宿直、日直とは
①所定労働時間外又は休日における勤務の一態様で、構内巡視、文書、電話の収受又は非常事態に備えて待機するもので、 ’ ②常態としてほとんど労働する必要のない勤務をいいます。 |
・このうち夜間にわたり宿泊を要するものを「宿直」といいます。 ’ ・また、その時間帯が主として昼間であるものを「日直」といいます |
【宿日直の留意点】
①宿日直勤務については、労働の密度や態様が普通の労働と著しく異なり、ほとんど労働する必要のない勤務のみの場合に認められるものです。
原則として、通常の労働との継続性はなく、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態発生の準備等を目的とするものということになります。
②通常の労働を継続して行い宿直する場合には、宿日直にあたりません。
⇒これにつきましては、残業(深夜残業)として取り扱われます。
③休日に出勤して、通常業務を行う場合には、日直にあたりません。
⇒これにつきましては、休日残業として取り扱われます。
宿日直料に対する所得税の非課税範囲
1回の宿日直について支給される金額のうち、4,000円までの範囲で所得税が非課税となります。
宿日直時に食事の支給がある場合の所得税の非課税範囲
宿直又は日直の勤務をすることにより食事が会社等から無料支給される場合には、
「4,000円からその食費を控除した金額」までの範囲で所得税が非課税となります。
宿直、日直料に対して、所得税が課税される場合
以下のような場合には、宿直料、日直料として会社が宿日直手当を支給していたとしても、そもそもその勤務が宿直、日直に該当しないために、支給金額の全額が所得税の課税対象となります。
このため、これらの支給の場合には、源泉徴収の対象となる給与となります。
①休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者について支給される宿直料又は日直料 ’ ②その場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料 |
①宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者に支給される宿直料又は日直料 ’ ②これらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料 |
宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額により支給される宿直料又は日直料 |
【留意点】
①宿直、日直のために雇用された人に対する支給額は、単なる基本給として、所得税が課税されます。
②通常の勤務との継続性がある場合には、単なる割増残業代金として、所得税が課税されます。
③通常の基本給に比例した形で支給されている場合には、通常勤務との継続性が推定されることから、所得税が課税されます。
交際費・接待費の所得税の課税・非課税範囲の規定
【規定】
①交際費や接待費などとして支給される金額は、原則として、給与として所得税が課税されます。 ’ ②ただし、使用者の業務のために使用したことの業績の明らかなものについては、所得税が課税されません。 |
この規定に従って、役員や従業員に支払われた交際費・接待費を考えますと、以下のような取り扱いになります。
事前支給の交際費・接待費
役員や従業員が、接待等の事業関連目的で使用するために、会社から支給された金額については、以下のように「事後的に精算を行うか否か」により、所得税が課税されるか否かが分かれます。
①事後的に精算が行われない場合(渡切交際費)
事後的に精算が行われない場合には、会社から役員や従業員に「支払われた金額」は、支払を受けた役員・従業員への「報酬」「給与」として扱われ、その金額について、所得税が課税されます。
したがって、この支給金額に対して、会社は源泉徴収を行う必要があります。
②事後的に精算が行われる場合
【会社での処理】
①事後的に精算が行われる場合には、会社から役員や従業員に「支給された金額」は、支給時点で、「仮払金」として計上し、
②精算が行われた時点で、会社の経費である「交際費」等の勘定に振り替えます。
【支給を受けた役員、従業員側での処理】
支給を受けた役員、従業員側では、支給を受けた時点では、「仮受金」と考えることができますので、「支給を受けた金額」は所得税が非課税となります。
渡切交際費の法人税法上のリスク
①会社での経理処理
交際費を事前支給し精算をしない場合、支給金額について、会社では、以下のように処理を行います。
・役員への支給は、「役員報酬」として計上します。 ’ ・従業員への支給は、「給与」として計上します。 |
②役員報酬の損金計上の否認リスク
「従業員への給与」については、会社の法人税計算において、給与として損金処理が可能です。
他方、「役員への役員報酬」については、会社の法人税計算においては、「定期同額」の報酬部分のみが損金として認められ、「それを超える金額」は、損金として計上することは認められません。
このため、「渡切交際費」の金額が、「定期同額の金額」を超える場合、当該金額は、法人税の計算において、損金処理がなされないリスクが生じてきます。
事後的に支給される交際費・接待費
従業員や役員が、接待等の事業関連目的で使用した金額を、その領収書等の会社への提出と引き換えに事後的に精算した場合には、以下の取り扱いになります。
【会社での処理】
従業員から提出された領収書等に基づいて、「交際費」を計上します。
【支給を受けた役員、従業員側での処理】
①役員や従業員が交際費をお店等に支払った時点では、会社の交際費を役員や従業員が「立替払い」したことになります。
②その後、会社に領収書を提出し、その金額を精算した時点では、上記の「立替金」を精算しただけのことになりますので、会社から支給を受けた金額については、所得税が課税されません。