このページをまとめると・・・・
- 源泉所得税の納期特例の意味と使い方テクニック
- 事業主貸・事業主借の意味と使い方
こんにちは、神戸の税理士の佐藤です。
今回は「デザイナーも源泉所得税納期特例の対象?」「事業主貸とか事業主借とかの意味が分からない・・」という人向けに書いてみました。しっかり読めば、源泉所得税の納期特例対象が理解できますし、事業主貸とか事業主借という個人事業主独特の会計処理も理解できます。
源泉所得税はどんな場合でも半年に1回にできる?
質問日:2009/06/29
胡蝶蘭や薔薇を卸売りする中小企業です。従業員8人なので、所得税は半年に1回で 大丈夫と思うのですが、行政書士さんなどへの報酬も半年に1回でいいのですか?
源泉所得税の特例は給料のみが原則です!
回答日:2009/08/01
★源泉所得税の基本
給与等を支払った場合、実際の支払月の翌月10日までに源泉所得税を納め なければなりません。これが原則です。 給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者には例外もあります。 その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、 7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月10日が、納付期限になります。 (所轄税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出が必要!)★源泉所得は給料だけではありません!
給料以外にも、外注のデザイナーや、弁護士・税理士といった、個人で 事業を行なう人からも、源泉所得税を差し引きますね。 源泉徴収するべき人は全ての個人ではありません。以下の人です。 ●源泉徴収の対象(支払を受ける者が個人の場合)の一部 ①原稿料や講演料等 ②弁護士、公認会計士、司法書士等、特定の資格を持つ人に支払う報酬 ③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 ④プロスポーツ選手、モデル・外交員等に支払う報酬 ⑤芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬 ⑥ホテル、旅館などで行われる宴会の際のホステス等に支払う報酬 ⑦プロ野球選手の契約金等、役務提供を約すことにより一時に支払う契約金 ⑧広告宣伝のための賞金★給料以外は半年に1回でいいわけではない!
上記のような個人への報酬に係る源泉所得税のほとんどは 「納期の特例」は該当しません。つまり支払月の翌月10日まで納めないとダメなんです! しかし例外があります! 士業の人間からの源泉所得税だけでは、給与と同じ扱いでも大丈夫! つまり、半年に1回の納付でもOKなんですね! 理由は不明です。以前、税理士として神戸の税務署に聞いたことがありますが 教えてもらえませんでした。。 <注意!> ここでいう「士業」とは、所得税法の204条1項二号に該当する人。 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、 海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者。
元入金、事業主貸、事業主借って何なんでしょうか?
質問日:2009/08/01
神戸で整骨院鍼灸院を経営している青色申告の個人事業主です。初めて青色申告で記帳しますが、 元入金や事業主貸や事業主借といった科目名が出てきて意味が分かりません。。
個人事業主特有の仕訳を理解しましょう!
回答日:2009/08/17
★元入金と事業主貸と事業主借
●個人事業の青色決算書の「元入金」とは、 法人でいう「資本金+利益剰余金」+「事業主貸-事業主借」のイメージ。 ●事業用の通帳から生活費を引き出すような場合は「事業主貸」勘定が 登場します。 ●事業用の通帳に資金を振り込むような場合は「事業主借」勘定が 登場します。 ●毎年度末に事業主貸と事業主借を相殺し、差額を元入金に突っ込みます。 つまり、これで翌年期首時点では事業主と貸事業主借はゼロからスタート! ●逆に言うと、赤字が続いている人ような人は、「元入金」のマイナスが 膨らみ続けることになりますね。★個人事業主に存在して法人にない勘定科目
3つあります。 この科目が生じる原因は、個人事業者の資金を「事業用資金」と「生活費・家計費」 に分ける必要があるためですね。 ◆元入金 個人が事業を始める際の開業資金にその後の運転資金が合算された科目。 元入金の金額は毎年変わります。 ◆事業主借(または店主借)→事業のお金を借りる! 個人事業者が開業後、生活用資金から事業用資金を受け入れた場合に使用する科目。 ●事業用預金口座に対する受取利息や受取配当金等も事業主借です。 (預金利息は源泉分離課税で入金額は課税後なので確定申告の必要なし!) ●年金や生命保険料等は、確定申告で控除されるので経費としては計上できません! ●家計と事業で同一の預金通帳を使っている場合、家計分も計上したほうがいいですね。 家計分の預金入金あり!・・・・預金●●円/事業主借●●円 ・個人のお金を事業用の銀行口座へ振り込んだ 「普通預金/事業主借」 ・個人のお金で交通費を支払った 「旅費交通費/事業主借」 ◆事業主貸(または店主貸)→事業のお金を貸す! 個人事業者が事業用資金から生活用資金を受け入れた場合に使用する科目。 事業用資金から支払われた生活費のことです。 事業用に使用される預金口座から引き落としされる 所得税、健康保険料、国民年金保険料、生命保険料、住宅ローン等も事業主貸で処理! ・事業用の銀行口座から生活費を引き出した 「事業主貸/普通預金」 ・事業の現金から健康保険料を支払った 「事業主貸/現金」 個人事業主の勘定科目は法人とは少し異なります。 例えばインターネットで「個人事業 勘定科目」等といった形で検索されれば 色々と出てくると思いますので、その中からご自身に合ったページを ご利用されることをお勧めします。