この記事を要約すると・・・・
- 個人事業主が加入する生命保険は損金計上できるか?
- 個人事業主が家族へ払う給与は損金計上できるか?
- 事業所得が赤字になる場合の注意点
- 外国人を雇用する場合の注意点
こんにちは、神戸の税理士の佐藤です。
今回は「個人事業主は生命保険に加入しても節税対策にはならないの?」「個人事業主が家族に給与を払ったらNGなの?」「事業所得が赤字の場合に雑所得って指摘される可能性はあるの?」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、生命保険の正しい節税方法を理解できますし、家族へ給与を払う場合の方法も分かりますし、外国人雇用における注意点も把握できます。
個人事業主です。生命保険、損害保険の扱いは?
- 宝塚で整骨院をしている個人事業主です。生命保険や損害保険の経理の扱いがよくわかりません。どうすればいいでしょうか?
かなり細かいですが損金経理は難しい場合が多いです
★個人事業主が支払った保険料の取扱い
●養老保険1 契約者:個人事業主、被保険者:使用人、受取人:個人事業主(生存時、死亡時) ↓ <処理>資産計上!! ●養老保険2 契約者:個人事業主、被保険者:使用人、受取人:個人事業主(生存時)、遺族(死亡時) ↓ <処理>1/2資産計上、1/2は経費計上。 ●養老保険3 契約者:個人事業主、被保険者:使用人、受取人:使用人(生存時)、使用人遺族(死亡時) ↓ <処理>給与計上 ●定期保険1 契約者:個人事業主、被保険者:使用人、受取人:個人事業主 ↓ <処理>経費計上 ●定期保険2 契約者:個人事業主、被保険者:使用人、受取人:使用人の遺族 ↓ <処理>給与★個人事業主の保険に関する注意点
●事業主の親族を被保険者として支払った保険料は経費算入できません(家事費扱いです)。 そのかわり、生命保険料控除の対象となる生命保険契約であれば控除可能です!。 ●損害保険料事業関連性があれば経費として認められる場合が多いです。 <例> ①事務所や事業所の火災保険料 ②車両等の損害保険料 ③損害賠償請求に備えるリスクヘッジのための損害保険料など
個人事業主です。同居してない家族への給料OK?
- 豊中で美容室をしている個人事業主です。同居してない家族に給料を普通に払ってますが大丈夫でしょうか?
生計が一かどうか、青色か白色か、で変わります!
★生計を一にしている親族への給与支払い
●原則 必要経費になりません! 逆にいうと、もらった親族の方も所得にはなりません! ●例外1:白色事業専従者 ①②の少ない方が経費として認められます。 ①50万円(配偶者の場合は86万円) ②(この控除の前の事業所得額)÷(専従者数+1) ●例外2:青色事業専従者 青色専従者給与として届出を出した額のうち、相当と認められる分は経費OK!★生計を一にしていない親族への給与支払い
金額が労務の対価として相当であれば経費計上OKです!
個人事業主です。事業所得が赤字なんですがヤバイです?
- ラジオ制作会社に勤めながら副業で整骨院の個人事業をしています。最近の個人事業は赤字続きで確定申告で多額の還付があります。これってやばいですか?
雑所得なのか事業所得なのかが大事かもしれません
★事業所得と雑所得の区別
●個人事業主の事業所得の注意点 事業的規模と認められない事業から得られた所得が税務調査でテーマになる ことがあります。つまり、事業所得ではなく雑所得ではないかという指摘が 入るのです。 ●事業所得と雑所得の違い ①事業所得が他の所得(給与所得等)と損益通算できるのに対し、 雑所得は収入から経費を差し引いて終わりです。 (雑所得が赤字だと切捨てられて終わりです) ②事業所得には純損失の繰越控除があります。 青色申告であれば損失額を3年間繰越して控除できます。 雑所得は基本的には繰越ができません(クリック365等を除く) ③事業所得は青色申告を選択できるのに対し雑所得はできなません。★副業で赤字事業をしている場合は要注意!
●勤務医の医師が別途コンサルティング会社を立ち上げたが赤字が続く、 サラリーマンコンサルタントが副業で今サルビジネスを個人開業して赤字の場合 こんなときは要注意です! ↓ サラリーマンとしての給与所得があるので、事業所得であるならば損益通算ができます。 つまり、所得税の還付が大きくなる可能性があるんですね。 ↓ でもこれを雑所得として捉えられると給与所得との通算はできません。 ●給与所得が本表とみなされると事業所得は雑所得と認定されるリスクもあります。 目的が給与所得の所得税の還付にある場合等であれば、事業所得とはいえないでしょう。 今後の事業所得が膨らむ見込みがある等の視点がないと、単なる所得税の還付のための 対策とみなされても仕方がありません。 ここの認定はかなり厳しいので、かなり留意が必要になりますね。
インド人学生を雇用しても普通に源泉すればいいの?
- 大阪でデイサービスを営む中小企業です。業務柄、中国人やインド人の学生アルバイトが多いのですが給料は普通に源泉すればいいのでしょうか?
中国人とインド人では扱いが異なります!
★中国人学生をアルバイトで雇用する場合
●専ら教育を受けるため滞在する学生 ●現に中国の居住者である者又はその滞在の直前に中国の居住者であった者 ●生計、教育のために受け取る給付又は所得 (租税条約により、所得税の免税措置) ↓ 以上の場合は所得税が免税されます。 つまり、生活費や学費に充てる範囲程度のアルバイトであればOKということですね。★インド人学生をアルバイトで雇用する場合
●専ら教育を受けるため滞在する学生 ●現にインドの居住者である者又はその滞在の直前にインドの居住者であった者 ●生計、教育のために受け取る給付 ●日本国外から支払われる場合 (租税条約により、所得税の免税措置) ↓ 以上の場合は所得税が免税されます。 ただ、4つ目の条件は普通は満たすことができませんね。 アルバイト代金を国外から支払うようなケースってほぼゼロではないかと思います。 つまり、インド人学生には源泉徴収が必要です(居住者か非居住者かの判定を行った上で) 神戸や明石の税理士として活動している我々のクライアントでも インド人のスタッフをちらほら見受けるようになってきました。 グローバル化は確実に進んでいますね。