この記事を要約すると・・・・

  • 非言語という概念
  • 患者の感じ方は本当に多種多様
  • 歯科医院=サービス業!?
  • コンビニと歯科医院
  • 退職金は払うべきか

こんにちは、歯科医院と介護事業を中心とした税理士の佐藤です。
今回は「患者の気持ちがよくわからない」「これからの歯科医院はどうやって生き残っていけばいいか悩んでいる」という歯科医院の先生向けに書いてみました。しっかり読めば歯科医院の長寿化に繋がります。

非言語という概念

<非言語という概念>


歯科医院経営で重要な概念が「非言語」です。

例えば、受付スタッフが患者様の名前を呼んで治療室への入室を促す場合に、
「山田様、どうぞ」と言っているものの、事務作業を片手間にしながらであればどうでしょう?
不機嫌な表情であればどうでしょう??
次の行動に入りながらであればどうでしょう??

どれもが患者様の不安を取り除くどころか、余計な心配を与えます。
また、こんな状態では医院への信頼には絶対に繋がりません。


そうなんです。


言葉は間違ってないけれども、その言葉の周囲にある行動。しぐさや表情や態度。
これを非言語といいます。


非言語は、話している人の内面が無意識に表出されることが多いものです。
患者様は言葉よりこの非言語によって、スタッフや先生の気持ちを判断します。

つまり、歯科医院経営では、この「非言語」が患者満足度にとっては重要になるんですね。



とはいえ、非言語は、なかなかの曲者です。

本人ではなかなか気づかないもの。
スタッフの同士でお互いをチェックする時間を先生がセッティングしてあげることをお勧めします。



ちなみに・・・
スタッフの接遇レベルが低い医院様は先生自身の接遇レベルが低い場合が多いです。
医院という狭い空間で長時間一緒に仕事をするのですから当然といえば当然です。
こういうケースでは、先生が先頭に立って変わる意識を持つことが必要になります。


患者様の感じ方は色々です

<患者様の感じ方は色々ですね>


●「お大事に」というごく当たり前の言葉も、発する人の表情や態度や仕草を交えたときには
何通りにもなりますね。

これは患者の受けても同じです。
全く同じ表情や態度で「お大事に」と言葉を伝えても、患者様の感じ方はそれぞれです。

「本当にありがとうございました」
と思う人もいれば
「余計なことを・・」
と思う人もいるかもしれません。

同じ患者様でも、今日と明日では感じ方が違います。



●こうやって考えるとスタッフの方はみんな迷います。
「どうすればいいの?」と考えます。

こういうときには相手のリアクションを確認しながら、言葉や仕草を選んで行動するより他ありません。


<1>事前予測:患者様はどう感じるだろうか
   不安を取り除く話し方をすべきか、すこし和ませるべきか、距離感を詰めるべきか、
   事前に考えておきます。
   

<2>現在進行形:いま私の話をどう受け取っているのだろうか
   相手の表情や顔色を見ながら、話し方に修正が必要だと感じた場合はその場で修正していきます。


<3>過去:私の話をどう受け止めて帰られたのだろうか
   結果論にはなりますがその反省を自分自身の中で行います。
   逃げ道というと表現は悪いですが、
   「今日の話で分からない箇所があればいつでも聞いて下さいね」という言葉は有効になります。
   

●経験は大事ではありますが、経験による能力アップのためには、事前事後の意識付けが重要です。
先生の力でスタッフ皆様を巻き込みましょう。

歯科医院はサービス業!?

<歯科医院はサービス業!?>


流行っている歯科医院がやっていること。
「サービス業として当然のことをする」のがキーワードのようです。
我々の税理士事務所がサポートしている歯科医院さんの多くもそうです。
それが口コミ患者を増やし、増患対策として増収に繋がるという流れになれば成功ですね。
いくつかピックアップしてみましょう。

<受付スタッフ>
容姿を第一条件に採用される先生も多いですが、流行っている医院は受付スタッフに
一般企業での社会経験を持つ女性が多いのが特徴です。


<患者からの戴き物>
地方では頻繁にあるケースかもしれません。
その場で直接会えないような場合であればお礼の手紙を手書きで出しているケースが多いです。
また次回の来院時に直接お礼が言えるようにデータ化しておきます。来院時には、第一声でお礼
が言えるようなシステムを構築しましょう。


<紹介患者について>
紹介して戴いた方にはお礼の手紙を出すべきです。同業の先生方からの紹介もありますが、
一般の患者様というケースが多いのも歯科医院の特徴です。
こういった人たちにお礼を伝えるのは更なる口コミ効果を期待できます。


<待ち時間が長引いた場合>
イライラしている患者様もいれば、不安が募っている患者様もいます。
そういった方の思いを和らげる強烈な手段は、先生の一言です。
「お待たせして申し訳ございません」の一言が患者様の心に響きます。


コンビニと歯科医院

<コンビニと歯科医院>


弊社にも元コンビニの統括マネージャーがいますが、日本のコンビニの
マニュアルは本当によくできています。
中国ではまだまだローカル系コンビニが大きなシェアを占めていますが、
最近はセブンイレブンやファミリーマートやローソンが一気に広まりつつあります。
その差はやはりサービスレベルです。
同じ中国人店員であっても教育とマニュアルで固めるとここまで違うのかという程の
差になることに驚きます。

これはつまりCS活動=顧客満足という言葉に集約されますが、日本のコンビニの
CS度は世界的にも最高レベルですね。

近所になるコンビニの手法を歯科医院としても参考にしてもいいと思います。


<買わない客にもお礼を言っている>
コンビニの最大の特徴かもしれません。
単に立ち読みをして出て行った客に対しても「ありがとうございました」という
コンビニはいっぱいあります。
「買い物をしてくれたことではなく来店してくれたことへのお礼」がマニュアル化
されているからです。

<これは歯科医院にも共通する>
先生の医療行為だけではなく、先生の医院に来院してくれたこと、これはやはり
うれしいことですね。

これを生かしたスタッフ教育を考えてみます。

先生を含めたスタッフの方々は自分の患者様だけに「お大事に」と声をかけていませんか?
他のスタッフが接していた患者様も、医院にとっては患者様です。
全ての来院患者に対して、全てのスタッフが気持ちよく対応するマニュアル作り。
大事なことだと思います。

退職金は支払うもの??

<退職金は支払うもの??>


退職金の支払いは義務ではありません。
労働基準法上払わないとダメとは定められていないからです。
規程化する必要も法律上はありません。
但し、医院内の就業規則(退職金規程)等の規程で定められていたり、
雇用契約書に明示されているような場合は支給の必要性はあります。
(懲戒解雇の場合は別ですが・・・)


退職金の支払額は実績に応じる必要があります。
一般的には、月額給与額や勤続年数を基準に規定します。
特段の理由がない限りは、退職金規程等に従って支払う必要性があります。
そして注意点として、過去の支払実績があれば、たとえ規程がなかったとしても
規程が存在するものとみなされるケースがあります。
過去の3年勤務の退職者に1か月給与分の退職金を支払っていればこれを基準に
算定すべきですし、かりに3万円の寸志であれば逆にこの3万円を基準にすべきです。


退職金の金額の相場はいくらぐらいでしょうか。
各人及び委員の事情によって大きく異なります。
相場としては、3年勤務で基本給1ヵ月分が平均です。
4年目以降については1ヵ月分ずつ加算する等の手法が一般的でしょうか。
自己都合退職について、0.7とか0.8とかに支給率を下げるケースが多いですね。


<参考>
最近、歯科医院では労使トラブルが頻発しています。
原因は色々ありますが、主には先生とスタッフの意思疎通不足、狭い院内での行動の中での心的衝突等が
挙げられます。
退職金規程がないことで労使間で揉めたこともいっぱいあります。
退職金に至らずとも、お金で解決せざるをえない状況になるリスクも十分考えられます。
どの問題も、日常のコミュニケーションが事足りていれば起きなかった可能性があるので、
やはり日々の院内コミュニケーションは大切ですね。