このページをまとめると・・・・

  • 電子定款認証してるのに定款現物の印刷は必要か
  • 個人から法人への譲渡と消費税の関係
  • 法人設立前の消耗品購入は経費になるか
  • 法人成りの際の資産負債の移転の会計処理

こんにちは、大阪会社設立代行税理士の佐藤です。
今回は「電子定款は印刷する必要があるのか?」「個人事業の資産負債を移転させるときは譲渡所得になるのか?」「法人設立前の消耗品購入は個人事業の経費になるのか」「個人から法人への資産負債移転の仕訳は難しい?」という人向けに書いてみました。しっかり読めば、法人成り時の個人と法人の資産負債移転の仕訳を掴むことができますし、個人法人のいずれの経費を区別できます。

電子定款認証をしても定款を製本印刷しなければならない?

  • 株式会社の設立を予定しています。電子定款認証をお願いしていたのに、定款をアウトプットする必要があると言われました。間違いないですか?

電子認証していても定款のプリントアウトは必要になります!

    


★定款の製本作業は必要です!

公証役場で定款の認証を受ける際、紙の定款で認証を受ける場合でも電子定款でも プリントアウトされた定款が必要です。

★まずは委任状を確認しよう!

◆発起人が1人    ①自分で定款を作って定款認証を自分で受ける場合   →委任状は不要!    ②行政書士に定款作成を依頼し、認証手続も代行してもらう場合。   →行政書士への委任状が必要!  ③行政書士に定款作成を依頼し、認証は自分が行く場合。   →行政書士からの委任状が必要! ◆発起人が複数    ①自分たちで定款を作り発起人代表Aが定款認証を受けに行く場合   →委任状にはその他の発起人の記名押印(実印)が必要    ②自分たちで定款を作り発起人以外の者が定款認証を受けに行く場合   →委任状には発起人全員の記名押印(実印)が必要    ③行政書士に定款作成を依頼し、認証も代行してもらう場合。   →委任状には発起人全員の記名押印(実印)が必要  ④行政書士に定款作成を依頼し、認証は発起人代表Aが行く場合。   →行政書士からAへの委任状が必要!(発起人全員の記名押印も必要)

★定款製本の具体的方法

●電子定款の場合  A:1番上に委任状、2枚目に定款見本表紙、3枚目以降に定款本文をセット  B:1枚目に定款見本表紙、2枚目以降に定款本文をセット    →電子定款では上記のAとBが必要になります。   電子定款でない場合はBが2部必要になります。   ●定款の綴じ方  左端を3ヶ所ホチキス止めし、各々のページの継ぎ目に契印を押します。  契印は委任状に押印した印鑑と同様、発起人全員の実印での押印が必要!

法人成りした場合の資産の引継ぎは消費税対象?

  • 戦闘機の部品を製造している大阪の個人事業主ですがこの度会社設立しようと思います。資産の引継ぎには消費税はかかるのでしょうか?

消費税はかかるという判決があります!

    


★法人成りした場合の事業用資産の引継ぎ

●消費税の対象にならないという見解もありますが・・・  法人成りは現物出資と同様だから、金銭以外の資産の出資に該当し消費税はかからない。   ●でも、消費税の対象になるというのが判決のようです。    消費税の課税対象は、「国内で事業者が事業として対価を得て行われる資産の譲渡」  である。  ↓  消費税では非課税取引を含む資産及び負債が一体になった「営業」それ自体を  一つの課税客体と捉えて課税対象とする規定はない  ↓  個人事業主は資産の譲渡対価として法人から金銭を収受すると同時に  負債を引き受けもらい債務の支払義務の消滅という経済的利益も得ている。  ↓  つまり、負債の引受額は、消費税法における資産の譲渡の対価の額に相当すると  判断される。  ↓  つまり消費税がかかるという判決ですね。

設立前にパソコンを購入!どう処理する?

  • ポストカード作成の会社を神戸で設立する予定です。設立前にパソコンを購入してしまいました。新会社の経費にできますか?

設立前の費用ですが開業費と考えられます

    


★創立費とは・・・・

●会社の負担に帰すべき設立費用です。  原則は支出時の費用ですが、繰延資産計上もできます(任意償却)。 ●例示  定款及び諸規則作成のための費用、  株式募集その他のための広告費  目論見書・株券等の印刷費  創立事務所の賃借料  設立事務に使用する使用人の給料  金融機関の取扱手数料  証券会社の取扱手数料、  創立総会に関する費用その他設立事務に関する必要な費用、  設立登記の登録免許税等

★開業費とは・・・・

●設立後営業開始時までに支出した開業準備のための費用です。  原則は支出時の費用ですが、繰延資産計上もできます(任意償却)。 ●例示  土地、建物等の賃借料  広告宣伝費、  通信交通費、  事務用消耗品費、  支払利子、  使用人の給料、  水道光熱費等

★設立前にパソコンを購入する行為

●取得価額10万円未満(租税特別措置法上の中小企業等なら30万円未満)の場合  減価償却資産(パソコンも含む)は、繰延資産として開業費での計上が可能と考えられます。  設立のために用いられますし、開業準備のためにも利用するのであれば、  開業費か創立費のいずれかになると思われますが、開業費の方が実態に近いでしょう。  創立費の例示列挙を見れば、専ら法人設立のための費用に限定されている傾向があります。  (創立費は会社法で定款記載が義務づけられています)  開業費の定義には「会社成立後」という要件がありますが、実務上はこの要件が緩く  解されているので設立前であっても開業準備のためのコストであれば  開業費としても問題ないでしょう。 ●取得価額10万円以上(中小企業等なら30万円以上)の場合  創立費にも開業費にも計上しないのが無難です。  パソコンは税法上の減価償却資産に該当しますから、その取得価額は  「資産の取得に要した金額とされるべき費用」であって固定資産計上になると思われます。

法人成りした年の個人事業の申告はどうなる?

  • 加古川・相生・赤穂・姫路で漬物屋店舗を展開しています。今年晴れて法人化しましたが、個人の確定申告と法人の第1期の決算申告はどうなるのでしょうか?両方必要ですか?

ちょっと注意が必要なテーマです!

    

★法人成りした年はややこしいです

●11月15日が大阪での会社設立日(設立登記申請)とします。  その日に登記完了がわからない場合が多いですね。  (1週間以内には登記完了が分かると思いますが・・・・)  ↓  つまり、形式的な会社設立日は11月15日ですが、実際の事業開始  は大抵はかなり遅れます。会社設立完了が判明するのは11月15日  当日に分かる場合は稀ですし、当然銀行口座開設もその後です。  ↓  一般的には12月1日あたりに事業を開始できればいい方でしょうか。  (つまり法人の営業開始(事業開始)は12月1日ということです) ●一般的な会社設立の日程は以上になります。  つまりです。  ↓  会社設立は11月15日。会社の事業開始は12月1日。  もっというと、個人事業廃止は11月30日(12月1日の前日)になります。  ↓  結論:11月30日終了時点で個人→法人へ引継ぎが行われます。

★個人事業の申告

●個人事業は1月1日~11月30日まで行っているので、  確定申告対象期間も同じになり、11ヶ月分を申告することになります。  ↓  □青色申告特別控除については期間按分はしないので全額控除OKです。  □法人の設立関連費用は法人負担になるので要注意です!  □確定申告と同じタイミングで廃業届も出しましょう!

★新設法人の申告

●法人初年度の申告ですが、形式的には会社設立日からスタートです。  つまり第1期の期首日は11月15日になります。  (事業開始が実際はいつなのかというテーマとは別問題です)  ↓  実際に事業スタートは12月1日なのに、形式的スタートは11月15日です。  この間は開業準備期間と捉えるべきですね。 ●一つ不思議な事象が生じます。  法人の期首日は11月15日です。個人事業の申告は1月1日~11月30日までです。  つまり、11月15日からの約2週間については、申告がカブっているんです。  ↓  これはおかしい話ではありません。  個人として考えると、11月30日までは個人事業を行っている。  法人として考えると、11月15日~11月30日までは開業準備を行っている。  これだけの話です。  

法人成りの時の資産移転方法は??

  • 神戸・明石・芦屋でガム製造の工場を個人経営していました。この度法人化に合わせて、資産負債を新しい法人に移転する必要があります。どうやって処理するのでしょうか?

各々の資産・負債で異なります!

    


★個人事業から法人へ引き継ぐ資産や負債について

●事業用資産  在庫、売掛金等の営業債権、パソコンや机等の什器備品類、内装代等   ●事業用負債  借入金、買掛金、未払金等   ●法人成りにあたって  ↓  事業上必要性がある資産や負債のみを引き継ぎます。  ↓  但し、個人への課税の観点を考慮して、できる限り移転しない  方法を採用すべきです。  もっというと、下記の賃貸借を使えば移転にはならないので  極力賃貸借方法を採用すべきです!  法人に移転しなければ商売できない資産・負債のみを売買する  のが賢明な方法だと考えられます。  (おそらく移転しないと商売できないのは在庫だけです)

★事業用資産、負債の移転方法

●個人事業主と法人間の売買  資産も負債もセットで売買できますが、第三者取引と同様に行う必要が  あります。つまり、契約書を作成し、代金も期限内にきっちり決済する  ということですね。未払状態が続くとリスクが高くなります。  ↓  売買であれば、負債が大きくてもOKです。  法人が代金をもらうという流れになりますが・・・・  ↓  売却すれば個人事業主に所得税が課税されます。市場価格より圧倒的に低く  売買しても、消費税はかかります(免税事業者でない限り)。  ↓  売買のメリットは、資産を減価償却できることのみです。  こう考えると、未償却残高の大きい資産のみを売買するということも考え  られなくもありません。ただ、このときは売買価格が総じて膨らみますので  所得税や消費税課税も検討すべきですね。  未償却残高と同額で売却すれば所得税は課税されませんが消費税は別です。  消費税逃れのために、個人事業主を廃業してから売却するという例もある  ようですが、税務署は確実に捕捉してくると思います。   ●現物出資  資産も負債もセットで出資します。このとき、資産の方が大きいのが  条件になります。  ↓  税法では現物出資も売買と同じとみなされます。所得税も消費税も課せられる  可能性があるので要注意です!  ↓  売買と現物出資は、税法上は実質同じなのですが手続やコストを考えると、  売買の方が圧倒的に楽です(売買契約書を作成するだけです)。     ●個人事業主と法人間で賃貸借  資産限定の話になります。  ↓  有償無償の2パターンが考えられますが、実務では圧倒的に無償が多いです。  個人が貸主なので無償で貸しても大きなリスクはありません。  

★資産別・負債別に見ていきましょう

●営業債権・営業債務  ↓  引き継がない(売買しない)のがベターと思われます。  ↓  取引先へ書面通知を行うのは面倒ですし、相手方を混乱させます。  さらに、営業債務に至っては債権者の承認が必要になります。  ↓  個人事業主から請求し個人事業主の口座で処理してしまうのがベターです。  中には、法人口座に間違って入金されたり、会社売掛金が個人口座に入ったり  するようなケースも出てくるでしょう。  この場合、仮払金や仮受金で処理して個人との間で入出金を消し込むだけです。  ↓  勿論、「会社が現実に事業を開始した時点」からは請求書も入出金関係も  すべて取引主体は法人に切り替えましょう。   ●在庫関係  個人事業で売り切るまで売るというのも一手なのですが、法人と個人が同時期  に同じ事業を行うのは危険です(意図的な利益操作ができるので)  ↓  実務上の結論は、消費税課税を覚悟して売買するのが一般的です。  売買価格ですが、個人事業主は利益を目的に販売するわけではないので  帳簿価格で売却すればOKです。利益ゼロなので所得税は課税されません!  消費税課税は避けられないので、極力在庫金額を小さくして売却すること  をお勧めします。  不良品等は個人事業として第三者に格安販売してしまってもいいと思います。   ●什器備品関係  上述の通り、これらを売却するのであれば、その目的は減価償却費計上のみです。  使用するだけであれば無償で使用貸借するだけで事足ります。  (無償の方がいいです。個人への所得税を考えると役員報酬増額による   給与所得控除を狙ったほうがメリット大です)  ↓  未償却残高が大きいものだけを売却検討にピックアップしましょう。  尚、リース資産についてはできれば名義を法人に変えましょう。  難しい場合でも実態ベースで判断してくれるとは思いますが。。。   ●車両  一般的に未償却残高は大きいですし、下記メリットもあるので  売却する方向で考えるべき資産です。  ↓  当然ですが、所有者名義も陸運局経由で法人に変更すべきです。  ↓  法人が実際に車両をしていれば、自動車税、車検費用、修理費用、保険料  ガソリン代、駐車場代等も法人の経費にできます。  ↓  以前は車両名義が個人でも何の問題もなかったのですが、最近は  車両名義を個人のままだと否認されるケースが出てきています。   ●保証金  事務所賃借の際に支払う保証金は現物出資はできません(債権ではなく預け金なので)。  退去し戻ってくるお金が確定した時点で初めて債権になります。  ↓  返金額が確定しているケースもありますが、原状回復費が退去時まで  分からない場合が多いのでなかなか債権にはなりませんね。  ↓  賃借人名義を個人から法人へ切り替えることができるならば、保証金計上の  見合いで個人に対して未払金を計上し早い段階で支払いを済ませます。  ↓  名義を法人に変えてくれないケースもよくある話です。  契約名義が個人でも、法人が実際に使用していれば法人の経費OKです。  でもこの場合の保証金は個人のままです。  これだと色々めんどくさいので、個人⇔法人間で、使用貸借契約を締結します。  保証金も個人から法人へ移転させておくわけです。  ただし、オーナーが納得してくれるかどうか、これが問題ですね。