「親の介護をすることになった。介護にかかる費用は親の生活費から捻出することになったんだけど、親の口座からお金が私のところに移ったら贈与税が発生するんじゃないかな。」

「そもそも、贈与税ってなんだろうか。遺産相続もあるし、よく調べなくちゃな。」

少子高齢化社会の進行がますます進んでいる昨今。ご自身の両親がだんだんと弱くなっていき、介護が必要になってきている人もいることでしょう。介護をいざ始めるとなると、介護施設への入居や送り迎えなど様々な労力がかかることはもちろんのこと、両親の生活費も管理する必要が出てきます。

しかし、親の介護をしていると、やはりお金まわりは気になりますよね。特に親のお金を管理する贈与税は特に身近なもので、気になる人はさぞかし多いことでしょう。

今回の記事では、親の介護にまつわる贈与税について徹底解説します。この記事を見ることで、そもそもの贈与税について理解が深まり、どのように親のお金を管理すれば良いのかがわかります。

この記事を書いている私は、介護にまつわる時事ネタをいくつも取材をして、記事を数多く作成してきています。こうした経験をもとに、介護にまつわる贈与税について徹底解説していきます。

ぜひ最後まで読んでいただき、介護にまつわる贈与税について理解を深めていただけたら嬉しいです。

贈与税とは

贈与税とは個人から財産を送られた時にかかる税金です。ただし、個人から財産を送られたからといって全てに対して税金がかかるわけではありません。知人や友人から本や洋服をもらったり、子供から還暦祝いで10万円をもらったなどの場合は贈与税はかかりません。

贈与税がかかるのは、生活費・教育費以外の一定以上の預貯金や、株・債権、土地や家などの不動産が該当します。高額なものになると贈与税が発生し、目安は30万円程度になります。

普段何気なく、子供にモノやお金を渡していたこともあるかと思いますが、高額なものになると、実は贈与税が発生していたということはあります。子供や親族に何かを渡す時にはぜひ気をつけましょう。

親の介護費用に税金がかかるのか

親の介護費用を子供が支払うと、贈与税が発生するのではないかと心配する方もいることでしょう。親の介護にかかる費用なのだから、自分たちの税金の負担が多くなるのではないかと心配される人もいることでしょう。結論として、親の介護費用には税金は発生しません。

そもそも、贈与税はあくまでも個人から財産をもらったときに課税される税金です。通常の生活に必要な費用である介護費用は、親の代わりに子供が支払うことになるので、贈与税には該当しません。

親が介護施設に入居するための入居一時金を子供が代わりに一括で支払ったとしても、贈与税には該当しません。ただし、高級有料老人ホームへ入居するための億単位の場所の場合は贈与税が発生する場合もあります。

親の介護費用を預かると相続税はかかるのか

親の介護費用を預かるだけでは 相続税は発生しません。両親が高齢になって認知症などに対する不安から子供が両親のお金を預かる場面が出てきますが、預かっているだけの状態であれば、特に相続税は発生しません。

両親のお金を預かるには大きく分けて3つあります。1つ目は預かり金として、現金もしくは両親の名義の通帳を預かる方法です。2つ目は名義預金で、子供名義の口座を開設し、両親の預金を預ける方法です。3つ目は成年後見制度を利用する方法で、すでに認知症などと診断されている場合に、選任された後見人が預かる方法です。

また、子供が両親のお金を預かることに承諾しているのであれば、両親の意思のもとで使うべきものになるので、贈与にはなりません。子供が親のお金を預かると、そもそもが高額な金額であるから贈与税が発生するかのように思えますが、実際には相続税は発生しません。

介護費用を軽減する方法

介護費用はかけようと思えば、いくらでもかけられるので、介護費用は青天井でキリがありません。しかし、多くの介護サービスは、介護費用を軽減する為のサービスがいくつかあります。今回はこうした介護費用を軽減できるサービス費用について紹介します。

高額介護サービス費

高額サービス費とは、1ヶ月間の介護費用が大きい場合に、その一部が戻ってくる制度です。高額サービス費は1ヶ月間の介護費用の限度額を定めています。限度額は世帯や個人の課税所得によって異なります。

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、介護保険施設やショートステイなどを利用した場合に、その住居費と食費の一部が戻ってくる制度です。特定入所者介護サービス費は、1ヶ月間の居住費と食費の限度額を定めています。対象となる方は、住民税が非課税の方で、限度額は保有している資産額によって異なります。

親のお金を預かる3つの方法

親の介護をするつもりで親のお金を預かってみたら、実は贈与税に該当してしまったという場面があるかもしれません。ただし、ただ預かっているだけであれば、実は贈与とは見なされないなど、様々な基準があります。今回は親のお金を預かる方法について3つ紹介していきます。

・預かり金

現金や両親のうちのいずれかの名義の通帳口座を預かることです。親のお金をただ預かっているだけであれば特に贈与にはなりません。

・名義預金

子供名義の口座を開設し、両親のお金を預かることです。両親の子供の名義の口座に自分たちのお金を入金して、自分達のお金を持たせる方法です。

・成年後見制度を利用する

すでに認知症などと診断されている場合に、選任された後見人が預かる方法です。予め両親と相談をして、成年後見制度を利用するかを決めておくと良いでしょう。

親の介護費用に備えてやるべきこととは

親の介護費用を考えるときに大切なことは、親のお金を誰がどのように管理をするかです。一番簡単な方法は両親のお金を預かり金として、子供が管理をすることです。もちろん、適切に管理をしないと贈与税の対象となってしまうので、贈与税にならないように気を付ける必要があります。

贈与税に該当させないために、まずは預かり証を作りましょう。預かり証とは両親のお金を預かっているという証拠になるものです。この預かり証を事前に用意しておくことで、後で説明がしやすくなります。

また、預かり金との区別をつけるために、口座を分けておくと良いでしょう。ご自身の口座に一緒に入れてしまうと、後で説明がしにくくなります。そのため、必ずわかるように分けておきましょう。

まとめ

今回の記事では親の介護に贈与税が発生するのかについて記事にしました。今回の記事のポイントは以下のとおりです。

・贈与税とは個人から財産を送られた時にかかる税金のこと。個人から財産を送られたからといって全てに対して税金がかかるわけではない。

・親の介護費用には税金は発生しない。ただし、高級有料老人ホームへ入居するための億単位の場所の場合は贈与税が発生する場合もある。

・親の介護費用に備えるためにも、両親と相談して預かり証を用意するとよい。後でどこまでが預かり金なのか区別するためにも口座を分けるなどの工夫が必要。

自分達が年齢を重ねていくとともに、親もどんどん年老いていき、次第に介護は必要になります。いつまでも両親には元気でいてもらいたいですが、年老いてしまうためやはりそうはいきません。

年を取るにつれて、次第に物忘れも激しくなり、お金の管理が難しくなります。両親が元気なうちに両親の財産をどのようにするのかを考えておくことが大切です。

そのためにも両親が元気なうちに介護のことやお金のことを相談しておいた方が良いでしょう。もしもあなたに兄弟がいたら、遺産相続を含めたトラブルにもなってしまいがちです。

トラブルにならないためにも、早いうちに両親とお金のことを話し合ったほうが良いでしょう。

今回の記事が少しでも役に立てたら嬉しいです。