この記事を要約すると・・・・

  • 起業時に日本政策金融公庫から融資を受けられるか?
  • 経費削減の方法を間違えないようにしましょう。
  • 売掛金の回収方法は色々ある?

こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「商売を始めたタイミングでお金を借りたい!」「経費削減をしたいがどこからどうやって切り込んでいけばいいのだろうか」「売掛金の回収が滞っている得意先があるがどうすればいいだろうか」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば、日本政策金融公庫からの融資も受けやすくなりますし、正しい経費削減方法も身につきますし、売掛金の正しい回収方法も分かります。

起業してすぐに融資を受けられる?

  • 痴呆症やアルツハイマーの老人ケアの会社を設立しました。設立後すぐに融資を受けることはなかなか難しいのでしょうか?

パターンは二つあります!

    

★創業時の融資申し込み(資金調達)

●自己資金or縁故による資金調達以外では、以下の2つの方法があります。  ↓  ①日本政策金融公庫の融資制度  ②地方自治体による融資制度

★日本政策金融公庫の融資

●日本政策金融公庫の中でも特に有名なのが、「新創業融資制度」です。  ↓  無担保・低利率で、1000万円内の融資が可能です!  (借入金の1/3の自己資金があることが条件!) ●申請前に準備(用意)すべき事項  ①創業動機が明確かどうか  ②創業する事業の経験や知識の有無  ③事業の継続可能性  ④家族の理解  ⑤創業の場所  ⑥従業員の確保  ⑦セールスポイント・特徴・独自性  ⑧損益(収支)予測  ⑨自己資金  ⑩事業計画書の作成 ●日本政策金融公庫が行っている創業支援融資一覧が  公庫のオフィシャルホームページに掲載されています。 都度変更されていますので一度ご確認頂ければと思います。

★地方自治体の融資

●地方自治体の融資とはいえ、フローとしては、  都道府県の信用保証協会が信用保証を行い、一般の金融機関から借入を行うもの。  あくまで窓口は金融機関になるんですね。  ↓  まずは金融機関に出向くことから始まるのが地方自治体の融資制度です。  

★融資申請の際のポイント

●融資申請の発想について  「いくら借りることができるか?」と金融機関に聞いても明確な回答はないです。  ↓  審査に必要な要件は満たしていて、だからこそ●●円が必要なんだ。  だから、●●円を貸してほしい。審査してくれ。  ↓  金融機関は融資額をすぐに回答できるシステムにはありません。  会社の内容を精査して初めて融資可能額が決まりますので、この流れがベストです。  私どもの税理士事務所が多く携わっている介護事業者さんは保険収入の入金が  2か月後になるので資金繰りで悩みます。そういうときの借入金は役立ちますよね。

経費削減はどうやって行うの?

  • 海上保安庁に部品を納入している会社です。最近売上が急減し会社全体の経費削減を行う予定です。この場合、どこから手をつけるべきでしょうか?

経費削減の順序を間違えないようにしましょう!

    

★経費削減の手法

●売上金額が落ちた、利益率が下がったといった場合には、どうしても  経費削減を行う経営者の思考が働きます。これは一概に間違っている  とはいえません。むしろ当然のことだと思います。  でも、経費削減には方法があります。やり方を間違えると将来復活の道  を自ら閉ざしてしまうことになります。 ●まずやるべきこと<1>=会社を管理するための費用の削減  ↓  売上に直接的に結びつかないコスト、管理部門のコスト削減から始めます。  この中には税理士コストも含まれます。税理士コストは税理士によって本当に  違います。びっくりするぐらい違います。  ですので、まずは年間の税理士コストを考えてみて下さい。  減らない経費はありませんのでまずは調べることから始めましょう。   ●次にやるべきこと<2>=将来の売上に貢献する経費  ↓  将来の売上には貢献するだろうけれど、実際にキャッシュを生み出すまでに  時間がかかるものをピックアップしてください。  数年先の売上貢献を考えている余裕がなくなってきている場合ですね。  すぐに効果を生みそうにないような広告宣伝費が一例です。   ●最後にやるべきこと<3>=すぐに売上に貢献する経費  ↓  ここに手をつけるのは本当に最後です。売上を伸ばすにはこの部分を増やしていく  必要があります。しかし、その余裕がない場合にはまず現状維持を目指します。  そして、それも難しいと判断した場合のみ削減を検討します。    

★経費削減でしてはいけないこと

●それは人件費の一律カットです。  ↓  これは非常に危険です。会社は人で成り立っているのですから、単純に  売上が半分になったので人件費も一律3割カット!なんてことを短絡的に  行うのはかなりのリスクが伴います。  ↓  これをやると、優秀な人材は退職します。残った従業員の士気も下がります。  ↓  一律いくらという形式での人件費カットはやめるべきでしょう。  これをやるならば上述したように、管理部門の人件費をまず検討します。  アウトソーシングした方が低価格になる場合(質が落ちるとは限りません)、  積極的に投入するのも一手です。  一律で行うのではなく、あくまで局部手術を行うべきなのです。

売掛金回収ができない場合の対処方法は?

  • インターネットで昆布や海苔を販売しています。お金を払わない人が常にいる状態です。どうにかならないでしょうか?

最後は裁判に持ち込みましょう!

    

★売掛債権には時効があります!

●売掛金の回収はずっと昔から商売の大きなポイントですね。  特に最近はインターネットが普及し、顔も合わさない不特定多数の相手に  売掛金を計上するケースが増えてきています。  これはつまり、売掛金の未回収リスクが高まることを指します。 ●相手先に請求書を出しても支払ってもらないケース。  ↓  売掛債権の消滅時効は2年です。  ↓  最後に請求書を出してから2年ほったらかしにしておくとそれはもう債権  ではなくなってるんですね。  ↓  そのための手法として、まずは相手方に債務の承認をしてもらうことです。  (資金繰りが苦しく支払をちょっとだけ待ってほしいって言われたような場合)  債務の承認は必ず書面で行いましょう!  債務の内容や金額を書面で残しておくと、時効を中断させるための証拠になります。  ↓  債務の承認をしてもらうと、そこからまた時効期間がスタートします。  つまり、この承認後、2年経てば債権は消滅するということです。

★相手先に無視されるケースも多いですね

●特にネットビジネス事業者から聞く話ですが、いくら請求しても相手先が無視する  ケースも多々あります。  ↓  請求書を出してるだけでもダメですし、内容証明郵便でもダメです。  あくまで請求書を送ったという証拠になっても、請求書を送っただけでは  時効を止めることはできないのですから。  無視される場合には、相手方が債務の承認をすることもないでしょう。  ↓  この場合は裁判に持ち込むしかありません。  時効が消滅する前に督促をかけ(内容証明郵便で)ておけば、  その督促時点から6ヶ月以内に裁判を起こせば時効が中断できます。  ダメと思ったら泣き寝入りするか、裁判しかありません。  上述のように、裁判は期限がありますので、早めの対策をお勧めします。