租税公課の種類
租税公課には、主として以下のものがあります。
・法人税(国税)
・住民税(都道府県、市町村)
・事業税
・地方法人特別税
・法人税の附帯税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、不納付加算税、等)
・住民税の延滞金等(延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、等)
・申告納税方式の租税(酒税、事業所税)
・賦課課税方式の租税(固定資産税、不動産取得税、自動車税、等)
・特別徴収方式による租税(軽油取引税、等)
・利子税(国税の延納の届けを提出したことによって係る利息)
・延滞金(住民税の延納の届けを提出したことによって係る延滞金)
損金算入されない租税公課
上記の租税公課のうち、以下のものは、課税所得計算において損金算入されません。
1、法人税(国税)
⇒法人税を損金の額に算入すると、法人の所得そのものが循環的に減少することになるため、損金としないこととされています。
2、住民税(都道府県、市町村)
⇒法人税と同様の理由から、損金としないこととされています。
3、法人税の附帯税
⇒これらの税金は、一種の制裁的意味をもつものであり、これを損金として認めることは、その制裁効果を減少させることになるため、損金としないこととされています。
4、住民税の延滞金
⇒法人税の附帯税と同様の理由から、損金としないこととされています。
損金算入される租税公課
以下の租税公課については、課税所得計算上、損金として算入することが認められています。
1、事業税
2、地方法人特別税
3、申告納税方式の租税(酒税、事業所税)
4、賦課課税方式の租税(固定資産税、不動産取得税、自動車税、等)
5、特別徴収方式による租税(軽油取引税、ゴルフ場利用税、等)
6、利子税(国税の延納の届けを提出したことによって係る利息)
7、延滞金(住民税の延納の届けを提出したことによって係る延滞金)
損金算入される租税公課の損金算入時期
1、事業税、地方法人特別税
・納税申告書を提出した事業年度 |
・「納税申告書の提出」は、決算日から2カ月の間に提出されることになりますので、通常は、「事業税、地方法人特別税の計算対象となった事業年度」の翌事業年度に損金に算入されることになります。
・また、これに係る更正又は決定のあったものについては、その更正又は決定のあった事業年度となります。
・実務上は、申告書の提出と同時期に支払が行われるため、「支払った事業年度」に損金算入されると考えて頂ければ問題ないと思います。
2、申告納税方式の租税(酒税、事業所税)
・納税申告書を提出した事業年度 |
・酒税、事業所税についても、納税義務者が納税金額を申告して初めて納付金額が決定されるものですので、事業税や地方法人特別税と同様に「納税申告書を提出した事業年度」に損金に算入されることになります。
3、賦課課税方式の租税(固定資産税、不動産取得税、自動車税、等)
・賦課決定のあった日が属する事業年度 |
・賦課課税方式とは、税務署等が税額を決定して納税者に通知され、それをもとに税金を納付するものです。この方式による租税公課は、賦課決定があったときに損金算入されます。
・実務上、「賦課決定があった事業年度」と「納付する事業年度」は同じであるため、これについても、「支払った事業年度」に損金算入されると考えて頂ければ問題ないと思います。
4、特別徴収方式による租税(軽油取引税、ゴルフ場利用税、等)
・納入申告書を提出した事業年度 |
5、利子税、延滞金(国税の延納の届けを提出したことによって係る利息)
納付の日の属する事業年度 |
・申告期限の延長に伴う利子税及び延滞税は損金参入可能です。
「申告期限の延長」とは、会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しないため又は連結子法人が多数に上ること等により、申告期限までに確定申告書又は連結確定申告書を提出できない場合に特例の申請をして認められた場合のものです。
・注意して頂きたいことは、上記「損金算入されない附帯税や延滞金」と混同しないことが必要となります。
・したがって、実務上、中小規模の会社では、あまり関係のないものとなります。
還付が生じる可能性のある税金
租税(税金)の還付が生じる可能性のある税金には以下のものがあります。
これらの税金については、中間納付という制度があるため、「中間納付した金額」よりも、「年度決算において確定した税金の金額」が少ない場合には、その差額が税務署等から還付されます。
【還付が生じる可能性がある租税(税金)】
1、法人税(国税)の還付金
2、住民税(都道府県、市町村)の還付金
3、事業税の還付金
4、法人税の附帯税、住民税の延滞金(損金不算入分)
5、利子税、住民税の延滞金(損金算入分)
課税所得計算における還付金
上記の還付金がある場合、「還付があった日が属する事業年度」の「課税所得計算での取り扱い」をどのようにするかが問題となります。
これについては、還付金の種類により、課税所得計算に組み込まれるか否か(益金として加算しなければならないか否か)が判断されます。
この点、税金を支払った場合に「その支払額」が「損金不算入となる税金」については、税金の還付を受けた場合にも、課税所得の計算において「益金」として加算する必要はありません。
他方、税金を支払った場合に「その支払額」が「損金算入となる税金」については、税金の還付を受けた場合には、課税所得の計算において「益金」として加算する必要があります。
つまり、課税所得計算においては、還付金についても、「税金の支払」と同様の考え方がなされるのです。
課税所得計算における還付加算金
還付加算金とは、税金の還付金に係る利息です。
税金の納付があった日の翌日から還付のための支払決定の日までの期間の日数に応じて、その金額に年 7.3%の割合を乗じて計算した金額が税務署から利息として支払われます。
この「還付加算金」は、利息として取り扱われますので、事業税に限らず、法人税や住民税に係る還付金も課税所得計算上、「益金」として算入することが必要になります。
課税所得計算において加算をする必要のない還付金
課税所得計算において加算をする必要のない還付金は以下のものです。
1、法人税(国税)の還付金
2、住民税(都道府県、市町村)の還付金
3、法人税の附帯税、住民税の延滞金(損金不算入分)
課税所得計算において加算をする必要がある還付金
課税所得計算において加算をする必要がある還付金は以下のものです。
1、事業税の還付金
2、利子税、住民税の延滞金(損金算入分)
3、還付加算金(法人税、住民税、事業税分)
課税所得計算において加算をする時期
「事業税の還付金」及び「利子税、住民税の延滞金(損金算入分)」は、「還付を受けた日の属する事業年度」の課税所得計算において、益金の額に算入(加算)されます。