この記事を要約すると・・・・

  • 会社が民事再生になったら社長も終わり?
  • 増資するとどうなる?
  • 粗利益率だけを優先したらどうなる?
  • 税や会計の情報をどうやって入手すべきか

こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「会社が民事再生する手前です!」「増資したくて悩んでます!」「粗利率の高い得意先だけ残そうかなと思ってる」「コロコロかわる税制はどうやって最新情報を抑えればいいんだろう」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば民事再生からの復活が早くなるし、増資するリスクも把握できます。どういう得意先を残すべきかもわかるし、税制改正等の最新情報の掴み方のコツも分かるようになりますよ。

会社が民事再生!社長はどうなる??

  • サクランボの卸売専門会社です。借金が膨らみ会社継続が不可能になってきました。会社が民事再生を行った場合には社長として借金を背負いますか?

個人保証をしているかどうかがポイント!

    

★社長が会社の借入金について個人保証している場合

●中小企業のオーナー社長はほとんどがそうだと思います。  ↓  株式会社は所有と経営の分離が建前なので会社に借金があっても  株主や役員に関係はありません。  しかし、個人保証をしていると、会社が借金を切捨てられても、  保証人たる経営者の保証は残ります。  そうなんです、社長が会社の借金から逃れられないんです。 ●社長個人で保証額を弁済できない場合。方法は3つ程度しかありません。  ↓  ①社長自身も会社版民事再生を申し立てる(個人版だと借金5,000万円未満のみ)  ②社長自身が個人破産する  ③債権者と話し合って解決する  ↓  実務上、自宅は売却になることが多いですね。売却代金を債権者に配当するためです。  とはいえ、その手続には半年~1年ぐらいかかります。  その間、居住することは可能です。また売却先から賃借することもできます。  当然この場合は、会社の役員報酬が原資になります。  (こうなるためには社長の親族が相場より高く買うのが理想です)  

★社長が会社の借入金について個人保証していない場合

●自宅に抵当権をつけていない限り、社長の自宅までとられることはないです(原則)。  ↓  合名会社や無限責任社員制度がある組織ではそうはいきません!

増資をすると後々問題がある?

  • 鳥肉加工業者です。先日取引先から増資の話をいただきました。手続は簡単にできるのでしょうか?

税金上は変化が生じるので要注意です!

    

★借入ではなく出資を行うケース

●中小企業が増資することは何も稀なことではありません。  ↓  社長の知り合いから個人的に出資してもらう場合もあるでしょう。  ↓  例えば1,000万円という同じお金を預かっても、それが借入金であれば  返済する義務があります。でもこれが出資であれば返済義務はないですね。  ↓  しかも、資本金は負債ではないので貸借対照表上の見栄えも悪くありません。  財務基盤強化にはもってこいなんですね。

★増資すると税金は増えるのか?

●消費税、法人税、所得税  ↓  何の変化もありませんね。 ●登記手続  ↓  法務局への登記手続が必要です。  登録免許税が必要です。金額は増加資本金額×0.7%(最低3万円)です。   ●住民税均等割  ↓  会社の規模(つまり資本金)によって差が生じます。  大抵の都道府県は1,000万円が最初の分かれ目ですね。 ●法人事業税の外形標準課税  ↓  資本金が1億円を超えると「外形標準課税」の話が出てきます。  ↓  資本金1億円以上の法人は管轄が国税局になるので、税務調査はより厳格になります。

粗利率の高い得意先を重視すべきか??

  • 赤穂市・相生市に本社がある味噌屋です。来年度の営業方針を定める上で粗利率の高い会社を重視しようと考えていますが他にポイントはあるでしょうか?

そんなことはありません!!

    

★数字から見る営業方針

●粗利率から判断するのはダメです!!  例えば得意先A社とB社があって、A社の粗利率が10%でB社が50%  の場合、B社に営業の資源を費やすのがいいかというとそうでも  ありません。  ↓  単純に粗利率だけで判断しにくいからです。  ↓  いつ入金があるかという点についても合わせて考えなければなりません!  例えば、介護事業。私たちは介護事業のお客さんが多い税理士事務所ですが  保険収入が入ってくるのは2か月後なんですよね。 ●売上債権回転数  売上高÷売掛債権で求められる数値です。  単純に言うと、売上高が売掛債権の何倍になってるかですね。  この倍数が大きいほど、実際の入金額が大きい取引先になります。  つまり、優良な売上先ということですね。 ●両者を掛け合わせることが大事です。  得意先毎の「粗利率×売掛債権回転数」の指標は、  専門的には、売上債権粗利益率といいます。  この数値の最も高い会社をより重点的に営業施策を行うべきなんです!!  

★資金繰りをしっかり考える!!

●粗利率が高いからといって大事にしている得意先はありませんか??  こういう会社で入金スパンが非常に長い会社はかなりリスキーです。  売上が伸びて利益は出てるけど、お金がない、税金も払えない、  こんな状況になりかねないのです。  ↓  損益だけを考えると黒字倒産のリスクだって出てきます。  ↓  もちろん、粗利率の高い会社も大事は大事です。  でも実際にお金をどうやって回収できるかをしっかり考える必要もあるんです。 ●大事なこと  ①粗利益率を高める努力  ②売上債権の回転数を上げる努力  ③売上債権粗利益率の高い得意先への営業強化  ↓  実際の営業活動では③が最も重要なポイントになることを忘れずに!!

税や会計の情報はどうやって入手すべきか?

  • 芦屋市で不動産賃貸業を営んでいます。税金や会計の情報はコロコロ変わってる感じなのですが、そんな情報を的確に入手できる方法って何かありますか?

ネットでもいっぱい公開されています!

    

★国税庁ホームページから情報をゲット!

実務家がよく利用する信頼性と利便性の高いサイトといえば国税庁ですね。 ●国税庁ホームページ:タックスアンサー ●通達等 最新情報

★財務省ホームページから情報をゲット!

当然ですが、信頼性が最も高い情報になりますね。ちょっとわかりにくいですが。 ●財務省ホームページ:税制をめぐる最近の動き ●財務省ホームページ:税制改正の内容 ●財務省ホームページ:関税・税関について ●財務省ホームページ:税制メールマガジン

★その他、民間発行の税や会計の情報

わかりやすさという意味では公的機関よりは数段上ですね。 ●日替わり税ニュース ●税関連の判例速報