この記事を要約すると・・・・
- サラリーマンと個人事業主の年金比較
- 外貨建取引のTTMレートとは
- 相続税改正
こんにちは、学習塾向け税理士の佐藤です。
今回は「サラリーマンの方が個人事業主より多く年金を受給できるのか」「外貨建取引のレートが理解できない」「相続税の概要を知りたい」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、個人事業主でも多くの年金を受給できる方法がありますし、外貨建取引をシンプルに考えることもできるはずです。
年金だけ考えるとサラリーマンはお得?
- ブルーベリーの加工をしている個人事業主です。老後が心配で色々調べてるとどうもサラリーマンの方が優遇されてる気がしていますがどうでしょうか?
一概にそうとも言えません。利用可能制度が異なります
★個人事業主や中小企業経営者の公的年金
●よく言われることに、サラリーマンの方が老後の安定があるということ。 確かに、個人事業主が加入する国民年金や厚生年金だけでは老後に必要な生活費 としては不十分です。 ●そこで、個人事業主や中小企業経営者のための公的制度があります。 これをうまく利用すれば、老後の安定も可能になります! 以前、学習塾を経営している税理士事務所クライアントの経営者が 年金受給額を基準にして法人成りを検討されていましたが、一つの思考基準になるかもしれませんね。★公的年金を補完する「公的制度」
◆公的年金を補完する公的制度として4つ存在します。 (サラリーマンの場合ですと民間の生命保険程度しかありません) ↓ この4つの特徴は二つあります(税金面の優遇)。 ●支払う掛金がすべて所得控除できる ●受給時には公的年金控除が適用できす。 ↓ 民間の生命保険だとそうもいきません。 支払った保険料の全額控除はないですし、受給する年金も 公的年金控除が適用されないのです。 ①国民年金の付加年金 個人事業主のみ加入できます。 下の国民年金基金との選択になります(つまりどっちか一つです)。 ②国民年金基金 個人事業主のみ加入できます。 上の国民年金付加年金との選択になります(つまりどっちか一つ)。 ③小規模企業共済 個人事業主のみならず中小企業経営者も加入できます。 他との併用も可能です。 ④確定拠出年金 個人事業主のみならず、中小企業経営者も利用できます。 サラリーマンもOKです。
アメリカにドルで売上!どう処理?
- 湿布を販売しているメーカーです。先般アメリカとペルーにドル建てで販売しました。この場合どうやって処理すればいいのでしょうか?
外貨建取引として処理します
★外貨建取引の原則
●外貨建の取引の売上や仕入の円換算は、為替予約がある場合を除き、 原則として売上や仕入として計上する日の電信売買相場の仲値(TTM)によります。 ↓ つまり、売上計上や仕入計上の会計処理は、売上日や仕入日のTTMで円換算します。 売掛入金や買掛支払の場合には入金・支出日のTTMを使って円換算しますよね。 ↓ ここで売掛金や買掛金の消し込みに差額が生じます。 この差額は為替差損益として処理します。★外貨建取引と消費税
●外貨建取引に伴う消費税の扱い(原則) 資産の譲渡等を行った日又は課税仕入れを行った日の電信売買相場の仲値(TTM)で 円換算した額をそのまま売上金額(仕入金額)とします。 ↓ つまり決済時との差額は発生しません=為替差損益が発生しないんですね。★電信売買相場の仲値(TTM)とは何なんだ!?
●TTMはTTBとTTSの合計額を2で除して求めます。 TTM、TTSはメインバンクのホームページからダウンロードできますね。 たとえば、三菱東京UFJ銀行の為替レートは簡単にダウンロードできます。
平成22年3月31日から相続税が増える?
- 眉毛エステ経営の個人事業主です。親の財産の相続をそろそろ考えてます。平静22年3月31日から相続で受け取る年金があればかなり損すると聞いたのですが本当?
相続した年金があれば確実に損になります
★節税対策に使えていた相続税法第24条
●相続税法第24条 生命保険や個人年金に基づき、相続人が定期金(年金)を受取る場合、 相続人は相続により年金を受ける権利を取得することになります。 この年金を受ける権利=受給権の相続税評価を24条が示しています。 ●確定年金の評価額 残存期間が5年以下→70% 残存期間が5年超~10年以下→60% 残存期間が10年超~15年以下→50% 残存期間が15年超~25年以下→40% 残存期間が25年超~35年以下→30% 残存期間が35年超→20% ●終身年金の評価額 1年間の受取額×評価割合 ↓ 評価割合は年齢によって分かれます。 □25歳以下→11倍 □25歳超40歳以下→8倍 □40歳超50歳以下→6倍 □55歳超60歳以下→4倍 □60歳超70歳以下→2倍 □70歳超→1倍 ●この制度の問題点 ①古い制度で実態に合っていない。 ②現行税制では、年金から一時金への変更や解約ができる場合でも、 年金受給権として相続税法第24条により評価します。 しかし、現実は「一時金で支給を受けられる額」は、24条の「年金受給権の評価額」 を大幅に上回っています。この差が大きいことは問題です!★制度が変わると節税対策には使えない!
●財務省のホームページの記載 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、 現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること を踏まえ、見直しを行います。 ●給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、以下の3つの多い額。 ①解約返戻金相当額 ②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合、その一時金相当額。 ③予定利率等を基に算出した金額 ↓ □平成22年4月1日~平成23年3月31日に相続or贈与により取得する 定期金に関する権利(この期間内に締結した契約に係るものに限る)から新制度適用! 及び □平成23年4月1日以後の相続or贈与で取得する定期金に関する権利から新制度適用! ●給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は解約返戻金相当額。 ↓ 平成22年4月1日以後の相続or贈与により取得する定期金に関する権利から新制度適用!★つまり、平成22年3月31日までなら節税できる!
●新制度になると、節税の観点からは確実に損になります。 だから、生命保険各社は平成22年3月31日までに契約を強く推奨しています。 あとは平成23年3月31日までに贈与を行えば旧制度適用になり、かなりの 節税効果が期待できます! ●詳しく知りたい方は弊事務所までご連絡頂いてもOKです。 平成22年3月31日までなのでお早めに!もし実際に動くことを考えると 平成22年2月中に決着する必要が出てくるので更に要注意です!