この記事を要約すると・・・・

  • 事業計画書の作成方法
  • 継続的取引と請負契約で印紙代が変わる?
  • 株主代表訴訟にかかった費用は経費にできるか?
  • 税務上の利益と会計上の利益の違い

こんにちは、介護関係を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「融資を受けるときに銀行から事業計画書を求められた!」「この取引に印紙が必要か悩んでいる」「株主代表訴訟を起こしちゃった!」「税務上の利益って何やねん」という経営者向けに書いてみました。しっかり読めば融資を受けることができるようになるし、印紙代も得するかも!

融資の時に事業計画書を提出せよと言われた!

  • 岸和田市で建設業のための会社設立をしました。融資の際には事業計画書を作成しろといわれたのですがどうやって作成するのでしょうか?

融資のときにはよく言われますね。

    

★事業計画書に書くべき事項

①会社概要 ②将来へのビジョン ③ターゲット分析(顧客分析) ④競合分析 ⑤自社分析 ⑥事業概要(どんな事業を行うかを明確化・ビジョン達成へのプロセス) ⑦新事業計画(将来に行う予定の事業) ⑧業務フロー(顧客獲得から入金までのビジネスモデル全体) ⑨人員計画 ⑩短期収支シミュレーション(6ヶ月~1年) ⑪短期営業戦略 ⑫短期営業計画 ⑬中期シミュレーション(1年~3年) ⑭長期シュミレーション(3年~5年) ⑮資本政策 ⑯組織構成 ●通常のパターンでは、大きく作っておいて、融資等の必要時に応じて、  必要部分を抽出して場面場面の事業計画書を作成することが多いですね。  

★事業計画書はそもそも必要かという議論

●実務上、中小企業の中には事業計画書を作成しない会社も多々あります。  ↓  しかし、事業計画書は「企業を成長させるための全ての計画を書き出す書類」です。  もっと言うと、企業運営に関する全てを方向付ける根本的な指針でもあります。  計画なしで場当たり的な新規事業をスタートさせて失敗してしまう例が後を絶ちません。  ↓  事業計画によって、ビジョンが描かれます。  事業計画によって、ビジョン達成のためのプロセスが描かれます。  事業計画によって、経営計画のための財務管理が描かれます。

収入印紙。継続的取引と請負契約の違いって?

  • 兵庫県川西市で法人化して農業をしています。販売代理店との間の契約書の収入印紙の額がよくわかりません。継続取引とか請負契約とかって何なんでしょうか?

どっちの契約かで印紙税額は変わります!

    

★継続的取引と請負契約の違い

●印紙税の解釈の問題です。  ↓  例えば、販売代理店契約をしたとしましょう。  「甲が製造・販売する作物の販売に関し、下記の通り契約する」みたいな  内容の契約です。  金額も契約期間もなく、更新の条件も決まってないような場合では、  継続的な取引(4000円印紙税)にならないようにも思います。  ↓  しかし、契約期間の定めがない場合、逆に取引が1回で終わると解釈できない  わけですね。ずーっと続くかもしれないし、1回で終わるかもしれない。  どっちでも解釈できるわけです。  今回1回だけで販売代理をフィニッシュしたとしても、後でこの契約書を利用して  取引が出来るような場合は反論しにくいですね。  ↓  どっちともとれるような場合には、「継続的取引を前提とした契約書」として  4,000円の印紙を貼るのが無難ですね。

★特定の案件についての単発的取引の場合

●特定の案件について販売代理契約を締結するような場合、つまりは単発契約と  いうことですが、この場合は、  ①契約期間が3ヶ月以内であることが契約書に明記されている  ②更新の定めがないことが契約書に明記されている  という条件のもとで、請負契約の印紙税(200円等)でOKです。   ●継続取引か請負契約かという判断をまず行い、継続契約ではないという場合  であっても請負等の形で印紙税がかかる場合が多いので注意を要します。  ご注意ください!

株主代表訴訟にかかった費用は損金OK?

  • 梅田・難波・天王寺でカラオケボックスをFC展開しています。株主が多いのですが、先般株主代表訴訟になる事案が発生してしまいました。この場合の費用は会社の損金にできますでしょうか??

敗訴か勝訴かは大きく影響しますね!

    

★株主代表訴訟で役員が訴えられ敗訴した場合

●中小企業でも株主代表訴訟で役員が訴えられるケースが年々増えています。  理由は色々ありますが、資金繰りの観点から株主数が増え同族的繋がりが弱まって  きているという全体的傾向があることも要因のひとつでしょう。  ↓  役員が株主に訴えられた場合、弁護士費用や裁判費用が発生するのは当然です。  実際は、金額も多額になることから会社が支払っているケースがほとんどです。  ただ、このケースで、訴訟関連費用を会社の損金にできるかどうかという  問題が生じてきます。     ●結果として役員が敗訴した場合。  ↓  役員は適切な職務を行っていなかったことが決定します。  つまり、この場合の訴訟関連費用は役員が個人的に負担すべき費用です。  ↓  会社が支払っているケースが多いわけですから、この場合や役員賞与となり、  損金算入はできないものと考えられます。

★株主代表訴訟で役員が訴えられ勝訴した場合

●結果として役員が勝訴した場合。  ↓  役員に落ち度はなかったことが証明されたわけです。  この場合には、訴訟関連費用を会社が負担することに合理性があります。  ですので、支払手数料等の科目で損金に計上しても問題ないでしょう。

税理士に決算書を渡すと数字が変わるのはなぜ?

  • 泉佐野にあるペットカフェです。毎年会計事務所に会計ソフトのデータを渡すと決算書の数字が変わるのですがなぜでしょうか??

会計上の決算書と税務上の決算書の差ですかね

    

★税理士が決算書の数字を変えるには理由があります

●最近は自社経理を行う会社さんが増えています。うちのクライアント様でも  90%以上が会計ソフトを使って、自社経理をしています。  正直言って、これが主流です。  会計事務所に記帳代行を任せているような会社はなかなか成長しません。  ↓  会社で自社経理をするということは、つまり、決算書まで会社が作成できる  ということを意味します。  ↓  で、それを会計事務所に提出すれば、決算書の数値を変えられる場合が  多々あります。   ●その理由は色々ありますが、たいていの場合は、期中の会計処理を  会計事務所が修正するために生じます。  仕入の二重計上や売上漏れ、減価償却費未計上、未払計上漏れ等、  その要因もいっぱいありますね。  ↓  会計事務所の最初の仕事は、「会社が作った決算書」を  「税金計算用の決算書」に作り変える作業です。  ↓  これができないと正確な税金計算ができません。私たちは訪問介護やデイサービスのクライアントが多い税理士事務所ですが、やっぱりこの作業が必要になりますね。

★ただし、この作業を断ることはできます

●会計事務所が会社作成の決算書を修正するのは認められた権利ではありません。  会社は断ることはできます。  ↓  会計事務所が会社の決算書を変更するのは「手っ取り早い」からだけです。  ↓  会社作成の決算書と税金計算用の決算書は数字が違っても問題ないのです。  ただ、決算書が二つもできるとかなり複雑化して手間が増えます。  ↓  だから、この別々の決算書を一本化してしまうのが実務の現状です。 ●ただし、2本立てでもOKです。  「この決算書は株主総会承認済で修正・変更はできない」といえば、  会計事務所はこの決算書を直接いじりません。いじられません。  ↓  理由は簡単です。法人税は確定決算主義を前提にしているから。  もっと言うと、株主総会承認済の決算書を基礎に、  税務調整を加えた申告書を提出する必要があるということです。  ↓  2本立てには問題点もあります。  決算書上での費用計上がなければ税務上の損金計上できない場合があります。  減価償却や引当金の計上等を指しますね。