「介護事業所の倒産が増えている話をよく聞くなぁ。」
「介護事業所が倒産ってどのくらい増えているのだろうか。これからの介護は大丈夫かな。」
昨今の原材料の高騰や物価高の影響を受けて、倒産する企業が増えています。介護業界も例外ではなく、昨今の物価高の影響と人手不足によって倒産が相次いで増えている状況になっています。
介護業界に関わる人々も、こうした状況を見てご自身の勤め先や経営している介護事業所への不安も絶えないことでしょう。そこで、今回の記事では介護事業所の倒産の傾向と、介護事業所が倒産した時の対処方法について解説していきます。
この記事を書いている私は、これまで数多くの介護に関わる社会問題に対してインタビューをおこなってきており、調査に基づいた記事を数多く手掛けてきています。この記事を読むことで、介護事業所の倒産のトレンドがわかり、万が一介護事業所が倒産してしまった時の対処方法についても解説していきます。
ぜひ、最後まで記事を読んでいただき、今後の介護業界について理解を深めていただけますと嬉しいです。
介護事業所の倒産件数が増えている!?
日本の介護事業所のほとんどは中小規模の事業所です。日本の高齢化が進むにつれて様々な介護サービスが増えている一方、各事業所で競争の激化による人材不足に陥っています。
また、人材不足が起因した管理職がなかなか育たないことからも、事業の後継者に悩む介護事業所が増えています。この後継者不足がきっかけとした介護事業所の廃業が増加している実態があります。
人材不足は介護業界だけにとどまらず、それぞれの産業で抱えている問題です。特に介護業界はこうした人材不足が原因となって、倒産してしまう事業所も多くあります。
2022年は介護事業所の倒産が過去最多
東京商工リサーチの調べによると、2022年は老人福祉・介護事業で倒産した事業所数は増加傾向にあり、倒産件数は過去最多の143件となりました。これまでも介護業界をめぐる経営は決して好調だったとはいえない状況でしたが、2022年においては倒産件数が増えて厳しい経営環境だったといえます。
2022年の介護業界の主な倒産原因は新型コロナウィルスの蔓延によるものが大半を占めています。特に新型コロナウィルス蔓延による売上の減少や感染対策関連等の経費増加が挙げられています。
他にも人件費の上昇や物価高による経費の増加が挙げられていますが、主な原因となるものは、新型コロナウィルスの蔓延によるものが多くを占めています。
2023年は介護事業所の倒産は増えるのか
2023年も介護事業所の倒産件数は高い傾向が見込まれています。マスク着用が個人判断になり、コロナウィルス対策は緩和されていく傾向にあり、利用者は戻ってくる流れはあります。しかし、物価高が追い討ちをかけており、市況としては楽観視できる状況ではありません。
2022年の休廃業・解散件数は495件と過去最高を記録しています。休廃業・解散が多い年の後は、倒産が増える傾向にあります。休廃業・解散でその後回復する場合もありますが、多くの場合は倒産することがほとんどです。
休廃業・解散をした介護事業所がどのタイミングで倒産するのかはわからないです。2022年の傾向から見ると、2023年も高い倒産件数になるのではないかと見込まれています。
介護事業所を廃業するまでの流れ
介護事業所が廃業するまでにいくつかの手順を踏む必要があります。ここからは介護事業所を廃業するまでの流れについて紹介します。
- 所轄官庁へ相談
廃業を考えた時は、まず所轄官庁へ相談します。所轄官庁で廃業までの流れや提出書類について説明を受けます。廃業する日程を確定させて、所轄官庁へ廃業に関する届けを提出します。
- 関係機関への報告
廃業を行う上で、介護事業所の関係機関への報告が必要になります。所轄官庁への届出に記載する利用者の調整は、近隣の介護事業所へ受け入れの協力を申し出ることになります。また、取引がある業者などの関係機関には、取引をいつまで継続するのかや支払いについて説明する必要があります。
- 利用者への案内
利用者やその家族へ廃業することを伝えます。介護事業所の廃止手続きは、利用者が引き続き同様のサービスを受けられるように、近隣の介護事業所と連携して、利用調整を行うことが必要です。
- 所轄官庁への書類提出
廃業日までの1ヶ月前までに「廃止・休止の届出書」を提出する必要があります。 その際に、利用者の調整をする時に作成した「移行先リスト」を一緒に提出します。
- 従業員への対応
廃止日が決まったら従業員へ報告をします。他に事業をやっていない場合には、事業所の廃止に合わせて従業員が転職活動を行う必要があります。廃止するまでの期間について従業員に説明する必要があります。
- 事業所閉鎖
廃業の手続きを進め、事業所の廃止が完了した後に、国保連への請求、従業員、取引先への支払いなどの業務が続きます。そして不動産、備品などの処分へ進みます。介護事業所は、廃止した場合でも関係する書類などの保管に期限が定められているので注意しましょう。
介護職についている人は転職活動を早めにしましょう
介護職として働いている人は早めに転職活動をすると良いでしょう。これまで以上に介護事業所の倒産件数が増えているので、いつご自身が勤めている勤務先が倒産するかはわかりません。
ご自身のキャリアだと、どの程度の企業に転職できるのかを、常にチェックしておくと良いでしょう。ご自身の市場価値がどの程度なのかを知っておくことで、失敗の少ない転職ができることでしょう。
いますぐに転職をする必要はありませんが、ご自身の市場価値を知ることは大切です。また、ご自身の価値を知ることで、より良い条件の企業に行って、ご自身の生活をより豊かにすることができます。ぜひ、ご自身の市場価値を知るために転職活動をしてみてください。
まとめ
今回の記事では、介護事業所の倒産件数の増加と実際に介護事業所が倒産した場合どのように対処すれば良いかについて解説しました。今回の記事のポイントは以下の通りです。
・2022年は老人福祉・介護事業で倒産した事業所数は増加傾向にあり、倒産件数は過去最多の143件。
・2022年の休廃業・解散件数は495件と過去最高を記録しており、2023年はこうした潜在層が出てきてさらに倒産する件数が増える可能性がある。
・ご自身の勤務されている介護事業所が倒産する可能性は今後十分にあるので、予め転職活動を行い、ご自身の市場価値を確かめるとよい。
いかがだったでしょうか。
もともと、人材不足で経営が厳しいと言われていた介護業界ですが、コロナウィルスと物価高により、さらに経営が厳しくなってきています。休廃業や解散件数だけでも495件と非常に件数が多いため、2023年も倒産件数は増加傾向にあるといえます。今後も楽観的にはいられない介護業界です。
ご自身の身を守るのはご自身でしかないので、常にご自身の市場価値を見つめて、キャリアを作っていくようにしましょう。また、必要に応じて転職を実際に行い、ご自身の生活の豊かさを追い求めていくと良いでしょう。
この記事が少しでも参考になり、介護業界に勤めている方やこれから介護業界を目指す方など全ての人たちに介護業界について考えるきっかけになれると嬉しいです。