この記事を要約すると・・・・
- 個人年金保険は分割で貰う方がお得?
- 融資の条件として定期預金を依頼された!
- 使用人兼務役員は雇用保険や労災保険に加入できるか?
こんにちは、介護・美容室を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「個人年金保険の受取り方で悩んでいる!」「借入をお願いしたら逆に定期預金もお願いされた!」「我が社の使用人兼務役員は雇用保険に入れるのか?」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば融資を受けるトリックから解放されますし、お得な税制で年金を受け取れますし、使用人兼務役員の待遇アップにも繋がりますよ!
個人年金保険と一時金、どっちが得?
- エアコンや窓ガラスの修理会社に勤めています。退職を機に、個人年金保険か生命保険への加入を検討していますが、どっちが得ですか?
ケースバイケースです!
★個人年金を受け取った場合の税金関係
●個人年金を受け取る人 その年の年金額-必要経費=雑所得として所得税対象 (他の所得と合わせて総合課税されます) ↓ 但し、給与所得と個人年金だけのサラリーマンの場合、 個人年金所得が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。 ●必要経費とは・・・? 必要経費=年金受取額×(支払保険料総額÷年金支給総額見込額) ↓ 毎年60万円の年金が10年間入ってくる場合。 (払込期間30年で毎年10万円の保険料を払っているとしましょう) ↓ この場合の必要経費は 60万円×(300万円÷600万円)=30万円です。★年金で受け取るか、一時金で受け取るか
●一括で受け取る場合=一時所得。 ↓ 一括受取金額-払込保険料総額-50万円=一時所得 ●毎年年金で受取る場合=雑所得 ↓ 毎年の年金額-必要経費=雑所得 ●解約して解約返戻金を受取る場合 ↓ 解約払戻金-払込保険料総額-50万円=一時所得★個人年金保険料は所得税の控除対象です!
●医療保険、がん保険、生命保険などは生命保険料控除の対象ですが 最大5万円(所得税)の控除を受けることができます。 ↓ 個人年金保険料は生命保険料控除とは別枠です。 個人年金保険料年額が10万円超であれば追加で5万円(所得税)の控除OK。 ↓ 両者を合わせると年間最大10万円(所得税)の控除ができるんですね。
融資を頼んだら定期預金を頼まれた!
- 労働組合や日教組の一部事務代行をしている会社です。資金繰りの影響で近所の銀行で融資を依頼しましたがそのためには定期預金に入る必要があるといわれました。これって借入額が減るように思うのですが・・・・
はっきり言って悲惨なパターンです。
★最近、よく聞く事例です
●銀行からの融資スタートの際に、定期預金開設を求められるケースがあります。 ↓ 資金繰りに窮してお金を借りたのに定期預金に入ってしまうとそのキャッシュは 簡単には使えません。そうなんです、何をやってるかわからないことになるんです。 なぜ、こんなことを優秀で真面目な銀行員が普通に言ってくるのか。 理由は簡単です。 銀行員はサラリーマンです。見えているのは自分の営業成績であり社内評価です。 中小企業はただのカモだと思っているかもしれません。 ●預金と借入を両建すると・・・・・ 例えば3,000万円(利率3%)を借り入れて1,000万円(利率0.5%)を定期預金にした場合 ↓ これを金額換算すると面白いです。 実質的な借入金は2,000万円ですね。 支払う利息は3,000万円×3%-1,000万円×0.5%=85万円。 実質利率はというと・・・85万円÷2,000万円=4.25%。 そうなんです、、3%で借りていたとしても実質は4.25%の利息がかかってるんです! この銀行トリック。絶対に避けなければなりません!★両建て取引は絶対に避けるべきです!
●上述したように実質的に借入金利息がアップしているという悲惨な状況は、 銀行から見ると当然ですがお得な話です。一方が損をすれば一方が得をするのですから。 ↓ 中小企業の方々の中には、銀行に従うことが当たり前と思っている人もいます。 でも、そんなことはありません。言うべきことは言うべきなんです。 ↓ 銀行を監督する金融庁の監督指針は 「過当な両建預金の受入れ等、正常な取引慣行に反する不適切な取引の発生を防止」 と記されています。(当然ですが過当かどうかは実質判断です!) ↓ これは銀行への交渉材料として、ものすごく有効です。 なぜって、銀行は金融庁が物凄く怖いからです。調査も度々入ります。 そんな存在の金融庁の指針なので、ややこしい話になるぐらいであれば穏便に済ませよう とする傾向があります。 要は「これを知っているぞ!」と見せるのが大事なのです。
使用人兼務役員と保険の関係は??
- 津波の予報システムを研究している会社に勤めています。使用人兼務役員に就任する予定なのですが雇用保険は入り続けられるのでしょうか?
ちょっと複雑ですが抑えておくとお得です!
★使用人兼務役員と保険の関係性
●従業員としての職制上の役割がある役員ですね。 ●弊社のお客様の介護事業をやってる会社でも前の税理士の指導なのか、使用人兼務役員が散見される場合があります。 ●使用人兼務役員の社会保険 一般の従業員と同じ手続きですね。 報酬月額は役員報酬も従業員給与も合算した金額になります。 ●使用人兼務役員の雇用保険 ↓ 取締役は、雇用保険の被保険者にはなりません(原則)。 ↓ 但し、使用人兼務役員で、就業規則や担当業務、報酬額等から鑑みて、 労働者的性格が強く雇用関係と認められる場合は被保険者となります。 ↓ このためには「兼務役員雇用実態証明書」をハローワークに提出する必要あり! (添付書類:登記簿、就業規則、給与規程、賃金台帳、出勤簿、取締役会議事録等) ↓ ちなみに、雇用保険料の対象となる給与は、役員報酬を除いた賃金です。 ●使用人兼務役員の労災保険(基本は雇用保険と同じ!) ↓ 使用人兼務役員が役員報酬以外に賃金を受ける場合はその部分を労働者として扱います。 傷病が労災保険給付の対象となるか否かも一般労働者と同様に判断します。 ↓ 休業給付等を受ける場合の給付額基礎額は役員報酬を除いた賃金です。 労働保険の年度更新も役員報酬を除いた賃金になるので要注意です!★使用人兼務役員が雇用保険に入る方法
●上述の「労働者的性格が強く雇用関係と認められる場合」とは?? ↓ 以下の事項を公共職業安定所が総合的に判断します。 ①月々の役員報酬と賃金との割合 役員報酬と賃金をがしっかり分かれていて、 賃金の占める割合が高いほど労働者的性格が強い判断されます。 ②就労実態 経営者による指揮命令の範囲内で業務を行えば労働者的性格が強いと判断されます。 ③労働基準法の適用状況 他の従業員と同様に就業規則が適用されてれば労働者的性格が強いと判断されます。