この記事を要約すると・・・・

  • 領収書や請求書を紛失したらどれぐらいやばいか
  • 少人数私募債って知ってますか?
  • 退職金と相続税の関係について

こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「領収書をなくしてしまった!」「少人数私募債にちょっと興味がある」「退職金を増やしすぎたら相続税が怖い」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば領収書をなくしても税務署と戦えますし退職金と相続税の関係もすっきり分かりますよ。

領収書や請求書って絶対に必要?

  • ロープウェイ運営を受託する会社を経営しています。領収書や請求書を残すように税理士に言われてるんですが紛失とかしたらどうするのですか?

強力な外部証憑であることは間違いなし!

    

★領収書や請求書を漠然と保管している会社様へ

●会社で保管されている領収書や請求書ですが、形式的にどんな証憑が必要か  ということはあまり重要ではありません。それよりも、「取引の事実」を実質的に  証明できるか否かが重要になります。  ↓  決算書の正確性の証明のために上記証憑の保存は必要です。  ↓  ちなみに領収書の記載事項については法律で明記はしていませんが、  ①作成者、②日付、③取引内容、④金額、⑤相手先は最低限必要ですね。  また相手先欄に「上様」というような領収書を見かけますがこれはNGです。 また㈱や㈲というような省略もやめましょう!! 金額の書き方も大事です。金額の最後に「也」と入れるのも大事ですし、 最初に「¥」や「金」を入れましょう。 また但書の書き方も注意が必要です。「お品代」等という抽象的表現は極力 避けたほうがいいと思います。 ↓ 印紙を貼らなければいけない場合はきっちり張りましょう。 割り印も忘れずに!!!

★領収書や請求書の保存方法

●法律で定められているわけではありません。  ↓  台紙に貼り付けるケースもあれば、月別に袋に入れているだけのケースもあります  し、科目別に袋に入れるような場合もあります。  ↓  きっちりすればするほど、税務調査での心証はよくなりますが、その手間は  はっきり言って無駄な時間でもあります。またきっちりやっていない方が  調査に時間はかかったりもして有効な場合もあります。  ↓  ちなみに、保存期間は7年(税法上)です。  会社法上は10年です。

★レシートは領収書としての機能はあるか?

●証拠書類になります(形式は重要ではありません)  ↓  レシートであっても、体裁のよい領収書であっても、実態として、  取引の事実が証明できるかが大事ですね。  相手先、内容、日付、金額等は必ず明確にしておきましょう!  レシートでこのあたりが書いていないのであれば、後で書き込みましょう!

★領収書や請求書が貰えない経費はどうする??

●公共交通機関で切符等を買った場合には領収書がないのが商慣習上仕方ないですね。  こういう場合は領収書等がなくてもOKです。  社外証憑がなかったとしても、社内管理簿的なものはあったほうがいいでしょう。  ↓  また領収書や請求書がなくても、銀行取引であれば通帳に記録が残るので  代替が可能です(通帳に相手先等が残るような工夫はすべきですが・・・)    

★領収書や請求書を紛失した場合

●基本は経費計上が難しいですね。  ただ、ほかで代替証明できるのであれば可能になると思われます。 また再発行ができるのであれば請求してみましょう。 ↓ 社内証憑を残したとしても、税務調査では否認される可能性は結構高いです。  弊社の顧問先で介護関係の事業の会社が税務調査を受けたときは、調査官はスルーしてくれましたが・・・

少人数私募債をご存知ですか??

  • 急須や茶碗の卸売を行う会社です。近々資金調達のために社債を発行したいと思っていますが手続は難しいのでしょうか??

社債を利用する中小企業が増えてます!

    

★少人数私募債をご存知ですか??

●社債=株式会社が発行する債券。  ↓  中小企業でも発行可能で、資金調達を容易にする手法の一つです。  ↓  50名以上の投資家を集めてる場合には、決算書公開や役所への届出等の  手続が必要になりますが、50名未満の場合(少人数私募債)であれば  簡易の手続で利用可能です。

★社長が会社に資金を貸し付ける場合と社債を引き受ける場合

●社長から会社への貸付金は中小企業ではよくある話。  ↓  この場合には支払利息という形で社長に利息を払う場合があります。  (勿論、利息を払わない会社も多々ありますが・・・・)  ↓  この利息は社長の雑所得として扱われます。  雑所得になると給与所得等と合算して総合課税されますね。 ●社債利息を会社が払う場合には、社債利息は20%の源泉分離課税になります。  ↓  源泉分離課税=他の所得とは合算されません!  つまり、20%の課税されて、それだけで完了です!  (銀行の預金利息と全く同じですよね)  ↓  勿論、社債利息を利率を膨らませれば、節税効果に寄与するということで  社会一般の利率を大きく超える場合は税務調査での否認リスクが高まります。  金融機関等からの借入利率と比べて突出しないように配慮すべきです。   ●増資して社長がキャッシュを投入した場合  ↓  儲かった分は配当での支払いになりますね。  でも配当は会社の損金になりません。利息という形式で支払うと会社の損金に  なりますので、税金の扱いが異なることには要注意ですね。

死亡退職金は相続とどう関係があるの?

  • 塵取りと箒の製造メーカーを経営しています。私の死亡退職金はそれなりの額になりそうなのですが、これは相続財産に含まれてしまうのでしょうか?

受給権者をどう定めるかによって異なります!

    

★死亡退職金と相続

●死亡退職金が相続財産に含まれるかどうか。  ↓  受給権者の定め方によって取り扱いが異なります。 ●被相続人が受給権者である場合。  ↓  死亡退職金は被相続人の財産になる。  ↓  相続財産に含まれます。  ↓  死亡退職金を返納しない限り、単純承認をしたと判断される可能性あり! ●死亡退職金の受給権者が被相続人ではなく「遺族」とある場合。  ↓  死亡者の相続財産or受給権者たる遺族固有の権利の二つの考え方があります。  ↓  死亡退職金が遺族の生活保障的に考えられるのであれば受給権者固有の権利と捉えるべき。 ●死亡退職金の受給権者が、被相続人ではなく民法の相続人とも範囲・順位が異なる場合。  ↓  相続財産にはならず、受給権者固有の権利と考えます。  ↓  相続放棄をしても受給者は死亡退職金を取得します。 ●ちなみに、受取人が誰であってたとしても、死後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、  みなし相続財産として扱われ、相続税の課税対象になります。