「2023年も終わっていよいよ2024年になる。介護報酬制度が変わるらしいけど、何が変わるのだろうか。」

「2024年の介護現場はどのようになっているのだろうか。」

2023年も終わり、いよいよ2024年になります。2024年には介護報酬制度が改定されます。介護報酬制度は、3年毎に実施される介護保険サービスを提供する事業者への報酬の改定を行います。報酬体系の他にもサービス内容の見直しも行います。

2024年は介護報酬、診療報酬、障害福祉サービス等報酬の3つが同時に改定されるトリプル改定の年にあたります。また、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を目前に注目されています。

2024年の介護報酬制度の見直しによって、私たちの生活に何らかの形で影響を与えるでしょう。今回の記事では、2024年の介護報酬制度の見直しによる注目点について紹介していきます。

この記事を書いている私は、これまでに数多くの介護に関するインタビューを行い、記事を作成しました。今回は私の経験を踏まえて2024年の介護報酬制度の注目点について紹介します。

ぜひ、最後まで読んでいただき、2024年の介護報酬制度の動向を追っていけるようにしましょう。

2024年介護報酬改定とは

介護報酬改定は通常3年ごとに実施される介護保険サービスを提供する事業者への報酬改定のことです。サービスの質向上や適切な運営を促進するため、また社会や経済の変化に対応し、介護保険制度を持続可能なものにするために、報酬体系の他にサービス内容の見直しも行っています。

今回の介護報酬改定の主な注目点は以下の通りです。

・処遇改善の一本化

・介護助手人材の活用

・介護ロボット・ICT等テクノロジーの活用

・化学的介護の推進

・介護保険料の自己負担2割の対象拡大

・財務諸表の公表義務化

・居宅介護支援事業所による予防ケアプラン直接契約が可能

・福祉用具貸与のケアプラン費の見直し

・介護事業経営の協働化・大規模化

また、今回の介護報酬改定では医療と介護の両方を改定されます。また、2025年には後期後期高齢者に団塊世代が含まれるようになり、生産年齢人口に与えるインパクトが大きいことから注目度が高くなっています。

介護報酬改定に伴う補助金給付

2023年の春闘における全業界の賃上げ率に対し、介護業界の賃上げが低水準だったことを踏まえた上での施策でした。次回の報酬改定でプラス改定となることを見据えて、それまでの繋ぎとして2024年2月から5月までの間、介護職員の収入の2%程度(月額6,000円相当)の補助金を支給されます。

2022年2月にも収入の3%(月額平均9,000円相当)の補助金が給付されていましたが、今回も同じような考え方で支給されます。ただし、2022年2月は支給方法が煩雑であったことから、事務作業の負担が大きかったとの声が多くありました。今回の支給では前回の反省を踏まえて手続き方法を簡素化していきます。

また、介護業界自体では介護職員の賃金は増えている傾向にありますが、それでも他の産業と比較して少ないと論じられている傾向にあります。介護業界で働く介護職員全体の報酬を上げていく必要はまだまだあります。

介護報酬改定に伴う処遇改善加算の一本化

現行の制度では「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3つの処遇改善加算があります。それぞれの算定要件や対象職種などが違うことから、事務作業に煩雑さや職種間の差が生じていました。それらを一つにまとめるのが今回の改訂案です。

今回の処遇改善加算の一本化の改定を行うことで、作業効率を上げるのと同時に、介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員へ重点的に配分するようになります。これは各事業所内での柔軟な配分を認めることで、職種間の不公平感をなくすことにも繋がります。

ただし、直接介護を行わないケアマネジャーや管理者、事務員などは対象外となるため、事業所全体で処遇改善加算の一本化の恩恵は受けられないところもあります。

2024年度は医療・介護ダブル改定

診療報酬は2年1回、介護報酬は3年に1回改定されます。そのため、6年1回の頻度で医療・介護共に改正が行われます。2024年は医療・介護ともに改定される、いわゆるダブル改定と言われる年になります。

このダブル改定は、医療・介護の連携体制をより強固な制度へ変える大きな機会として捉える声も多く、過去にダブル改定をした際に大きく改定をしたこともあります。

今回特に注目されているのは2025年問題です。2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることが生じる問題のことを2025年問題と言います。

2025年度問題

先にも触れましたが、2025年問題とは2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることが生じる問題のことです。

この団塊世代の人々が後期高齢者になることで、社会保障費の負担増し、要介護者増加、人材不足、医療体制の逼迫が挙げられます。特に人材不足に伴う社会保障費の増大はこれまでも論点に挙げられることが多く、いよいよ本格的になってきます。

人手不足に関して、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和元年度介護労働実態調査」によると、事業所単位で65.3%が人手不足を実感しています。また、2025年に限らずにこれからますます人手不足が深刻化していき、2025年はまさに始まりと言っても過言ではないありません。介護事業所も然り、この人材不足は避けることができない深刻な問題となるでしょう。

介護報酬改定の注目ポイントの2割自己負担対象者の拡大

2024年の介護報酬改定での注目ポイントとして、2割自己負担対象者の拡大があります。これは基本的な介護負担割合を1割から2割へ増やすことが検討されていることです。

介護保険を負担している現役世代の負担軽減と今後の少子高齢化が続く予測の中でも制度を持続させることを目的としています。これまでも負担を2割にするという案はありましたが、経済的な理由で在宅サービスの利用減少や、施設利用費が払えなくなるということも懸念されてきました。

そのようなことから、自己負担割合についての方針は2022年12月に決定する予定でしたが、この判断を2023年末までに先送りとなっており、現在に至っています。今回の2024年の介護報酬改定では、この自己負担割合について本格的に変更が起こってもおかしくはないのです。

まとめ

今回の記事では2024年の介護報酬制度の改定について記事にしました。今回の記事のポイントは以下の通りです。

・介護報酬改定は通常3年ごとに実施される介護保険サービスを提供する事業者への報酬改定を行う。

・2024年は介護報酬と医療報酬の両方が改定されるとして、これまでの制度から大きく変わる可能性がある。

・2025年問題とは2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることが生じる問題のことで、これから介護事業所でも人材が足りなくなる場面が増える。

介護報酬制度の改定と医療報酬制度の改定の両方を控えている2024年。これまでの改定とは異なる抜本的な見直しや大胆な改定が行われる可能性が非常に高く、注目度が高いと言えるでしょう。

これまであまり身近に感じることがなかったことも、今後はより身の回りでも変化が突然起きてもおかしくはないでしょう。2024年度の介護報酬と医療報酬は引き続き注目していきましょう。

今回の記事で2024年度の介護報酬制度の改定について理解を深めていただき、介護の職場でこれから起こる変化について注目をしていただけると嬉しいです。