の取り扱いは「債務葬式費用」となり、故人の相続財産から控除されます。
★では社葬として取り扱う場合はどうなるでしょう?
社長や会長といった重要な役職にいる人の場合、社葬が行われる場合が多いですね。
簡単にいうと、会社全額負担で葬式を行うということです。
法人税法では、役員や使用人が死亡したために社葬を行い費用を法人が負担した時は、社葬を行うことが社会通念上相当と認められる限り、社葬のために通常要する金額を損金の額に算入するとしています。
この場合、「社葬を行うことが社会通念上相当かどうか」という判断が難しくなりますよね。
通常は
◆死亡した役員等の死亡事情
◆生前における会社への貢献度 等から判定 することになっています。
<注意!>
「社葬のために通常要する金額」とはあくまで葬儀を行うための費用であり、墓石や仏壇の購入費戒名を受けるための費用は含まれません。
★社葬で貰った香典の取り扱いはどうなるの?
個人で行う葬儀の場合には、葬祭料香典または災害等の見舞金等については、該当人の社会的地位、相手先との関係などを照らして「相当と認められる」場合には、所得税は課さないことになっています。
では、社葬としてとり行った場合の香典の取り扱いはどうなるのでしょう。
◆社葬費用を会社が負担する以上、香典等も「法人の収入」として計上する。
◆故人の冥福を祈るためなので、「遺族の弔慰金」として計上する。
法人税法上は、前者を原則が原則となります。実際の取引が後者によっている場合にはこれを認めることとしています。
生命保険に加入したら節税できるのでしょうか?
今期は会社で大きな利益が出ました。生命保険の営業の方が節税になるからと、保険料の支払いを求めています。これって本当に節税になるのでしょうか?
生命保険の種類によっては節税効果はゼロです!
◆生命保険には色んな種類があります
まずはそれぞれの生命保険毎に見ていきましょう。
◆養老保険の保険料
養老保険とは、満期又は被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。
法人が契約者、役員(使用人)を被保険者とする養老保険の保険料。
①死亡保険金及び生存保険金の受取人=法人
保険料は、保険契約が終了する時まで損金の額に算入されず、資産計上。
②死亡保険金及び生存保険金の受取人=被保険者又はその遺族
保険料は、被保険者(役員又は使用人)への給与。
③死亡保険金の受取人=被保険者の遺族、生存保険金の受取人=法人
保険料の額のうち、2分の1に相当する金額は①により資産に計上、
残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、特定の役員又は使用人を被保険者としている場合には、 この残額部分はそれぞれ役員又は使用人に対する給与になります。
◆定期保険の保険料
定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合のみ保険金が支払われる生命保険で、養老保険のような生存保険金の支払はありません。
法人が契約者、役員(使用人)を被保険者とする定期保険の保険料。
①死亡保険金の受取人=法人
保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
②死亡保険金の受取人=被保険者の遺族
保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
(特定の役員又は使用人を被保険者としている場合には、その保険料は彼らへの給与)
◆定期付養老保険の保険料の取扱い
定期付養老保険とは、養老保険を主契約とし定期保険を特約として付加したものです。
法人が契約者、役員(使用人)を被保険者とする定期付養老保険の保険料。
①保険証券などにおいて定期保険の保険料と養老保険の保険料に区分されている場合
●定期保険の保険料について
1:死亡保険金の受取人が法人の場合
保険料の額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
2:死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合
保険料の額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
(特定の役員又は使用人を被保険者としている場合、保険料は彼らへの給与)
●養老保険の保険料について
1:死亡保険金及び生存保険金の受取人が法人の場合
保険料は資産に計上します(損金計上できません!)。
2:死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族の場合
保険料は被保険者に対する給与となります。
3:死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で生存保険金の受取人が法人の場合
保険料の額の2分の1は資産に計上、残額は期間の経過に応じて損金に算入。
(特定の役員又は使用人を被保険者としている場合、保険料は彼らへの給与)
②定期保険の保険料と養老保険の保険料とに区分されていない場合
保険料の全額を養老保険の保険料とみなして処理します。
<注意!>
●傷害特約等の特約がある場合は、 その特約部分の保険料を期間の経過に応じて損金算入できます。
ただし、特定の役員又は使用人を「特約に係る給付金の受取人」としている場合、 特約部分の保険料は彼らへの給与となります。
●給与とされる保険料は、各人の生命保険料控除の対象となります。
死亡保険金は会社、満期保険金は社長。こんな生命保険アリ?
保険会社の営業員に勧められて、生命保険を契約しました。死亡保険金は会社に、満期保険金は社長に入る契約ですが、こんな契約は珍しいと言われました。
正確な規定はありません。税務調査のポイントになるでしょう
★法人絡みの通常の生命保険契約手法は・・・・
たまに変わった生命保険契約もあるようです。
法人が契約する養老保険に加入する場合、通常は下記のような契約が多いですね。
●被保険者:役員、従業員
●死亡保険金の受取人:役員、従業員の遺族
●満期保険金の受取人:法人
この場合は、保険料の2分の1を資産計上、残額を損金算入するのは、前回お話した通りです。
★珍しいパターンの保険契約もたまにあります
ただ、中にはこんなケースもあります。
●被保険者:役員、従業員
●死亡保険金の受取人:法人
●満期保険金の受取人:役員、従業員
この場合の処理はどうなるのでしょうか?
実は、この「逆パターン」に関する規定はありません。
一般事例として、以下のように考えるのが多いようです。
★死亡保険金分の保険料:法人の経費
★満期保険金分の保険料:役員、従業員への給与
ただし、この「逆パターン」に正解はないので、注意点もいっぱいあります!
<注意点の例>
◆保険料が年払いで役員に対するものであれば役員賞与となる可能性が高いです。
◆生命保険を途中解約した場合、解約返戻金は「法人」が受け取ると考えられます。満期ではないと考えられるからですね。
◆保険料の全額が給与とされた事例もあるようです。
おそらく、これは保険料の内訳が、死亡保険金に対する保険料がほぼゼロで、満期保険金に対する保険料がほとんどを占めると判断されたからでしょうね。とはいえ、一般の契約者は保険料内訳を知らない場合がほとんどで、これがこの処理を厄介にしていると言えます。
要は、税務調査によってどっちに転ぶか分からないテーマです。税務調査で保険証券を見られることで覆ることも大いにありえますね。