「介護業界の現場で人材が不足している。」

「介護業界で働いてくれる人材を増やすために採用を強化したいけど、どうしたら良いのかな。」

日本では少子高齢化社会が進み、高齢者の人数に対して働き手がどんどん少なくなっています。「2025年問題」「2035年問題」と国を主体として社会問題として盛んに提議されています。

 

こうした社会情勢の中、介護業界は特に人手不足が深刻であり、サービスの質の低下や労働環境の悪化による離職率の上昇など経営状態の悪化が危惧されています。介護業界でも人材確保が大きな課題となっており、どこの介護施設や事業所でも人材の奪い合いの状態が起こっています。

 

こうした状況の中、多くの介護施設や介護事業所が人材不足を解決するための対策をたてて実行しています。また、うまく経営できている介護事業所は国からの助成金を活用して成果を出しています。

 

今回の記事では、介護業界の採用強化について実際の事例を交えつつ紹介し、介護業界で活用できる助成金について紹介します。

ぜひ、最後まで記事を読んでいただけると嬉しいです。

そもそも介護業界が人材不足となる背景とは

介護業界が人材不足となる主な背景は「少子高齢化社会」です。高齢化に伴い、介護従事者数が増え、少子化によって労働人口の減少が増加しているという状況が続いています。

 

特に2025年には国民の4人に1人が75歳以上になる状態であり、どの業界でも人手不足は深刻さを増してきています。また、日本では女性の社会進出やライフスタイルの変化などにより、出生数が減少している状況が続いています。

 

出生数が2000年には119万人だったところ、2019年には90万人まで減少しています。出生数が減少することで、今後ますます生産年齢人口は減少すると見られるようになります。こうした背景から今後ますます介護業界は人手不足となる傾向が見られます。

介護業界で人材不足となる原因とは

高齢化に伴う必要な介護従事者数の増加、少子化による労働人口の減少を背景として、介護業界は人手不足となっています。介護業界では少子高齢化社会であることももちろんですが、他にも次のようなことが人材不足を招いています。

 

離職率が高い

介護業界で人材不足となる主な原因は、業界自体の離職率の高さにあります。「職場環境の人間関係」や「賃金・労働条件」などが悪い職場が多いことから離職率が高くなっている傾向にあります。

 

新しく人材を採用しようとしても人材採用自体にも難しさがあり、介護業界を目指している人以外の人材を取り込む必要があります。スタッフに長く働いてもらうためにも、日頃からスタッフ同士のコミュニケーションをこまめにとり、相談しやすい環境を作る必要があります。

 

ネガティブなイメージがある

介護業界が人材不足となる原因として、業界自体にネガティブなイメージがあることです。介護業界自体に対してきつい・汚い・危険の「3K」のイメージを持っている層が多く、「待遇が悪い」・「体力的、精神的にきつい」というイメージを持たれています。

 

介護業界へのネガティブなイメージから人材の流出や、人材採用にも影響を及ぼして人手不足につながっています。介護業界のイメージを回復し、ポジティブな印象をPRして人材確保する必要があります。

介護業界での採用が困難な理由とは

介護業界での採用が困難な理由に、そもそもの業界を志望する人数の少なさがあります。他業界と比較して賃金が高くなく、また、労働条件が悪い場合が多いため、そもそも志望する人数が少ないこともあります。

 

介護業界以外の業界では、介護業界以上に高待遇で人材採用を行うため、簡単に待遇改善できてしまいます。介護業界に勤めていても、待遇改善を求めて他業界へ流出してしまうことも珍しくありません。

 

また、介護業界を志望する人数が少ないことから、同業他社との人材獲得競争が激化してしまいます。介護施設や介護事業所が少ない人材を奪い合うような状況が続いてしまうのです。

介護業界での人材の課題を解決する対策とは

介護業界は仕事の定着率の低さや人材確保の難しさという課題を抱えていますが、具体的に対策をたてて実行している事業所もいくつかあります。介護業界で人材不足や人材の定着率を上げていく施策として、次のようなことがあげられます。

 

・働きやすい環境を整備する

介護業界を去っていく人たちの原因として、職場の人間関係や労働条件を理由として上げているケースが多いです。従業員の方たちの労働環境をよくしてあげることで離職率低下につなげられます。

 

具体的に、ユニットケアの取り組みやIT機器の導入があります。ユニットケアは、10人程度の入居者を1ユニットとして同じメンバーで生活し、専任のスタッフがケアにあたる介護手法です。少人数で目の行き届いた介護ができることや考えたことをユニットごとに実践しやすい環境を作れることがメリットです。

 

IT導入は要介護者への介護業務だけでなく、日々の日報や管理の書類を作成することに対する機器の導入です。介護施設や事業所の規模が小さいと、まだまだ紙や手入力でエクセルに入力をしている場合があります。

 

IT機器を導入することで、ペーパーレス化で経費削減できるだけでなく、従業員の負担を軽くすることができます。介護記録紙を紙ベースからタブレット端末に入力するだけにすることでも普段の業務を減らせます。

 

・外国人人材を受け入れる

介護人材の不足に対して、外国人人材を受け入れることです。日本政府が力を入れている施策として外国人人材の活用が挙げられています。介護業界での外国人の雇用を進めるため、政府はEPA・技能実習制度・特定技能などの制度を次々と導入しています。

 

国の積極的な政策により、外国人人材の介護従事者を取り入れようとしています。国の政策に乗って、ご自身の職場にも外国人労働者を受け入れていくのも一つの手段です。

 

・資格取得の支援する

初任者研修・実務者研修・介護福祉士・介護支援専門員など、介護業務は資格によって業務の幅が広がります。こうした資格を従業員に取得してもらうことで、介護施設の仕事の品質が上がります。

 

都道府県によっては、学費の返還免除制度を設けていることもあり、手当や資格取得推奨制度を設けている施設も増えています。通学が難しいスタッフに向けて講師出張型の講義を設けている会社やサービスもあります。

 

こうした資格取得を支援することで、スタッフのキャリア支援につながることももちろん、介護施設の品質向上にも繋がり、定着率も上がることでしょう。

人材不足を解消できた対策3選

介護施設や介護事業所で人材不足を解消できた成功事例を3つ紹介します。どんな取り組みを行なって課題を解決させてきたのか気になっている方も多いことでしょう。ぜひ、今回ご紹介する成功事例を参考にしてみてください。

 

・外国人の受け入れ

外国人労働者の受け入れを実施したことで人手不足を解消できた事例があります。外国人労働者を受け入れる前はギリギリの人数で回しており、職員の勤続年数も伸びないような状態でした。

 

しかし、外国人労働者を採用してみたところ、想像以上によく働いてくれて職場に貢献してくれている事例が多数あります。導入前こそは不安が職場内にはあったものの職場内に良い刺激と影響をもたらしてくれて、評判が良いです。

 

・見守りシステム導入

居室数が多く、夜間巡回に時間がかかる介護施設に役立つのが見守りシステムです。居室数が多くて夜間巡回に時間がかかるような場合、夜間のトラブルなど危険察知をしなくてはなりません。そのため、人員を増やしたくてもなかなか人でやるのは難しいことでしょう。そこで見守りシステムを導入することでフロア全室の状況をモニターで管理しやすく、何か問題が起こればアラートを表示してくれます。

 

見守りシステムを導入することで、巡回回数の削減や事故の未然防止を実現できます。見守りシステムの中には、トライアルで試すこともできるので、まずは試しに使ってみると良いでしょう。

 

・資格支援制度の導入

スタッフのキャリア支援として資格支援制度を導入したことで人材不足解消に繋がった事例があります。忙しい業務の中、資格取得は難しいですが、現在では講師が介護施設に出張できて講義をしてくれるサービスがあります。

 

介護施設内で研修を行えるので、他職員からの協力も得やすくシフト調整もしやすくなった事例が多数あります。キャリアアップ支援をすることで職員の士気も上がりやすくなります。

介護業界の人材採用に活用できる助成金とは

2022年3月時点での介護業界における人材採用に活用できる助成金を紹介します。各地方自治体や団体によって制度が変わる場合があります。また、年度によって助成金が変わることもありますので、都度チェックしてみてください。

 

・中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

中途採用等支援助成金は地方で東京圏からの移住者を雇い入れた場合に経費の一部が助成されるものです。対象となるのは、労働者を一人以上雇い入れた事業主が対象となります。

 

・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

特定求職者雇用開発助成金は満年齢が65歳以上の求職者を一年以上雇用する企業に対して助成されます。支給条件は、ハローワークもしくは民間の職業紹介により雇い入れることと雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れて、一年以上の雇用が確実であることです。

 

・トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は安定的な雇用を得ることが難しいとされる、下記要件のいずれかに該当する人を雇用した場合に受給できる助成金です。

まとめ

今回の記事では人手不足が深刻化を増す介護業界での人材採用を強化する方法と、助成金について紹介しました。各介護施設や介護事業所において、さまざまな工夫で人手不足の対策を立てています。また、介護業界での助成金もいくつか種類があり、工夫して使うことで人手不足の対策を立てていきたいところです。今回の記事のポイントは以下の通りです。

 

・人材業界が人手不足となる背景には「少子高齢化社会」がある。

・外国人採用、IT機器の導入や見守りシステムの導入で労働環境を改善することが大切。また、資格支援制度を儲けることで定着率もあがりやすい。

・助成金には中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)、特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)、トライアル雇用助成金がある。

 

今後ますます少子高齢化社会の勢いが増すばかりで人材確保や定着率を上げていく試みは必要です。国からの助成金をうまく組み合わせて、介護施設や介護事業所の運営への投資をどんどんやっていっていただきたいところです。

 

今回の記事が少しでもみなさんの役に立てれば嬉しいです。